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運河が張り巡らされた砂漠と雪の惑星に住んでいるけど質問は?~ついでに言うと私は17歳以下の女の子が大好きだ~  作者: 256進法


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8/13

聖騎士の中の聖騎士

ならもっと強くなれ

そして自分を磨け

それでしか、男の悔しさは払拭出来ない


鑑賞用魔法:https://www.youtube.com/watch?v=kdfz02F-8Oo


~リザードマンの村近くの塩湖~


全力で馬を走らせて逃走するミーナの後ろから、ロベールは白馬を駆り猛追する。


「なんという馬術……!!」

「だけど、僕も死ぬ気で訓練して来たんだ!!」


ロベールは馬の腹を蹴り、更に追撃のスピードを加速させる。

ミーナは背後を振り返って一瞥する。


(……クソッ!!)

(スタートダッシュで引き離したのに、もう直ぐそこまで追い付いて来てやがる!!)

(例え童貞でも、聖騎士は聖騎士か……!!)


ミーナはホルスターから赤いリボルバーを取り出し、振り返って連続でロベールに向かって撃つ。

ロベールの身体を神聖文字による魔法陣が包む。


「神聖魔術発動!!」

「《アクセラレート》!!」


ロベールは神速の手綱捌きで射線を躱し、流れ弾を斬り払った。

ミーナは立て続けに弾を放ったが、全て躱されるか斬り落とされてしまった。


「ヒュゥ!!」

「童貞のクセにイカしたマネしてくれるじゃねぇか!!」


ミーナは赤く光る蛇腹剣を抜き、斬り合いに備える。

ロベールは神聖文字が入ったロングソードを、澄んだ青い瞳と共にミーナへ向ける。


「覚悟しろ!!赤髪の傭兵!!」

「デウス・ウルト(神がそれを望まれる)!!」


「覚悟なんか、何時もしてらぁ!!」


ミーナは赤く光る蛇腹剣を鞭の様にしならせ、背後のロベールに向かって放った。

ロベールは剣の先でミーナの蛇腹剣を弾き、更に馬を加速させる。


「ヒャハッ!!」

「前だけ見てるとソンするぜ!?」


ミーナは手首を返して蛇腹剣をしならせ、弾かれた切っ先の軌道を変える。

剣はロベールを縦に回り込んで、彼の首元へ向かって行く。


「──もう奇策は食わない!!」


ロベールは身を咄嗟に屈め、蛇腹剣の切っ先を躱した。

しかし、彼が見上げた先には、馬へ必死にしがみつく銀髪の少女しか居なかった。


「!?」


「馬から引きずり降ろしてやるぜ、白馬の聖騎士サマよ!!」


ミーナは剣を放り捨て、ロベールへロンダードで飛び掛かりながら、腕を背後から彼の首へ巻きつけ、抱えるようにして一緒に地面へ転がり落ちて行く。


「──くっ!!」


ロベールも負けじとミーナの肩を掴み、マウントポジションを取ろうと体を回転させる。

二人は塩と砂の混じった浅瀬へ共に転がり落ち、ロベールの青い兜も吹き飛ばされた。

ミーナの緑色の瞳がロベールのうなじを捉える。


(──今だ!!)


彼女は彼の背後から即座に腕を回す。

そして裸締めで、彼の頸動脈を締め上げた。

ロベールは立ち上がろうと足を動かすが、ミーナの両足が彼の足に絡みつき、仰け反らされてしまった。


「まだだ……!」


ロベールはミーナのチョークを剥がそうと、彼女の腕を掴んで声を絞り出す。


「神聖魔術発動……」

「《フォティチュード》……!」


彼の腕と指の力が増して行き、ミーナの腕が少しずつ剥がされて行く。

しかし、ミーナは彼の耳元で静かに囁く。


「剛力の魔術か……」

「……だが、残念ながらタイムアップだ、白馬の聖騎士サマ」


ロベールの青い瞳から色が失われ、手足から力が脱けて行く。


「父上……母上……クロエ……すまない……僕はまだ弱い……」


ロベールは完全に気を失い、ミーナは彼の下から脱け出した。

ミーナは気を失ったロベールを砂洲まで抱えて引き摺り、乱れた金髪の髪を整えてやった。

そして、落ちていた彼のロングソードを彼の側に置き、赤い蛇腹剣を鞘に差して彼の乗って来た白馬を追い掛け始めた。



~10分後~


「おい!起きろ!ロベール!!」


ガスコーニュは、鷹の様な黄色い目をロベールへ向けながら、彼を抱き起した。


「ガ、ガスコーニュ……殿……」

「あの赤髪の傭兵は……」


ガスコーニュはロベールの問いに優しい眼差しで答える。


「……そうですか」

「僕は……負けたんですね……思いっきり……」


ガスコーニュは籠手に包まれたその大きな手で、彼の肩を軽く握りながら言う。


「だが、まだ五体満足で生きている」

「そして、この敗北は糧に出来る」

「お前は神に愛されてる方だ」


「……!!」


ロベールは青い瞳を大きく開き、目尻からは涙が溢れ出す。

ガスコーニュは彼の側で片膝を付き、目線を合わせながら言う。


「──悔しいか?」


「……はい」


「ならもっと強くなれ」

「そして自分を磨け」

「それでしか、男の悔しさは払拭出来ない」


「……!!」


ガスコーニュはロベールの背中を叩き、巨大なランスを持って立ち上がる。

そして巨体にも拘わらず軽々と黒い馬に飛び乗り、甲冑の黒いバイザー降ろして静かに言う。


「仇は取ってやるぞ、聖騎士(・・・)ロベール」

「【ナイト・フォー・ナイト】と呼ばれた俺の実力、あの女傭兵に教え込んでやる」


そして、ガスコーニュは地平線を猛烈な殺気を以って睨み始めた。


「軽騎兵2騎は、ロベールを後方の歩兵陣地まで連れて行け」

「残りの重騎兵は俺と共に追跡を再開する」

「続け!!!」


「「「ハッ!!」」」


ガスコーニュの黒く筋骨隆々な馬は竿立ちし、猛スピードで駆け始めた。



~塩湖の端~


「追い付いたぞ!クリオネ!」


クリオネは一瞬ミーナの声で背後を振り返ったが、また馬の背に顔を埋めてしまう。


「……!!」


ミーナの馬はクリオネを乗せた馬と並走し、笑顔のミーナはクリオネを乗せた馬へと跳び移った。


「いやー!結構ヤバかったな!」

「久々の綱渡りだったぜ!」


クリオネは長い銀髪で顔を隠し、彼女の頬を涙が伝って行く。

クリオネは嗚咽を漏らしながら、その白い頬を真っ赤にして叫ぶ。


「ばか……!!」

「ミーナさんのばかぁ!!」

「なんで何も言わずに、聖騎士相手にあんな無茶な……!!」


「……ワリィ」

「思っていたよりも伸び代があるヤツだったモンでな……」

「素振りを見せて、こちらの意図を悟られたくなかった」

「だがお陰で、何とか倒す事には成功した」


「……殺したんですか?」


「いや、気絶させて置いて来た」

「帰りは町へのルートを変えるぞ」

「セレンから預かった荷物は抱えてるか?」


「……はい」


ミーナは笑顔で、クリオネの長い銀髪をわしゃくちゃに撫でる。


「良く堪えた!」

「あともう一息だぜ、クリオネ!」


「はい……!」


クリオネは涙を拭いながら、ミーナの胸から暖かさを感じ取った。

笑顔でクリオネを撫でていたミーナだったが、突如背筋に猛烈な殺気を感じて背筋を伸ばした。


「……ヤバいのが来る」

「多分ガスコーニュだ」


「え──」


ミーナは馬の腹を蹴り、速度を上げ始めた。

クリオネはミーナの胸の下から叫ぶ。


「幾ら相手が強くても、ミーナさんならきっと……!」


ミーナは首筋から額まで汗だくにしながら言う。

彼女の鮮やかな緑色の瞳は、珍しく焦燥感に揺れていた。


「ダメだ!」

「ヤツはあの金髪の若い聖騎士とは違う!!」

「ガスコーニュは20年戦争の序盤から終わりまでを生き抜いた、超大ベテランの聖騎士だ!!」


「超大ベテラン……」


「そうだ、現在の聖騎士団団長ラインバウトの直属で、数々の決戦を生き抜き……」

「教会や教都の危機を何度も救った、聖騎士の中の聖騎士だ!」

「傭兵の手口や手管なんぞ、知り尽くしてる!!」


ミーナが言い終わるか言い終わらない内に、地平線から黒い塊が砂埃を上げながら、重騎兵の集団が猛進して来る。


「ガスコーニュ殿!!赤い髪の女が見えて来ました!!」


「総員、《神の矢陣形》!!」


ガスコーニュの掛け声の元、黒い甲冑に身を包んだ16騎の重騎兵達は、一糸乱れぬ動きで錐行陣形を取って行く。

集団で重装備にも関わらず、ロベールに追跡された時より、ミーナ達とガスコーニュの距離は遥かに早いスピードで縮まって行く。

ミーナは手綱を握り締める。


(ちくしょう……!まるで、怒れる雄牛達に追い掛けられてるみたいな圧だ……!!)

(平地じゃ、この分厚い追撃から逃れるのは不可能に近ぇ……!!)

(どうすれば……!)


その時、クリオネが左前方にある、草の生えた巨岩群を指差した。

ミーナは即座に馬の走る方向を左へ変えて行く。


「──ナイス判断だ!!クリオネ!!」

「お前はきっと良い戦士になれる!!」


「わっ、私は傭兵になると決めた訳じゃないですよ!?」


「照れんなって!」

「ハアッ!!」


ミーナは岩場に向かって馬を飛ばす。


「ミ、ミーナさん!!このままじゃ岩にげきと……」


「物心付いた時から馬に乗ってんだ、心配するなって!」


ミーナは馬の腹を蹴り、そして手綱を引きながら道を塞ぐ岩を飛び越えた。

クリオネは内臓と脳の浮くような感覚に、身を震わせた。

その光景を遠くから見てたガスコーニュは、半ば感心した様に呟く。


「──やるじゃねぇか、荒野の傭兵」

「だがな!!」


ガスコーニュは巨大ランスを構え、後続の騎兵達も一斉にランスを構える。


「邪魔をする物全てを粉砕してこその、聖騎士だ!!」

「神聖魔術発動!!」

「《ブルートフォース》!!」


ガスコーニュ達は神聖文字の魔法陣に包まれ、岩に向かって突進して行く。

ガスコーニュのランスの先端が岩に触れると同時に、岩は轟音を立てて砕け散って行く。


「追い付いたぞ!!傭兵!!」


粉砕された岩の破片と砂塵が舞い散る中、追いついたガスコーニュの大きく低く響く声に応じ、ミーナは赤い蛇腹剣を抜いた。




ミーナの人種的・民族的・生活的イメージは、コサック・遊牧民とアメリカの西部開拓民が混ざったような感じをイメージしています。

健康的に日焼けした、彫がそこまで深くないコーカソイドの混血女性って感じです。


ここまでお読み下さりありがとうございました。


「面白かった」「期待している」「マジでカッコいいよ、ロベール……」

「ミーナすげぇ……」「ミーナは本当に優しいな」

「ガスコーニュとロベールの師弟関係が本当に好き」「ミーナとクリオネのやりとりが良い」

「ガスコーニュが強すぎ&迫力ありすぎてビビった」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

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