第7章 セレ・テックの光
セレの空は、いつものように人工太陽灯の弱い光に包まれていた。
その揺らぎは、まるで太陽自身が息を整えられずにいるようだった。ジオが再びセレに戻ると、広場には人だかりができていた。
巨大なホログラム広告が空中に浮かび、鮮やかな文字を描き出す。
「太陽活性化装置、完成。」ざわめきが広がる。
歓声、期待、震えるような希望。
マナが駆け寄ってくる。
「ジオ……見た? セレ・テックが太陽を安定させる装置を作ったって……!」
ジュリーは目を輝かせている。
「太陽、元気になるの……?」
ジオは胸がざわついた。
期待と不安が同時に押し寄せる。
セレ・テックの装置広場中央には、塔型の装置がそびえ立っていた。
生活音を吸い込むように静まり返り、
周囲の空気がわずかに震えている。
セレ・テックの技術者が説明を始める。
「生活圏の揺らぎを整形し、太陽に安定信号として送ります。揺らぎのノイズを除去し、太陽が受け取れる形に変換する──これが我々の“太陽活性化装置”です。」ジオは息を呑む。
「……俺ができなかった“揺らぎの整形”を……?」研究員たちもざわつく。
「民間企業がここまで……?」
ジオの葛藤マナとジュリーが装置を見つめている。
その表情は、希望そのものだった。
ジオは胸が痛む。「……成功してほしい。
太陽が戻るなら、それでいい。」しかし同時に、
自分が太陽を救い、
マナとジュリーに笑顔を見せたいという思いが強くなる。「俺じゃなくてもいいのか……?」
その問いが、胸の奥で重く響いた。
装置起動セレ・テックの技術者が宣言する。
「太陽活性化装置──起動します。」
広場が静まり返る。装置が低い音を発し、
生活音を吸い込むように周囲が静寂に包まれる。
人工太陽灯が反応し、
揺らぎが整えられていく。
解析端末が示す。
“同期率 40% → 60% → 78%”住民たちが歓声を上げる。「いける……!」
「太陽が戻る!」マナが涙を浮かべる。
ジュリーが笑う。ジオも息を呑む。
しかし──失敗!
同期率が 82% に達した瞬間、
装置が突然ノイズを発し、波形が乱れた。
人工太陽灯が激しく揺れ、
広場全体が震え始める。
解析端末が警告を発する。
“整形信号崩壊──揺らぎ暴走の危険”
次の瞬間、装置が停止した。広場は静寂に包まれる。住民たちの歓声は絶望の沈黙に変わった。
マナが震える声で言う。
「……また……ダメなの……?」ジュリーが泣きそうな顔でジオを見る。ジオは拳を握りしめた。
「……俺がやる。」その声は、揺らぐ人工太陽灯よりも強く響いた。
「俺が太陽を救う。マナとジュリーに……笑顔を見せたい。」セレの空はまだ揺らいでいた。
しかしジオの胸の奥には、揺らぎとは違う、
確かな光が灯り始めていた。




