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運河が張り巡らされた砂漠と雪の惑星に住んでいるけど質問は?~ついでに言うと私は17歳以下の女の子が大好きだ~  作者: 256進法


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リザードマン討伐(後編)

わぁ~~……!!


鑑賞用魔法(街から離れた岩石砂漠地帯から):https://www.youtube.com/watch?v=SSrdDzqUZ3M


~翌日・早朝~

~水車小屋の側にあるミーナの家~


「ふわぁあぁ~~……」


ミーナは欠伸をしながら目の縁を擦る。

クリオネは一生懸命彼女を引っ張るが、彼女の華奢な身体ではミーナの大柄な身体は数センチしか引っ張れなかった。


「もう!ミーナさんったら……!」

「暑くならない内に指定の場所へ行かないと……!」


「んな事言ったってぇ……」

「私、朝早く起きるのニガテなんだもん……」


「ちょっとかわいい……」

「いやいや……!」


クリオネはサイドに纏めた銀色の髪を左右に振り回し、必死で彼女を引っ張る。


「んいぃぃ~~……!」


その時、豆だらけのごつい手がクリオネの小さい手に重ねられる。


「引っ張る力が足りませんねぇ」

「懸垂をオススメしますよ」


その手はいとも簡単にミーナを引っ張り上げ、抱き留めた。

黒髪黒目の女は人形の様に整った顔を、笑顔で歪ませる。


「おはようございます、マイハニー」

「お目覚めのキスは如何ですか?」


「ありがとよ、シトマ」

「最悪の目覚めだぜ」


「『最高の目覚め』でしょう、マイハニー」


シトマは黒いセミロングの髪をサラリと払った。

ミーナは服を整え、装備や荷物を確認し始める。


「まさか、お前も付いて来るのか?リン」


「いえ、朝のニュースをお知らせしようかと」


「……なんかあったな」

「言ってくれ」


シトマは簡素な椅子を引き出して座った。


「昨日、聖騎士達が率いるリザードマン討伐隊が到着しました」

「討伐隊の出発は朝の7時」

「急がないと惨劇が起きますよ」


ミーナの緑色の瞳が鋭く光らせ、セレンから託された荷物を担ぐ。


「部隊を率いてる聖騎士は?」


「新米が一人、大大ベテランが一人です」

「新米の方だけならどうにか煙に巻く事が出来るんですが、この大大ベテランが厄介でしてねぇ」

「【ナイト・フォー・ナイト】のガスコーニュです」


「ぅわ……マジかよ」

「こんな田舎町に投入するようなヤツじゃねぇだろ」

「てか新人聖騎士の教育するにしても、もっとマシな場所あんだろ……教会は何考えてやがんだよ」


「さぁ、それは分かりません」

「しかし、ガスコーニュが投入される以上、教会上層部が動いているのは確かです」

「……ミーナ」


シトマは物憂げに目を伏せる。

しかし、ミーナは彼女の肩を掴んで、笑顔で言う。


「大丈夫だって!タダのお使いだ!!」

「普通に生きて帰って来るさ!!」

「知らせてくれてありがとな!!リン!!」


「マイハニー……」

「お別れのセッ……」


「セックスはしないからな!」

「でも……」


ミーナはシトマの頭を抱き寄せ、額にキスをした。


「キスぐらいはしてやるさ」

「帰って来たら、ナベアツ亭で食べ放題の大宴会だ!」

「胃を開けとけよ!」


「──」


ミーナはクリオネと目線を合わせ、熱に浮かされたようなシトマを放って家から出て行った。



~ミーナ達の出発より1時間半後~

~街の外の砂漠~


「全隊整列!!」

「これより岩山地帯に潜むリザードマン達の討伐に取り掛かる!!」


ピカピカの青い甲冑を纏ったロベールはガスコーニュが見守る中、討伐隊の前で声を張り上げた。

彼は言葉を続ける。


「僕は先鋒隊として騎兵の小隊を率い、先行偵察に出る!!」

「中軍と後軍はガスコーニュ殿が中継地点まで率いる!!」

「以上だ!!進軍開始!!」


ロベールは兵士達と共に馬に乗り、手綱を引こうとする。

そこへ重武装したガスコーニュが彼へ声を掛ける。


「ロベール!」

「初陣気張れよ!!だが力むな!!」

「いざという時は、俺が教えた事を思い出せ!!いいな!?」


ロベールは澄んだ青い瞳と共に、ガスコーニュの視線に答える。


「はい!!ガスコーニュ殿!!」


ロベールは馬の腹を蹴り、兵士達と共に砂漠を駆け抜けて行った。



~ロベールの出立から3時間半後~

~街から離れた岩石砂漠地帯~


「足元気を付けろよ!クリオネ!」

「落ちたら痛ぇぞ!」


「い、痛いで済むのはミーナさんだけです!」


「ヒャハハハッ!そうだったな!」


ミーナはクリオネの細い手を引き、難所を通り抜けて開けた場所に出る。

壮大な光景に、クリオネの青い瞳が輝いて大きくなる。


「わぁ~~……!!」


円卓の様な赤褐色の岩々と、その隙間から生える曲がった木々、塩湖、それらを囲む様に青空が広がっていた。

ミーナはフードを取り、赤い髪をたなびかせながら笑顔で叫ぶ。


「サイコーの気分だぜ!!!」

「ヒャッハァ~~~ッ!!!」


クリオネもミーナの真似をし、笑顔で思い切り叫ぶ。


「ひゃっはーー!!!」


スッキリしたミーナとクリオネは、円卓の様な岩場を歩いて行く。

ミーナはクリオネの細い肩を抱き寄せて言う。


「このお使いは楽しいか?クリオネ」


「はい!」

「こんな景色があるなんて……城に居る時は思いもしませんでした!」


「……城?」

「え?え?まさかの超お嬢様だったの??」


「……ミーナさん」

「【レイス王家】って知ってますか?」


クリオネの問いにミーナは目を閉じて首を捻るが、恐るべき事に答えが出て来なかった。

クリオネは目を見開いて驚き、悩むミーナを見て言う。


「まさか、自分の国が何者と戦争しているのかも知らないなんて……」


「あーホラ……私は【北方連合】って存在は分かるけど、その中身については良く分かって無いから」

「てか、同盟出身の傭兵達は皆似たようなモンだと思うぞ」


「えぇ……」

「小学校とか無いんですか?ほら、皆が一緒に義務的に同じ教育を受ける様な……」

「歴史とか、地理とか、物理学とか、算術とか、政治経済とか……」


「?」

「なんだそれ」

「軍事学校とか魔術学院とかはあるけど、そんなものは無いぞ」

「因みに私はあまりにも勉強が出来なさ過ぎて、魔術学院は中退したけどな」


クリオネは額に汗をかきながら、銀色に輝く毛先を握る。


「まさか……ロタリの教育レベルって……かなり低い……?」


「低い、っていうより格差が凄いってカンジかも」

「シトマなんて軍事学校を首席で卒業してるしな」

「女将はどっかの学校で、臨時の講師やってたみたいだし」


「うそぉ……」

「じゃあ、ミーナさんはコレでもかなり高い方だったんですね……」

「ショック……!」


「ショックってなんだ!ショックって!」


ミーナの傷だらけの手が、クリオネの輝く銀髪をわしゃくちゃにする。

しかし、クリオネはわしゃくちゃにされながらも笑顔だった。


「そろそろメシにするか!クリオネ!」

「女将に作って貰ってたんだよ!」


ミーナはクリオネを連れて日陰に入り、紫色の包みを取り出した。


「じゃ~~ん!」

「塩結びです!具はお楽しみらしいぜ!」


「シオムスビ……?」


「ああ、北方じゃ米は作れないんだったな」

「米を広げて、具を詰めて三角形に握るんだよ」


ミーナは包みを開け、塩結びを取り出した。


「おー!6つか!」

「奮発してくれたじゃねぇか!女将!」

「私が4つでクリオネ、お前が2つな!」


「ちょっ、ちょっとズルいですよ!ミーナさん!」

「ここは平等に3つずつじゃないですか!?」


「私の方が体がデカいから、これで良いんだよ!」


ミーナは強引に塩結びを頬張り始める。

しかし、3つ目を食べた時に顔色が変わる。


「──!」

「まさか、これ私がニガテな梅干し……」


彼女は途端に口をすぼめ、転げ回りながら悶える。

クリオネは川昆布の塩結びを齧り、クスクスと笑う。


「セレンさんはミーナさんの行動なんてお見通しみたいですね!」

「ふふふっ!」


「ち、ちくしょ~~!」

「おらー!お前も梅干し食え~~!」


ミーナは握り飯を割り、梅干しを取ってクリオネの小さい口に押し込んだ。



~同時刻~

~ミーナ達より5km離れた高台~


双眼鏡を構えていた兵士が、ロベールの元にやって来て片膝を付く。


「ロベール様!」

「怪しい二人組を発見しました!」

「一人は大人で一人は子供です!」


ロベールは馬上で双眼鏡を受け取り、兵士が指差す方向を覗く。


「──!!!」

「アレは記録石で見たレイス王の娘と、恰好こそ違えど瓜二つ……!!」

「情報は本当だったのか……!!」


彼はクリオネの横に居るミーナへ視界を移す。


「……アレは傭兵か?」

「まさか、護衛に雇ったと……?ギルドを通さずに……!?」

「しかし、支部の【要注意人物リスト】では見た事が無い……厄介な人物では無さそうだ」


ロベールは剣を抜きかけたが、彼はガスコーニュの『自分の五感を使え』という言葉を思い出す。


「……もしかしたら、交渉でどうにか出来るかもしれない」

「もし傭兵ならギルドと教会の名を出し、金を渡せばこちらの言う事を聞く可能性は高い……」


彼は兵士に双眼鏡を返し、兵士達へ言う。


「あの赤髪の女傭兵に追いつき、交渉の後レイス王の娘を捕縛する!」

「続け!」


ロベールは手綱を引き、見事な馬術で崖を駆け下りて行った。



~ミーナ達が休んで居る日陰~


「さ!そろそろ行くか!」

「あともう少しだ!」


「はい!」


ミーナはクリオネの引き、立ち上がらせる。

二人は荷物を背負い、強い陽射しの中を歩き始める。


「気になってたんですけど……」

「ミーナさんって右の上腕に刺青入れてますよね?」


クリオネは僅かに目線を逸らし、ミーナへ言った。

だが、ミーナは服を捲って笑顔で応える。

それは兜を被った髑髏を二つのダガーナイフが刺し、額にはΩの文字が刻まれたデザインだった。


「ああ、コレか……」

「アレは二十年戦争末期の時、傭兵部隊の仲間全員で同じモノを入れたんだ」

「兜は『背中を預け合う戦友との固い絆』、髑髏は死への『恐怖の克服と死んだ戦友達への想い』、ダガーは『殺し合いの覚悟』、Ωは『終わりをもたらす者』って意味だな」


クリオネは刺青を観ながら言う。


「……その部隊にはどんな人達が居たんですか?」


「魔導鎧使いで機械オタクのクライヴ、手品と空間魔術が得意なアリス、恋人思いの猟兵トラヴィス、鞭でマゾ男を躾けるのが大好きな自由騎士アントワーヌ……」

「アイツら、今頃何やってんだろうなぁ~~」


(最後の人に関しては、聞かなかったことにしよう……)


ミーナは服を戻し、クリオネの肩を抱いて言う。


「逆に聞くけどさ、お前と仲が良かった奴等の事を私に教えてくれてよ」


「うん!」

「家庭教師のマルファ将軍、メイドのレイシィ、執事のトーレス、ヨハン伯爵かな!」

「私も……あれ……?」


クリオネの目からは自然と涙が溢れて来ていた。

流れた涙は涸れ川の様に、あっという間に蒸発して行く。


「おかしいな、なんでだろう……」

「止まらない……」


ミーナはクリオネにフードを被せ直し、無言で頭を抱き寄せた。




(要注意人物リストについて)


要注意人物リストの中には、衛兵殺しだったり、人斬りや盗賊行為の常習犯だったり、麻薬の売買に手を染めていたり、シリアルキラーだったり、人体実験をしていたり、民衆を率いて教会の批判をしたり、国家転覆を図ったりしたヤツらの名前が並んでいます。

教会の情報部門が作った、いわゆる『この世のロクデナシ共』リストです。

一旦このリストに載せられると、審問時に如何なる言い訳も通用しなくなります。


ゼノスはこれに載る寸前だった。プリヤのクロを造ろうとしたようなモノなので。

当局からの追放は寧ろ温情なんだよなぁ。

ミーナちゃん28歳はダメな生活してるだけで、教会基準では悪党では無いので、リストへの掲載からはかなり遠い。


ここまでお読み下さりありがとうございました。


「面白かった」「期待している」「寝起きのミーナかわいい」

「セッ……」「シトマ、イイ奴だな」「クリオネかわいい」

「ロベール君のフレッシュな若武者ぶりが良い」「ひゃっはーー!!!」


「同盟の教育水準が酷すぎる」「女将の深謀遠慮(梅干し)」「見つかるの早すぎでこわ……」

「ロベール君の能力、やっぱりかなり高い」「まさか、それって特殊部隊……」「かなり個性的な仲間達だな」「ミーナのクリオネに対する心遣いが好き」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。


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