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運河が張り巡らされた砂漠と雪の惑星に住んでいるけど質問は?~ついでに言うと私は17歳以下の女の子が大好きだ~  作者: 256進法


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お坊ちゃん聖騎士

クリオネは売り物じゃねぇ

私の相棒だ。分かったらとっと帰れ、白馬の聖騎士様よ


鑑賞用魔法:https://www.youtube.com/watch?v=kdfz02F-8Oo


~リザードマンの村近くの塩湖~


ミーナとクリオネは塩湖と塩湖の間にある、細い砂州を歩いて行く。


「なるほど……塩が採れるからリザードマンはここに住めるんですね」


「みたいだな」

「あの鱗のツヤを維持する為には、塩が必要なのかもな」

「それか何かの儀式か」


ミーナは塩湖に指を入れ、掬って舐める。


「これを配給の薄粥に混ぜれば、ちっとは市民も元気になるかもしれないのにな」


「……食糧って配給制なんですか?」


「7~8割方の市民は事実上そうなってるな」

「市場で肉とか魚を当たり前の様に買えるのは、私みたいなリスクの高い仕事をしているか、自営で儲けているか、衛兵か、そして悪党と特権階級だけだ」

「パンやリンゴすら買えない貧民は、教会の施しに頼るしか無いのさ」


クリオネは北方連合の民達に比べ、町で見掛けた貧弱な体型の大人や子供達を思い出す。


「……充分とは言えないまでも、もっと食糧を行き渡らせる事が出来そうですけど……」


ミーナは紐を取り出して赤い髪を結び、ポニーテールにした。

鍛え込まれてはいるが、綺麗な首筋が露わになる。


「農地で収穫された作物や牧場で取れた肉、川で獲れた魚の行き場所は4つある」

「セレンみたいに自営業者が買い付けるか、市場の商人が買い取るか、教会や政府が税として持っていくか……そして……」

「【最果て盆地】だ。ここに肉や魚の3割は持って行かれる」


「【最果て盆地】……!」


「なんだ、知ってるのか」


クリオネは青い瞳を僅かに震わせる。


「お父様や将軍方が、いつもその存在に頭を悩ませていたのを覚えています」

「マルファ将軍が言ってました。1人で1000人と戦える、そういう怪物達を育てている場所だと」


「あー、それは【征服聖騎士】だな」


ミーナは水筒を取り出し、水を飲んだ。


「【征服聖騎士】……?」


「教会が飼っている、殺戮専門の聖騎士達さ」

「育成システムからして、通常の聖騎士達とは違うんだ」

「奴等が居るから、教会勢力は北方連合の先進的な軍隊・兵器と戦えてる」


「見掛けた事があるんですか?」


「ああ、戦場で何度かな」

「私と同じくらいの歳の薄褐色の女だったが、素手で敵の腕とか首とかバンバン千切ってたぞ」

「魔導戦車の装甲を素手で引き剥がしてた時は、流石の私もドン引きだったぜ」


「本当に人間なんですか、その人?達……」


ミーナは何かに気付き、剣の鞘を握る。

彼女の緑色の瞳が収縮し、左右に動き始めた。


「色々と黒い噂はある。奴等のメシにはヤバい薬や、禁制の魔鉱石とかが混ぜられてるとかな」

「牛馬のようにメシを食わされ、盆地に送られた捕虜や奴隷、罪人や異種族を使って殺しの練習をしているとか……」

「まぁ、基本関わらない方が良い連中だ。ありゃぁ人間じゃなくて【兵器】だ」

「ただ幸いな事に、基本連中は盆地から出ては来ない」


(《ドドドドドド……》)


クリオネは蹄の音に気付き、背後を振り返る。

彼女は、騎兵集団の先頭で白馬を駆る青い聖騎士を見た瞬間、その白い頬が引き攣り、身動きが取れなくなった。


「──!!」


ミーナはクリオネをその輝く銀髪ごとマントの内側に隠し、剣を抜いた。


「いいか、連中とは絶対に口を利くな」

「何を言っても答えは決まっている。イエスかイエスだ」


聖騎士と騎兵達は塩湖を踏み散らしながら、ミーナとクリオネを囲み始めた。

金髪碧眼の美男子は馬上で兜を脱ぎ、緑色の瞳で睨んで来たミーナと怯えるクリオネへ言う。


「【レイス王】の娘、《クリオネ・レイス》ですね?」

「我々と教都テトラグラマトまでご同行願いたい」


(……聖騎士には勿体ないぐらいの美男子だな)

(なんつーか良い匂いもしやがる)


ロベールは鐙から降り、爽やかな風を漂わせながら十字を切って言う。


「赤髪のご婦人、貴女の名は?」


「……ミーナだ」


警戒し緑色の瞳で睨んでくるミーナに対し、ロベールはその超イケメン王子様フェイスを輝かせながら言う。


「誤解しないで貰いたいのですが、僕は武力でレイス姫を奪う気はありません」

「彼女をこちらに引き渡して頂ければ、傭兵の護衛任務における通常の10倍の報酬をお支払い致しましょう」

「無論、傭兵ギルドへは教会側から事情を説明しておきますので、経歴にも傷は付きません」


「……珍しいな聖騎士にしては」

「問答無用じゃねーのかよ」


「僕は神の栄光と騎士団の名誉の元、正式に叙任された聖騎士です」

「栄光と名誉に恥じない振る舞いを、日頃から心掛けています」

「そして民と秩序、正義を護るのが僕の仕事でもあります」


「──つまりは、優等生のお坊ちゃん聖騎士か」

「あのガスコーニュも教育に苦労しているだろうな、こりゃ」


ロベールは表情を崩しそうになったが、その金色の髪を整える。


「ミーナさん、これは貴女に取っても得しか無い提案です」

「それにレイス姫を護りながら我々と闘おうとするのは、正気の沙汰では無いですよ」


ミーナは怯えて彼女の身体にしがみつくクリオネの頭を撫で、抱き寄せる。

そして、ミーナの燃えるような赤い髪が逆立つ。


「クリオネは売り物じゃねぇ」

「私の相棒だ。分かったらとっと帰れ、白馬の聖騎士様よ」


ミーナはロベールに向かって剣を突きつけた。

ロベールは余裕を崩さず、正しい決闘の作法で剣を抜き始めた。


「貴女も傭兵ならお分かりでしょう」

「長年に渡って訓練を積んできた聖騎士と、そうでない者との間には大きな差があると」


ミーナは下品な笑みを浮かべて言い放つ。


「御託は良いからとっとかかって来いよ、童貞騎士」

「女とヤるのは初めてか?」


「なっ……!」


ロベールの頬が、一瞬だけ怒りに囚われた様に赤くなる。

次の瞬間、ミーナの蹴り上げた砂と塩がロベールの眼を直撃した。


「ぐっ!?」


「既に勝負は始まってんだよ!!おぼっちゃん!!」


怯むロベールの顔面へミーナの跳び蹴りが直撃し、塩湖へ吹き飛ばされた。

周囲の騎兵達はクリオネを奪おうと、襲い掛かり始める。


「しっかり頭抱えて伏せてろ!!クリオネ!!」

「【レッドデビルズソード】!!」


ミーナの剣が赤く光り、剣が分かれて蛇腹の様に伸びて行く。

クリオネはミーナの言う通り、頭を抱えてサッとしゃがんだ。

ミーナは馬の頭を抑えて跳び上がり、剣を振りながらコマの様に空中で回転した。


「命の纏め買いだぜ!!ヒャッハーーー!!」


蛇腹の様に伸びた剣は騎兵達の首と腕を、次々と斬り飛ばした。

塩湖の中で立ち上がったロベールは目を擦りながら、ミーナへ向けて手を翳す。


「【ウォーターガン】!!」


「【サンドウォール】!!」


ロベールの掌から放たれた水の弾丸は、突如生えて来た砂の壁に打ち消された。


「!?」


「イイ馬揃えてるな!!」

「一匹頂くぜ!!」


ミーナは伸びた剣を戻し、クリオネを抱えて馬に飛び乗った。


「しっかり私に掴まってろ!!クリオネ!!」

「ハアッ!!」


ミーナは手綱を握り、馬の腹を蹴ってその場から逃走し始めた。


「──っ!!」

「逃がすモノかっ!!」


ロベールも剣を握って馬に飛び乗り、剣を掲げながら馬の腹を蹴った。


~2km離れた高台~


ガスコーニュは双眼鏡を下ろし、不敵だが温かい笑みを浮かべて言う。


「フン……」

「泥を舐めても喰らいつく根性はあったか」

「そうだ。俺達聖騎士は『それで良い』んだ」


ガスコーニュは巨大なランスを地面に立て、聖騎士のマントを脱いで従卒に渡した。


「男になり始めた新人の為だ……」

「久々に一肌脱いでやるか!!」


彼はランスを上に掲げる。

兵士達はその後姿を見て、喊声を上げ始めた。




征服聖騎士はコンキスタドールと薩摩武士、ナチス親衛隊、旧ソ連のプロアスリート、プロ格闘家、スパルタ兵、デルタフォースが合わさったような存在だと思って下さい。

平均身長は男性騎士で190cm以上、女性騎士で178cm以上の圧倒的な体格を誇っています。

その怪物の如き強さと体格のヒントは、ミーナの発言の中にあります。


ただ、彼等は体格以上にその精神が軒並み怪物級です。

人間を決戦兵器化して、最前線に投入する教会はマジで頭がイカレてるよ。

カロリーや栄養を金に置き換えて考えると、現代にも通ずる恐ろしい構図が見えて来るハズです。


ここまでお読み下さりありがとうございました。


「面白かった」「期待している」「想像以上に酷い世界だった」

「征服聖騎士とか、もう名前からしてヤバい」「マジで人間なの、そいつら……」

「ミーナがカッコ良すぎ&強すぎ」「ロベール君、結構根性あるな」「ガスコーニュの師匠ぶりが好き」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

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