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運河が張り巡らされた砂漠と雪の惑星に住んでます~ついでに言うと私は17歳以下の女の子が大好きです~  作者: 256進法


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女サムライ達の身を焦がす様な妄執(前編)

ご馳走様でした!!

腹が減っては戦は出来ぬ!名言ですね!!


~キオト・老主人の屋敷~

~書斎~


老主人が穀物組合への手紙を書いていると、突如窓がノックされた。

老主人は立ち上がり、杖を付きながら窓を開ける。


「ぃよっ!ジイさん!」

「メイド長!連れ戻して来ました!」


老主人は窓から入って来たミーナの言葉に対し、微笑を浮かべ深く頷く。

クーヤはミーナの後ろに隠れ、申し訳無さそうに顔を伏せていた。


「──クーヤ」

「今回の件において、お前が引け目を感じる事など何一つ無い」

「寧ろ私の落ち度が原因だ。許してくれ」


老主人はクーヤに深々と頭を下げた。

クーヤは慌てて飛び出し、老主人を引き起こそうとした。

だが、老主人のお辞儀は強固だった。


「旦那様……」


ミーナは椅子に座り、足を組みながら言う。

もうはしたない不良メイドにお戻りだ。


「ジイさん」

「頭上げてくれや。クーヤが困ってるぜ」


老主人はミーナに言われて静かに頭を上げる。

そこには涙を灰色の目に溜めたクーヤが居た。

老主人は2人に言う。


「……無様だろう私は」

「この街の経済と物流を掌握しながら、たった1人の人間を自由にする事すら出来なかった」

「そして、このキオトそのものまで危機に晒してしまっている……」


「……旦那様……」


ミーナはタバコに火を点け、煙を吸って窓の外に向かって吐きかけた。


「──ウエスギってのはそんなに厄介な聖騎士なのかよ」


「彼女は聖騎士と名乗ってはいるが、遙か東方の彼方で虐殺と戦勝を重ねて来たサムライプリンセスだ」

「故国では到底扱い切れず、教会には聖騎士として教育し直す為に預けられたに過ぎない」

「奴隷の反乱など毎回皆殺しで、中には村ごと消されたという話も聞く……」


「……まさかキオトで大虐殺をやろうってんじゃないだろうな、サイコ姫様は」


老人はミーナの向かいに座り、葉巻を取り出して火を点けた。


「……そのシナリオを含めての挑発だろう」

「私は彼女を経済的に締め上げる事は可能だが、人・物・金が動く前に攻撃してくる可能性もある」


ミーナは机の上に置いてあった糖蜜菓子を摘まんで言う。


「──多分、ソイツは今日のパーティーを直接狙ってくるぜ」

「勘だけどな」

「商人や業者達を纏めて脅し、武力で自分の直接支配下に置く積もりに違いねぇ」


「……脅しに従わなかった場合は?」


老主人は葉巻を吸い、言葉と共に煙を吐いた。

ミーナは言う。


「マジで全員殺しに来るだろうな、この街の全てを奪う為に」

「東方での話が本当かどうかは分からねぇが、【サムライ】ってのはそういう生きモンだ」

「『サムライメンツ』とやらに賭けて、必ずやる」


「知っているのか、【サムライ】を」


ミーナは赤い髪を掻きながら答える。


「──ああ、居るんだよ」

「元サムライの悪党が友人に1人な」

「今は商人やってるけど、アイツと仕事で手を組んだ時はマジで容赦が無かったぜ」

「知ってるか?アイツ等旅人とか乞食を弓矢や銃で殺したりして、ウデを磨くらしいな」


とんでもない生き物だ。


「……今回その鏃や銃口が向いているのは……」


「この街だな」

「しかも教会がバックに付いてやがる。随分とヤバいケンカだぜ、今回のは……」

「ジイさん、私が言うのもなんだが度胸あり過ぎるだろ」


老主人は微かな笑みを浮かべて言う。


「しかし、戦い方は知っている」

「だから真っ直ぐ帰って来た。そうだろう?」


ミーナは笑いながら答える。


「ヒャハハハッ!!」

「こんなの、魔導鎧の部隊に追い回された時に比べれば、まるで大した事ねぇって!」


笑うミーナを見て、クーヤは何処かほっとしたような表情を浮かべてしまった。

ミーナは立ち上がり、老主人に何やら耳打ちした。

老主人は鋭く研ぎ澄まされた青い瞳を向けながら、ミーナへ重さを感じさせるような声で言う。


「──必ずやり遂げられるか?」


ミーナは自分の心臓の辺りを叩いて言う。


「──任せろ」

「こう言う時は失敗した事ねぇんだよ、私は」


そしてミーナはクーヤに言う。


「メイド長、ちょっと『お使い』に言ってきます」

「怪我とかしちゃうかもですが、ご容赦を」


クーヤは優しい表情でミーナの頬に手を伸ばし、触れて言う。


「……気を付けて、ミーナ」

「貴女の帰りを……待ってるから……」


ミーナの力強い緑色の瞳と、クーヤの潤んだ灰色の瞳が交錯する。

ミーナはクーヤの手を優しく握り、中庭で物を運んでいたクリオネを見つけ、窓から飛び降りて行った。


~1時間半後~

~屋敷~


クリオネは食事を運びながら、次々と敷地に入って来る馬車や馬に乗った有力者達を窓から眺める。


(ミーナさん……)

(いざという時は、客をこかしてでも狙撃から守れって……)

(まさか……もうここは戦場なのでは……)


彼女は思考に気を取られ、足元をふらつかせて転びそうになる。

しかし、誰かの手が彼女の肩を支えた。


「気を付けて、リオ」

「今は配膳に集中して」


クリオネが振り返ると、そこには目元に赤さが残ったクーヤが居た。


「め、メイド長……!」

「ご、ごめんなさい……!」


クーヤの灰色の瞳と、クリオネの緑色に偽装された瞳が交わる。

クーヤは言う。


「もう……変装する必要は無いと思うわ、クリオネ」

「緑色の瞳に青さが少し浮いているもの」


「えっ……」


「貴女がミーナの妹でない事は、本人がバラしてくれたわ」


クリオネは目を左右に動かして言う。


「……それミーナさんが自然に口を滑らした感じですかね」


「まぁ……そうね」


「や、やっぱり……!」


クーヤは微笑を浮かべ、胸元を握り締める。


「でも良いのよ、もうそんな事は……」

「彼女は私の身も心も救ってくれた……恩人のアラを咎める気は全く無いわ」


クリオネは彼女の表情をジッと見る。


「……まさか……」

「ミーナさんに惚れてませんか、メイド長(・・・・)」


「えっ……」

「い、いぇ、そっ、そんなワケないじゃない!」

「あんな粗暴でガサツで、適当で、荒々しくて、失礼な人を……」


「はいはい」

「ご馳走様でした。メイド長」

「ミーナさんの事が好きなの、もうバレバレですから」


「んなっ……!」


メイド長は頬まで赤くし、髪を触り始めた。

クリオネはすっかり乙女心地なメイド長へ、正対して言う。


「メイド長には悪いですけれど……」

「ミーナさんの隣は私ですから。これは譲りませんから!」


クーヤは少し微笑んでクリオネへ言う。


「そう──」

「でも、主人の側に常に仕えるのは熟練のメイドって、相場が決まっているモノなのよ」


おー!

バッチバチだぜ!


【おーおー】

【メイド同士が睨み合って何しとんねん】


「「!!」」


女は灼けた茶色のポニーテールを綺麗に流し、火傷から特徴的な三白眼で2人を見下ろしていた。

そして女はクリオネの肩を叩いて言う。


「オマエ、リオやろ」

「変装なんかしてここで何しとんねん」

「あのバカミーナの付き添いか?」


「ま、まさか招待客の1人がレイカさんだったなんて……!」


レイカは炎の絵柄が描かれ、金箔が貼り付けられた和服の裾を2人へ見せびらかしながら言う。


「そら、もう貿易ギルドの有望株やからなワイは」

「今日は幹部のマルタレータの推薦が通ってここに来とんねん」


クーヤはクリオネに尋ねる。


「リオ、この人は……」


「レイカさんです」

「端的に言うと、ミーナさんの親友兼悪友です」


クーヤはジロジロとレイカを睨む。


「……ホントはマフィアとか盗賊なんじゃなくて?」

「あと雰囲気が完全にアッチ系じゃない」


「……そうかもしれませんが、一応招待客って事はマトモな身分で参加しているハズです」


「おい!」

「貿易ギルドの会員言うたろが!オマエ等!」


「こんな派手で傾いた格好をする商人、メイド長の名に賭けて聞いた事がありません」

「しっしっ」


レイカの頬へ青筋が入る。


「おい!クリオネ!」

「なんやこのミニスカツンツンメイドは!」

「最初から敵対的なんやけど!」


「正直……私も面識が無かったら、反社会的勢力の不法侵入を疑ってました……」


「ファーーwww」


クーヤはレイカの下駄をつま先で小突く。


「貴女みたいな女はミーナにとって悪影響です」

「今後は近づかないで貰えますでしょうか?」

「それか服装を改めるかの二択です」


レイカはクーヤの目と鼻の先に、自分の顔を近づけて威圧する。

そういう所やぞ、元お姫様。


「はぁ~~~?」

「向こうがワイに近づいてくんねん」

「それに好きな服を好きな様に着こなして、何が悪いんやコラ」


「注目を集めてチヤホヤされたい心情はお察ししますが……」

「場と品位は弁えた方が宜しいかと」


「……あ?」


クーヤとレイカは再び睨み合う。

クリオネは思わず心の中で突っ込む。


(こ、この2人……)

(み、水と油……!!)


レイカは平然とキセルを取り出し、火を点けて吹かし始める。

オシャレ王でも目指す気か??


「こないな気の強いメイドは初めてやで」

「まぁええわ。会場まで案内せぇ、クリオネ」


「は、はい!わかりました!」


レイカはクリオネに案内されて行ったが、後ろを振り返って攻撃的な笑みをクーヤへ向けた。

クーヤは苛つきながらも、ミーナの笑顔を思い出して心を鎮める。


「平常心、平常心……」


クーヤが厨房に向かって歩き始めると、通路一杯を塞ぐ様な巨体が立ち塞がった。


「相変わらず良~~い屋敷だねぇ~~……」

「この街が如何に儲かっているかが分かるだろう?マウリッツ子爵」


仮面を付けた背の高い青髪の男は、穴から紫色の瞳を光らせる。


「はい。クレーヴ元伯爵」

「これなら実験用の素体調達にも困らなさそうです」


巨女は燃える様な橙色の髪を翻し、赤紫色の瞳を滾らせて言う。


「共和国の政治的な独立の為には、魔導生体工学の発展は不可欠……」

「キオトはその実験体調達の拠点として、これ以上に無く相応しい所だからねぇ……」

「征伐聖騎士達なんてモノがなければ、そんなコトもする必要無いんだが」


「はい」

「それにしても、この街の造りは数学的に無駄が多過ぎます」


「フフ……」

「そこは情緒がある、という事で処理すれば良いんだよ」


女は眼下で控えているメイドに気付き、身を屈めて言う。


「おい」

「私達を案内しな、元(・)奴隷」


「……はい」

「かしこまりました、マルタレータ(・・・・・・)様」

(何故奴隷解放の件を……!?)


「『何故私の最新事情を知ってるのか?』って顔だねぇ」

「そこは共和国の最新魔導技術のお陰、さ」


クーヤは背中に冷や汗を掻きながらも、2人を案内しようと歩き始める。

しかし、身体が糸で縛られたみたいに固定されて動かなくなる。


(──!!)

(身体が……!!)


「今の会話……知られたままで良いのでしょうか、クレーヴ元伯爵」

「この館の主人は私の目的をきっと好まない」


仮面の男は操り人形を動かす様に指を動かし、クーヤの身体の向きを変える。

しかし、マルタレータは軽く笑う。


「それがどうしたと言うのさ」

「私達の後ろには国家と隠れ新教派……更には北方連合が付いている」

「老いぼれ1人にどうにか出来る話じゃないよ」


「そうですか」


仮面の男が指の動きを止めると、クーヤの身体は自由を取り戻した。

クーヤは僅かに拳を握り締め、震える足を一生懸命動かしながら想う。


(早く帰ってきて、ミーナ……!)

(でないと私……!)


クーヤは2人に気取られない様に軽やかに歩くよう努めたが、その足元は僅かにフラついていた。



~聖堂敷地内~

~庭園~


「……と言うワケっす」

「メモ出来たっすか?」


ハンジローは灼けた茶色の髪をかき上げ、タバコを取り替え、コーヒーを啜り始めた。

ロベールは一生懸命にメモ帳へ内容を落としていく。


「す、少し待って下さい……!」

「禁止事項が40もあるなんて……!」


「これでもマシになった方っすよ」

「昔はまだ法則すら見えなくて、気分次第で動いているだけに見えたっすからね」


ロベールはまだメモを纏め続けていたが、ハンジローは言葉を続ける。


「姫様の機嫌次第で死ぬ人間は多いっすが、アンタは気に入られた側だ」

「長生き出来るタイプっすね。直感っすけど」

「これにて、姫様取扱い主任者講習は修了っす」


「あ、ありがとうございます……!」


「しかし、アンタも大変っすね」

「あのガスコーニュの次に姫様なんて」

「普通だったら帰郷願い出してるっすよ」


ロベールはペンを止める。


「……僕には家族を土地持ち貴族に戻す、という目的があります」

「土地を買い戻す為には金を貯めなければなりません」


「……どの位っすか、その土地の値段は」


ロベールは明るい笑顔で答える。


「──まともに聖騎士を務め上げて15年という所でしょうか」

「しかし、自分のした選択に悔いはありません」


ハンジローの小豆色の瞳が鋭くなる。


「家族の為に自分の人生を犠牲にするっすか……?」

「15年もあれば自分の幸せを追求出来るのに」


「……正直幾夜も悩み抜きました」

「でも妹と父母の笑顔が僕の背中を常に押してくれている」

「そう考えると、茨の道でも前に進めるんです」


「……そうか」


ハンジローはロベールから逸らすように目を閉じた。


~聖堂内・食堂~


「ご馳走様でした!!」

「腹が減っては戦は出来ぬ!名言ですね!!」


ウエスギは黒く長い後ろ髪をポニーテールに纏め、食べ終えた食器の前で独り手を合せた。

そして彼女は立ち上がり、手刀で花瓶の口を綺麗に斬り飛ばす。

口からは水が流れ、テーブルへと広がって行く。


「お父様!!」

「私はレイカ姫を生け捕りにして私の妃にし……」

「今度こそ私が正統後継者である事を認めて頂きます!!」


大胆な告白すぎる。


「『女が女を愛しては国が続かぬ』?」

「上等!!」

「それで滅びるのなら、国なぞその程度のモノ!!」


ウエスギは勢い良く立ち上がり、刀を手に取る。

そして重い扉を蹴り開ける。

扉の前には兵士達が既に整列していた。


「さぁ出陣です!!」

「ハンジロー君とロベール君と呼んで来て下さい!!」


ウエスギは得意気に鼻を鳴らし、刀を掲げた。



《登場人物紹介》


(ハンジロー・セントヴィレッジ(偽名))


Age:24 Sex:男


髪の色:灼けた茶色 目の色:小豆色


職:聖騎士

聖騎士ランク: 銅十字


主な収入源:教会からの俸給・女性達からのプレゼント・皇国からの手当・???


身分:聖騎士


経歴:ウエスギが斬り殺した小姓や部下達の代わりにやって来て以来、彼女の側近に収まっている。

好きなモノ:姉さん


趣味:刀の手入れ・神像彫刻・服選び


身長:182cm

体重:68kg


組織での評判:何を考えているかは分からないが、それのミステリアスさも相まってシスターや女性聖職者達から大人気。

最近の出来事:姉さんの足取りと居場所をようやく掴めた


(以下、騎士団人事での能力評価)


筋力:B+ 頑丈さ:C 敏捷:SS 生命力:A 魔力:古代火炎魔術正統後継者 魔術:神官並み 器用さ:S+ 学力:王族 教養:マダムキラー 格闘:S 剣:凄腕 弓・弩:A+ 銃:S+ 騎乗:S 操船:B+ 指揮:AA 顔:スーパーイケメンホスト 素行:少し崩れている 評判:確実な仕事人 危険度:汚れ仕事では容赦ない


聖騎士団長からの一言:人の上に立つ才がありながらも、それを自ら押さえ込んでいる。

総合評価:仕事はそつなくこなすが、今一つ情熱が感じられない。


ここまでお読み下さりありがとうございました。


「面白かった」「流石ミーナだ」「クーヤさんのヒロインレベルがどんどん上昇している」

「確かに老主人の度胸スゲェ」「メイド同士の睨み合いは草」「レイカが美しすぎる&カッコ良すぎる」

「はいはいご馳走様でした」「クーヤさんとレイカもバッチバチだぜ!」


「なんか現れた」「マルタレータもマウリッツも怪物感が凄い」「なんだこの仮面野郎、ヤバすぎだろ」

「ロベール君とハンジローの組み合わせが良すぎる」「この先輩と後輩感良い……」「姫様取扱い主任者講習は草」

「ちゃんと『ご馳走様でした』が言えてえらい!」「生け捕りにしようとするのはえらくない!」「姫様の暴力のスピードが速すぎる」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

宜しくお願い致します。

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