↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運河が張り巡らされた砂漠と雪の惑星に住んでます~ついでに言うと私は17歳以下の女の子が大好きです~  作者: 256進法


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/23

交易と闇商人と酒(後編-⑤)

ごめんなさい……

今は貴女の顔を……見る事が出来ないのよ、ミーナ……


鑑賞用魔法(屋根上から):https://www.youtube.com/watch?v=zcEPiibl0d8

鑑賞用魔法(礼拝堂から):https://www.youtube.com/watch?v=CrzQUh39_GI



~キオト・高級住宅街~


ミーナは屋敷から出てクーヤの姿を探すが、ミーナの獣並みの視力でも姿を見つける事が出来なかった。


「……しゃあねぇ、市場の方を探すか!」

「パーティーまであと5時間、どうにかして探しだすしかねぇ!」


ミーナは通りを馬並みの速度で駆け抜ける。


~市場~


「見なかったか!?果物屋のばーさん!」

「灰色の髪をした、いつもカリカリしてそうなメイドとか!」


果物屋のばーさんは首を傾げる。


「……はて?」

「カリカリしたメイドの娘なんてここには来た事ないけどねぇ……」


どうやら聞き方が悪かったようだ。

ミーナは果物や野菜をいきなり掴み、台の上に並べ始める。

並べられた野菜はたちまち人の顔になっていく。


「ああ~~!思い出したよ!」

「良く市場へ買い物に来ている、あの娘だね!」


果物屋のばーさんは何かを思い出した様に、膝を叩いた。


「あの娘なら路地裏へ駆け込んで行ったよ」


「サンキュー!ばーさん!」


ミーナへばーさんからの果物アタックが飛んでくる。

ミーナは梨とリンゴをキャッチする。


「それをもっておいき!わんぱくメイド!」

「お代はいらないよ!」


「マジでありがとう!ばーさん!」

「亀の甲羅より星とキノコだな!」


「おばか!」

「歳の功より亀の甲だよ!」


両方とも違うんだよなぁ。

ミーナは果物を囓りながら、路地裏へ駆け込もうとする。


「わんぱくメイド!」

「あの娘を頼むよ!」

「あんなに優しくて良い子は居ないからね!!」


ミーナは軽く笑顔で敬礼して、手を振って路地裏へ駆け込んで行った。



~キオト・中心街~

~聖堂・礼拝堂~


「……こ、これは本当なのですか、ウエスギ卿」

「キオトの有力商人や富豪達が、貿易ギルドの一部メンバー達と組んで独立勢力を創ろうとしているのは……」

「……そして幾ら何でも、1200人も兵士を使うのはやりすぎかと」


ロベールは澄んだ青い瞳を左右に動かしながら、ウエスギから渡された書類をめくっていく。

ウエスギは椅子にもたれ掛かり、太ももを見せる様に足を組む。

なんてお姫様だ。


「はい。本当(・・)です」

「というよりは、本当にしなければなりません」

「最高枢機軍事会議では今度の遠征軍、総数は40万人と定められましたので」

「だからこそ確実に事は運ばねばなりません。やり過ぎという事は無い」


ロベールはその数字の意図する所を、即座に理解する。

その40万人という数字は教会の最高権力達が決めた絶対数、つまり達成ノルマに他ならなかった。


「……となれば、膨大な資材や軍需物資、資金、兵糧、輸送船舶、荷駄、人夫が必要になる……」

「しかし、教会領の一部では塩害により飢餓が発生し、財政難の都市も出ている……」

「だから教会圏辺境での支配力強化と、徴税強化が必要になったという事ですね」


ウエスギは自分の下半身をロベールへ見せつける様に、足を組み替える。

ロベールは視界にその光景が入ったが、目を反らしてしまった。


「ふふ。良く教育されているじゃないですか……」

「見かけ倒しの王子様かと思っていましたよ」

「でも女性聖騎士に対する抵抗が無いのはカワイイですね~~!」


「せ、聖騎士学校では男女別でしたから……」

「それに勉強と訓練漬けで女性と付き合うヒマもなく……」


ウエスギはニヤつきながら立ち上がり、ロベールの顎を掬う。


「女性と付き合いの出来ない聖騎士は、出世出来ませんよ?」


「し、しかしガスコーニュ卿は『若い内は仕事に専念しろ』、と……!」

「それに教典には『女神の為に剣を振るう者、異性と交わるべからず』、と……!」


ロベールは間近に迫るウエスギの顔から、自分の顔を反らす。

ウエスギは笑みを崩さず言う。


「貴方が知らないだけで、不倫すらしている聖職者や聖騎士も居ますよ」

「教皇テオ8世だって何人か婚外子が居て、元々自分が何処かの司教の種って噂ですから」


ウエスギは柱に手を付き、ロベールの胸を自分のデカパイで押し潰す様にして囁く。


「もう腐り切っているんですよ、この巨大組織は」

「だから改革が必要なんです」

「今度の遠征、ユクセル様が熱心に推しているのは何故だと思います?ロベール君」


「い、いえ……」


「この巨大組織の膿を炙り出す為ですよ」

「恐らく遠征までに暗闘と粛清が、一段と激しくなります」

「しかし、幸いにもテオ8世は危篤状態になった……」


ロベールの金色の髪が、ウエスギの黒い髪に触れる。


「ま、まさか……!」

「教皇選挙(コンクラーヴェ)でユクセル派は……!」


ウエスギは指をロベールの唇に当て、彼を黙らせた。

ウエスギは静かに言う。


「教皇に誰がなるべきか、それは教会の誰もが分かっている事ですから」

「それに向けて我々は我々の成すべき事をするだけですよ、ロベール君」


ロベールはウエスギの狂気的に輝く黒い瞳に押され、頷くしかなかった。

ウエスギはロベールから離れ、部下の超絶イケメン聖騎士へ言う。


「ハンジロー君」

「ロベール君に私のやり方を教えてあげなさい」


おいおい、両手にイケメンとかどうなってんだこの姫騎士。


「了解っす、姫様」


茶髪の美男子は甲冑を着ておらず、反りが入った刀を崩したベルトに差していた。

彼は聖像の前にも関わらず、タバコを取り出して火を点けた。


「宜しくっす、ロベール」

「俺はハンジロー・セントヴィレッジ」

「お前の2個上の先輩って所っすね」


「──こちらこそ宜しくお願いします!」


「……まずは姫様の機嫌を損ねないコツから教える」

「それが、姫様の下で生き残る第一条件っすね」

「付いて来てくれ」


「はい!」


ロベールはウエスギへ頭を下げ、ハンジローへ着いて行った。



~1時間後~

~広場の噴水~


ミーナは噴水の縁に座り込みながら、梨にかぶり付く。


「チクショ~~……!」

「何処に行ったんだよ、カリカリメイド長~~!」


その時、ミーナは猫が家々の屋根へ上っていくのを見付けた。


「……!」

「まさか……!」


ミーナは急遽立ち上がり、路地裏に入ると壁を往復で蹴りながら上へと登り始めた。


「……よっと!」


屋根へ着地した彼女の緑色の瞳に、キオトの年輪を重ねた街並みが飛び込んで来る。


「すげぇ……って感心してる場合じゃねぇ!」

「っとメイド長はっと……」


ミーナは周囲を見回し、目立たない高層建築物を探し始める。

彼女は工場地区にある薄汚れた、灰色の塔を見つける。


「良し、あそこから当たってみっか!」


ミーナは屋根の上を駆け出し、家から家へと飛び移って行く。



~工場地区~

~薄汚れた灰色の塔~


クーヤは塔の最上階から下を見下ろしていた。

この塔はかつて交易商人達の見張り塔として建てられた物だったが、今それを知る者はごく僅かだった。


(……ここで身を投げられれば、どんなに楽なんだろう……)


彼女は、かつて老主人から誕生日に貰っていた銀色の懐中時計を取り出す。

涙で腫れて紅くなった目元が、懐中時計のガラス面に映る。


「ダメなのは私よ……」

「本当は貴女が羨ましくて仕方がなかったのよ、ミーナ……」

「辛く当たって……ごめんなさい……」


クーヤは目を閉じて宙へ足を踏み出し、落ちて行く。


「ちょっ!待てよ!!」


彼女の手が、傷だらけの手に掴まれた。

彼女の身体は地上へ落ちずにぶら下がる。


「ミ、ミーナ……!!」


ミーナは歯を食い縛り、片手で思い切りクーヤを引き上げた。

そして彼女はクーヤの胴をガッシリ抱えて怒鳴る。


「ふざけんな!!ツンツンメイド長!!なに勝手に死のうとしてんだ!!」

「まだ勝負は始まっても居ねぇだろうが!!」


クーヤはミーナを引き剥がそうとしながら、号泣して叫ぶ。


「離して!!」

「私にあそこへ戻って働く資格はもう無いのよ!!」


「資格!?」

「お前があの爺さんの下で働く事に、どんな資格が必要なんだ!?」

「お前がお前であるだけで、あの爺さんに取っては十分過ぎるんだよ!!」


「……っ!?」


クーヤは思わず固まった。

ミーナの鮮やかな緑色の瞳が、クーヤの薄い灰色の瞳を射貫く。


「もし屋敷に戻れない、ってんなら……」

「私の家まで攫っちまうぞ、クーヤ」


「え──」


「既に一人養ってるが、二人養うのも三人養うのも変わんねぇしな」

「それに聖騎士と戦うのは三度目だ」

「大した話じゃねぇよ」


「ばかっ……!!」

「貴女大バカよ、ミーナ……!!」


クーヤはミーナの胸を力無く叩く。

ミーナはクーヤの手を抑えると同時に、屋敷から持ってきたパンを取り出した。

そして、パンを二つに割ってクーヤの口に付ける。


「お前、途中で坊主が入って来たせいで、ちゃんとメシ食って来て無かっただろ?」

「一緒に食おうぜ」


クーヤは口を開き、涙と混ぜながらパンを食べる。

ミーナはガツガツとパンを食べ始め、パンくずを口元に付けながら言う。


「ショックだったのは分かるけどよ、ヤケ起こしたらいけねぇべ」

「私も戦争が終わってから5年間ヤケになってたから、気持ちは分かるけどさ」


クーヤはミーナの視線から自分の顔を逸らし続けながら呟く。


「貴女は5年間……何してたの……?」


「親父の残してくれた不労収入でメシを食い、悪党をブッ殺したりカネを巻き上げたり、酒飲んだりしながらウダウダしてた」

「それでも皆のお陰で私は前に進んでいたんだよ」

「それはクリオネが来てから気付いたんだけどな」


「……まさかリオって……」


ミーナの顔から汗が噴き出す。

いや、彼女の全身から汗が噴き出す。


「……あのジイさんには黙っててくれるか?」


「……いいわよ(小声)」


「え?」

「良く聞こえないから、こっち向いて言ってくれよ」


クーヤはハンカチを広げ、それを使って自分の顔を隠す。

そして、彼女は嗚咽しながら声を絞り出す。


「ごめんなさい……」

「今は貴女の顔を……見る事が出来ないのよ、ミーナ……」

「ごめんなさい……」


ミーナは何も言わず、クーヤを抱き寄せて背中を撫でた。



~時計台・最上部~


トラヴィスはスコープから目を離し、取り出した双眼鏡でミーナとクーヤの姿を捉えた。


「──!?」

「アレはフジワラか……!?」

「何故この街に……しかもあの屋敷のメイドの格好で……まさか……」


彼は深呼吸してペンダントを開き、娘と同じ薄い紫色の髪をした女性を見る。


(アナ……)

(もしお前の恩人を撃つ事になったら、お前は許してくれるか?)

(いや、例え楽園に居ても……お前は俺にノーを突きつけるだろうな……)


彼は双眼鏡を仕舞い、スコープで2人を追い始めた。



《登場人物紹介》


(クーヤ・スロヴァー)


Age:27 Sex:女


髪の色:白色 目の色:灰色

身分:教会奴隷(係争中)


経歴:

商人の父親と、北方人の奴隷である母の間に生まれた。生まれた時から奴隷だった。

父親に捨てられた後、教会に引き取られて使い捨ての暗殺者として過酷な育成を施される。

その後、12の時に富豪の老主人に大金と引き換えに身柄を引き取られ、屋敷でメイドとして仕え始める。


好きなモノ:屋敷の皆の笑顔・掃除・料理・買い物

趣味:他者に尽くす事


身長:162cm

体重:50kg


スリーサイズ:B ふつう W 引き締まっている  H 安産型


近所の評判:屋敷の大きさに恥じない、完璧なメイド長

最近の出来事:■■■■■■■■■■■■


(以下、教会の奴隷管理簿更新時の能力評価)


筋力:C+ 頑丈さ:B 敏捷:猫並 生命力:B 魔力:C 魔術:C 器用さ:完璧で瀟洒 学力:富豪の秘書 教養: メイド長 格闘:AA+ 剣:ナイフの達人 弓・弩:A+ 銃:B+ 騎乗:乗った事が無い 操船:思い出したくない 顔:美人メイド 素行:全く問題無し 評判:模範的なメイド 危険度:ダメイドには高い


老主人からの一言:娘同然に思っている。私にとって大切な存在だ。

総合評価:キオト随一の瀟洒で素直になれないメイドさん




ミーナの性格は安保瑠輝也とショーン・ストリックランド、そしてまどマギの杏子を足して2で割った感じの性格です(嘘)。


ここまでお読み下さりありがとうございました。


「面白かった」「泣いた」

「ボケが2人揃うと手に負えねえ」「ミーナ、機転が利くな」

「一体何始めようとしてんだ、教会は……」「ロベール君、キッチリ成長してるな」


「ウエスギ、ロベール君で遊んでやがる」「イケメンが2人に増えた!」「2人並ぶとビジュアルが強すぎる」

「ミーナの身体能力、相変わらずスゲェ」「今回、ミーナがイケメン過ぎた」「クーヤさん……」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。