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ソーラーリバース  作者: Daifar


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2/14

第1章 アビへの到着と再会

アビのドックに降り立った瞬間、

ジオは空気の冷たさに肩をすくめた。


太陽の鼓動が弱まった世界の冷たさが、

ここにも確かに存在していた。


胸の奥には、ダイの最後の言葉がまだ残っている。


「……揺れてる。太陽の鼓動が……

何かに触れてるみたいだ……」


あの“揺らぎの波形”を解析できるのは、

自分しかいない。


所長の声に込められた焦りと期待が、

ジオの背中を押していた。


人工太陽灯が照らす光は弱く、どこか頼りない。

アビ全体が、太陽の衰えをそのまま映したような

静けさに包まれていた。


所長の研究室は、以前よりもずっと

雑然としていた。

壁一面に貼られた太陽脈動の波形グラフは、

どれも乱れた線を描いている。

その上から、所長が何度も書き込んだ赤いペンの跡が重なり、必死に太陽の声を聞き取ろうとした痕跡が痛々しいほどだった。


中央の卓上には、ダイが使っていた端末がそのまま残されていた。

画面には最後に送られた

“揺らぎの波形”が固定されている。


ジオは思わず指先でその波形に触れた。


「……ダイは、この揺らぎを

“鼓動の乱れじゃない”と言っていた。」

所長の声は低く、疲れが滲んでいた。

「何かに触れている。そう言ったんだ。」

所長は机の端に積まれた資料を押しのけるようにして、ジオに一枚の紙を手渡した。


それは、ダイが事故の前日に書き残したメモだった。


“周期の乱れは外的要因?

太陽内部では説明できない。

生活圏のリズムと一致する箇所あり

——要再確認。”


ジオは息を呑んだ。

「生活圏の……リズム?」

「そうだ。アビやセレの生活音、鼓動、振動……

ダイはそれらと太陽の脈動が“共鳴している可能性”を疑っていた。」所長の目は赤く、しかし強い光を宿していた。

「ジオ。ダイの残したこの揺らぎを、君に託したい。」ジオは静かに頷いた。

挿絵(By みてみん)

そのとき、研究室の扉が勢いよく開いた。

「所長! 鉄肉の培養槽、また一つ止まりました!」大きな声が響き、ジオは思わず振り返った。そこに立っていたのは――


ジンだった。「……ジオ?」ジンは一瞬、目を丸くした。「ジオ!? なんで研究室にいるんだよ!」ジオは苦笑した。

「呼ばれたんだ。太陽の揺らぎの解析で。」

ジンとは幼なじみであり、学生時代の同期だ、研究室は別れていたが仲が良く、行動を共にする悪友だった。サッカーで汗を流したこともあったっけ。


ジンはジオの肩を掴み、嬉しそうに揺らした。

「おいおい、久しぶりすぎるだろ! 研究室で再会とか、らしくねぇな!」所長が咳払いをした。


「ジン、鉄肉の状況は?」

「ああ……最悪です。太陽光が弱すぎて、

培養が追いつかない。生活区画も寒くて、住民が疲れ切ってます。」

ジオはその言葉に胸が重くなるのを感じた。

(アビも、セレも……限界が近い)

ジンはジオを見て言った。

「研究室だけじゃ分からないことが多いぞ。

生活区画、案内するよ。現場を見たほうがいい。」ジオは頷いた。その選択が、

思いがけない再会へと繋がることを、

このときのジオはまだ知らなかった。



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