第0章 プロローグ太陽の鼓動が弱まる日
【キャッチコピー】「娘に、本物の太陽を見せてあげたいの」――かつて両想いだった彼女の願いを叶えるため、男は世界の物理法則に挑む。
【あらすじ】太陽の力が弱まり、人類が滅びかけた世界。巨大人工衛星アビで太陽の再活性化を研究するジオは、行き詰まる日々の中で、学生時代のマドンナであり初恋の人・マナと再会する。
彼女の夢、亡き友の遺志、そしてライバル・ジンとの友情。すべてを背負ったジオが、挫折の果てに掴み取った「逆転」の答えとは?16,000文字で駆け抜ける、最高に熱くて、ちょっとお腹が空く(?)ハッピーエンドSF!
太陽が弱り始めたのは、誰も気づかないほど静かな変化だった。
観測値がわずかに落ち、人工衛星の外壁に当たる光が、ほんの少しだけ冷たくなった。
だが、その“ほんの少し”が、地球の未来を決定づける始まりだった。
太陽光は急激に弱まり、地球の気温は月単位で下がり始めた。
農地は凍り、海は静まり、都市は白い息を吐きながら沈黙していった。人類は、地球を離れた。
人工衛星 アビ と セレ。
二つの巨大な生活圏が、太陽の弱まりに耐えるための最後の砦となったのだ。
その頃、太陽調査ロケットの打ち上げが行われた。
操縦席には、若き研究者 ダイ が座っている。
通信は順調だった。
太陽の脈動データが安定して送られ、ダイの声も落ち着いていた。
だが、最後の通信だけが違った。
「……揺れてる。太陽の鼓動が……
何かに触れてるみたいだ……」
その言葉の直後、通信は途切れた。
ロケットは太陽フレアの影に飲まれ、
戻ってくることはなく、残されたのはダイが最後に送った“揺らぎの波形”だけ。
アビ太陽研究センターの 所長――ダイの父 は、
その波形を何度も再生し続けた。
太陽の鼓動は弱まり続けていた。まるで、
ダイの言葉の続きを待っているかのように。
そんなある日、主人公 ジオ の端末に緊急連絡が入る。「ジオ。君を最前線に必要としている。」
その声は、所長の声だった。
疲れ切っているのに、どこか必死な響きがあった。ジオは静かに端末を握りしめ、
アビへ向かう準備を始めた。太陽の鼓動が止まれば、人類の未来も止まる。
その事実を胸に刻みながら。




