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運河が張り巡らされた砂漠と雪の惑星に住んでます~ついでに言うと私は17歳以下の女の子が大好きです~  作者: 256進法


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20/23

女サムライ達の身を焦がす様な妄執(中編)

アカン!気合い入れてカマそうと思ったら、完全に上滑りやんけ……!

これじゃうつけや……!


鑑賞用魔法(屋根の上から):https://www.youtube.com/watch?v=livipyg0Idk


~キオト・老主人の屋敷~

~大広間・パーティー会場~


老主人の前で、橙色の髪をした大女が腕を振りながら軽く頭を下げた。

後ろに居た背の高い仮面の青年も、同じように頭を下げる。

老主人はワインを啜って言う。


「マルタレータ嬢、今日はこのパーティーに来て頂き感謝する」

「ますますお母君に似て、妖艶さと美しさを増して来たな」


「──有難う御座います」

「楽園の母も喜んでいる事でしょう」


老主人は軽く微笑む。


「……と社交辞令はここまでだ」

「今日は気楽にやってくれ。そして、御父上の墓参りに行けなくて済まない」

「何分このザマなものでな」


老主人は自分の足を叩いた。

マルタレータは軽くえくぼを作る。

老主人はマルタレータの横に居た、仮面の青年を見て言う。


「彼は?」


「──マウリッツ」


仮面の青年はマルタレータの言葉に促されるかの様に前に出て、再び頭を下げた。


「私はホーラント子爵、マウリッツ・ファン・バルセラフと申します」

「代々学者と貿易を生業としています。お見知り置きをアルマフディー翁」


(──!!)

(バルセラフ家……!!)


アルマフディー翁の鋭く青い瞳が、マルタレータの女神の様な顔を射貫く。

マルタレータの口元が、余裕を持って歪められる。

翁は葉巻を取り出して彼女へ言う。


「……お前の父親が今のお前を知ったら、悲しむぞ」


「……私にはやらないといけない事があります」

「あの緑眼の枢機卿を地獄に葬り去るまで、私は止まれない」

「いえ、止まる訳には行かない」


「……茨の道だぞ」


「その道を踏み破って行く為の、バルセラフ家です」

「当主のヒルダは破門されていて、自由に動き回れない」

「だからこそ、彼女の息子であるマウリッツに動いて貰っています」


マルタレータはメイドからシャンパンを受け取り、一気に飲み干した。

そして横目で食器を片付ける、赤髪緑目に変装したクリオネを一瞥した。


「なんや……」

「新しい男でも作ったんかと思うたら違うんか、マルタレータ」


一際派手な和服に身を包んだレイカが、際どく超モデル級の生足を見せ付けながら歩いて来る。

会場に来ていた男達の視線が、彼女の艶めかしいうなじと長い足、そして火傷の跡に集中していく。


「……これはまたエラく派手なのを連れて来たな、マルタレータ」

「既に場を支配仕掛けているぞ」


マルタレータは額に手を当て、深くため息を付いて翁へ言う。


「……ウチのギルドの有望株です」

「まさかここまで派手に傾くとは思いませんでしたが」


レイカは頭も下げず、キセルを吸ってアルマフディー翁へ言う。


「これからよろしゅうな、ジイさん」

「何かと世話になるかもしれへんから、今日は挨拶と酒を飲みに来たで」


それは、まるで自分の前に跪けと言わんばかりの態度だった。

しかし翁は軽く笑って言う。


「──可愛い物だ」

「まるで祭りに出てきた町娘の如し、だな」

「しかし生意気は若者の特権、今日は思う存分自分を売り込んで行けば良い」


マルタレータは翁の言葉に笑いを抑えきれず、レイカを横目で見ながら口元を隠した。

レイカはばつが悪そうに服の裾を整えて言う。


「アカン!気合い入れてカマそうと思ったら、完全に上滑りやんけ……!」

「これじゃうつけや……!」


「ププ……良くある事さ」

「ま……お前は笑いを取る方が向いているかもな」


うつけの姫様はニヤニヤするマルタレータを見て、不機嫌そうに近くの椅子へと座り込む。

仮面を付けた青髪の青年はうつけの姫様の対面に座った。


「……なんか用か、仮面」


「いえ、昔貴女と似た人物を見た事がある……」

「そのような気がしているのですが」


「……ワイに興味無い癖にヘタな口説き文句垂れたら、刀の錆にするで」


「──実に面白い」

「貴女には深い教養も高い知性もありながら、敢えて自分を崩している様に見えます」

「何故そうなさるのですか?」


レイカは刀の柄に手を触れ、小豆色の目が仮面の奥に光る紫色の瞳が射貫く。


「──人には聞いてはならん事があるの、親に教わらんかったんかいな」


「残念ながら」

「私の母は私を深く愛してくれましたが、他者を愛する事を教えない人間だったので」


レイカはマウリッツから顔を反らして言う。


「……はんっ、人の愛し方をワイで学ぼうってか?」

「もうちょい女の口説き方勉強してから出直せぇや、オタク君」

「在野のロリコン学者ですら分かってる事やで」


「はは……」

「中々に耳が痛い」


「でも、この会場で声を掛けて来た男はオマエだけや」

「その度胸だけは認めたる」


レイカはメイドからマカロンを受け取り、僅かに微笑みながら軽く囓った。



~キオト・大通り~


「なっ、なんだ!?」

「石畳がグニャグニャに……!?」


「あ、足が……!」

「足が引っ付いて離れない……!」


ウエスギは先陣の動きが止まった事を見ると、足止めされた教会兵達の所まで歩いて来た。

そして彼女はグニャグニャの石畳を切り裂き、中から溢れた白い液体を取って舐める。


「……簡単な水魔術と砂糖、膠(にかわ)、でん粉、そして泥魔術……」

「魔術のレベルそのものは低いですが、偽装と足止めとしては完璧、豊富な実戦経験と柔軟な発想が窺える……」

「流石はキオト一の富豪……見事な手練手管と人脈ですね」


教会兵の部隊長はウエスギへ言う。


「遠回りになりますが、迂回しますか!?」


「──いえ、他のルートも同じ状況でしょう」

「だから『地下』を使います」

「600の兵を120の分隊に分け、5人一組で下水道から屋敷へ向かいなさい」

「残りの600は罠の除去と、水路と街門の封鎖を」


「ウエスギ様はどうなされますか!?」


ウエスギは刀を仕舞って言う。

そして隣に居たロベールの肩へ手を置いて言う。


「上(・)から行きます」

「今回の敵、あの老富豪だけではありません」

「ロベール君、しっかり付いて来て下さいね」


ロベールは青い瞳でウエスギの後ろ姿を捉える。


「はっ、はい!!」


ウエスギは街路樹の枝へ飛び移ると、そこから軽業師の様に家の屋根へ着地した。

ロベールも神聖魔術を発動させ、風の様に屋根へと飛び移って行った。



~キオト市街地・屋根の上~


ミーナは煙突の裏から教会兵達がトラップに掛かって足止めされた事を確認すると、次の地区へ行こうとした。


「ぃよしっ!『ねばねばドロドロ作戦』成功!」

「今度はあの通りに……」


「──流石は海千山千っすね」

「あの爺さん、やはり傭兵を雇ってたか」


「──!!」


ミーナの目の前に刀を持った美形の剣士が、裏路地から跳び上がって来る。

ミーナは即座に赤い蛇腹剣を抜き、剣士の足に向かって剣を放った。


「悪いっすけど、その手は食わないす」


剣士は華麗さすら感じさせる様な前方宙返りを見せ、ミーナの脇腹に向かって籠手返しを放った。

刀の切っ先がミーナの脇腹を掠め、彼女は転がりながら赤いリボルバーを抜いた。


「させないっすよ」


炎の壁が突如現れ、ミーナの銃撃を防いだ。

弾は溶け落ち流れて行く。


(……!!)

(これはレイカの──)


ミーナが炎に意識を奪われた次の瞬間、彼女の左頭部へハンジローの強烈な蹴りが放たれた。

ミーナはガードが間に合わず、吹き飛ばされてしまった。


(し、視界が……!)

(ク、クソッ……!)


ミーナは屋根を転げ落ち、路地裏に掛かっている洗濯ロープを切り、それを掴んで振り子のように路地裏に着地した。

彼女はフラつく視界と足元に喝を入れながら、街の奥へと逃走していく。


「──手練れっすね」

「しかし、俺からは逃げられない」

「【古代火炎魔術】……《導火眼》」


ハンジローの周囲に無数の丸い炎が現れる。

そして、炎は眼球の形を取り、街中に散り始めた。


(……!!)

(ありゃ広域追跡魔術か!?)

(ならゼノスから借金のカタに取ったアレを使うか……!)


ミーナは透明なビー玉らしき物体を取り出した。

彼女が魔力を込めると、彼女の姿が背景に溶け込んでいく。


(……音や熱の感知がメインじゃない事を祈るぜ)


ミーナは大通りに出て、雑踏に紛れて行く。


「これは本当に手強いな……」

「全く、こんなに手こずるのは姉さんと隠れんぼをした時以来だ……」


眼を閉じていたハンジローは、静かにそして微笑を浮かべて呟いた。



~工場地区・時計塔~


スコープを覗く緑色の瞳が、レイカのこめかみを捉える。


「──仮面の男が邪魔だが、射線は確保出来た」

「……さらばだ」


トラヴィスの指が引き金を引こうとした時、ゴツゴツした何者かの指が引き金を止める。

気持ちの悪い笑みを浮かべたシトマが、光の無い黒目を曲げる。


「ここまで準備して頂いて申し訳ございませんが、お仕事は中止ですよ」

「マーク・トラヴィス」


「──!!」


トラヴィスは即座にシトマの手を振り払い、ブローバック式の魔導銃を取り出した。

シトマは素早く手裏剣を投げトラヴィスの指に突き刺したが、彼は負傷にも構わず引き金を引く。

縦断がシトマの頬を掠める。


「全く、これだからプロは嫌ですねぇ!!」


「──同感だ」


シトマの短刀と、トラヴィスの山刀が即座にぶつかり合い、火花を散らしていく。

トラヴィスは魔導狙撃銃の場所へ転がり込むと、銃を持って時計塔から飛び出した。

シトマも時計塔から飛び出し、彼を追い始める。


「【陰影魔術】発動」

「《影縫い》」


走るシトマから影が急速に伸び、トラヴィスの影に追いついて一体化する。

途端にトラヴィスは足が動かなくなり、彼女に向かって魔導狙撃銃を放った。

シトマの肩を弾が貫き彼女は倒れ込みかけたが、そのままトラヴィスに組み付く。


「密着してしまえば、もうずっと私のターンです」


シトマの右手がトラヴィスの肩甲骨の下辺りを掴み、彼女の左手がトラヴィスの右手を引いた。


「─!」


回転するシトマの腰に乗せられてトラヴィスの身体に宙に浮き、彼は屋根に投げつけられた。

屋根を突き抜けて落下する中、シトマは彼の上体を横から押さえ込みつつ、地面にたたき付けた。




今回はミーナ、怒りのキオト開始って感じですね。

次々回のサブタイはこれで行くか。


ここまでお読み下さりありがとうございました。


「面白かった」「こんな怪物女にも令嬢時代があったんだよな…」「仮面の青年、完全に厄ネタで草」

「おいおい、破門って……」「傾いてるなぁ、レイカ」「老主人の格、本当に落ちないなぁ…」「うつけの姫様は草」「ロリコン学者が愛しているのは少女だけだろ!」


「ミーナの時間稼ぎ作戦、結構頭良いな」「ウエスギ、即座に見破っててコワ~……」「ハンジロー君カッコ良すぎ」「完全にゲリラ戦になってて草」「姉さんってさぁ、もうこれ…」

「やる時はやるな、このストーカー忍者」「トラヴィスもシトマもプロすぎる」「陰影魔術がカッコ良い」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

宜しくお願い致します。


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