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運河が張り巡らされた砂漠と雪の惑星に住んでます~ついでに言うと私は17歳以下の女の子が大好きです~  作者: 256進法


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交易と闇商人と酒(後編-③)

申し訳ござまいせんが……

レイカ姫の為に依頼は失敗して貰いますよ



~夜~

~キオト市内の高級レストラン~


レイカは高級牛のステーキ肉を切り分け、頬ばった。


「……良い肉やな」

「しかし、アンタがこのレストランを買収して経営に乗り出していたとは驚きや」

「これ、牛じゃなくて人の肉使うて無いよな?」


「フ……」

「それはお前の舌で確かめるんだな」


「言いよるわ、全く……」


レイカはもう一切れの肉を頬張ると、フォークを置いて口元をナプキンで拭いた。

マルタレータは赤紫色の瞳を、炎の様に輝かせながら言う。


「これは確かな筋からの情報だが……」

「どうやらこの教区を担当する聖騎士が交替するらしい」


「……今はガスコーニュやな……」

「あのおっかないオッサンから交替してくれるなら、誰でもエエわ」


マルタレータの艶やかな唇と、橙色のふさふさした髪が動く。


「代わりに来るのは、あの【光の聖姫士】だ」

「教会はこの地域で、本格的に戦費を調達する積もりだな」

「あの姫騎士の取り立ては容赦無いぞ、私の拷問がマシに思えるぐらいだ」


「──それは少々厄介なコトになったわ」

「別に、この教区から商売の場所を移す事も出来るんやが……」


「それは、今まで築き上げた販路の放棄も意味するからな」

「全く、善良な商人から大金を巻き上げようとは……どうしようもない連中だ」


(それは何かのギャグなんか??)


レイカは眉をハの字にしながらもボトルを持ち、マルタレータのグラスへワインを注ぐ。

マルタレータはそのワインを一気に呷る。


「だが、あの姫騎士がジャマな奴等は【教会】の中にも【共和国】にも居る」

「軍功に比して、出世させていないのが何よりもの証拠だ」


「……そもそも出世が目当てなヤツでは無いんやがな」

「ヤツは理由を付けて人を斬るのが楽しいだけや」


「何だ、知り合いだったのか」


レイカの火傷痕から、僅かに火の粉が噴き出す。

彼女の姿はまるで目覚めようとしていた、休火山の様だった。


「……ちょっと昔に色々とあってな……」

「何時か殺したい、そう思うとるだけの相手や」


「ハァ~~ァ……!」

「成る程、これは中々に楽しい事になって来たな!」

「私達を狙う暗殺者はその【光の聖姫士】が動かしている、教会の暗殺部隊か!」


その時、女性のウェイターが二人の元へ次の料理を持ってくる。

しかし、ウェイターはフタを開けるとそこにあった短剣で、マルタレータの首を狙って来た。


「──やれやれ」


マルタレータはウェイターの手首を握る。

そしてその熊のような手に力を込め始めた。


「フフ……」

「どうした?外してみろ」


マルタレータの強靱な手は万力の様に、ウェイターの手首を握り潰して行く。

ウェイターの手首の骨はたちまち砕け、ウェイターはもう片方の手で髪留めを抜き、マルタレータの動脈を再び狙った。


「全く、芸の無いヤツだな」


マルタレータはウェイター振り上げると、そのまま天井に投げて叩き付けた。

そして落ちてきたウェイターを裏拳で殴りつけ、壁ごと吹き飛ばした。

レイカはステーキ肉を切り分けながら呟く。


「全く、おちおちメシも食えんがな」


「それはお前のせいだからな、レイカ」

「食事代は持って貰うぞ」


「しゃあない、壁と天井の修理費も持ったるわ」


レイカは自分のグラスにワインを注ぎ、静かに呷った。



~ミーナがキオトに到着して2日目の夕方~

~キオト・工房街の中心部にある時計台~


フードを被った金髪の男は壁を背にし、魔導狙撃銃を組み立て始める。


(……アナ)

(お前が生きていれば、ニヘアンと同じように俺を止めたのだろうか)


男の手は熟練の職人の様に、手際良く狙撃銃を組み上げた。

男は消音器を取り付けてコッキングレバーを引き、引き金を引いて動作を確かめる。


(──動作に問題無し)


男は時計台の壁の隙間から銃を屋敷へ向け、魔導スコープの倍率を調整し始める。

そして屋敷の敷地へ一発撃ち、魔導スコープのダイヤルを回し、スコープを覗きながら照準点を合わせた。


(……勘は鈍っていないな)

(後は明日の昼まで機会を待つ、それだけだ)


トラヴィスは匍匐姿勢のまま、クッションに頭を預けて目を閉じた。


~同時刻~

~工房地区・とある雑貨店の屋根裏部屋~


シトマは屋根に空いた小さな穴から望遠鏡を引き、小さくため息を付く。


「……まさかレイカ姫を狙っているのが、あの【金の矢】トラヴィスとは……」

「これはグッと護衛の難易度が上がってしまいましたねぇ」


シトマは文字がビッシリ、それでいて整然と書き込まれている手帳を開く。


(マーク・トラヴィス……)

(二十年戦争の後期に帝国軍に従軍した元傭兵の狩人で、現在も傭兵ギルドへ所属)

(そして、キロキ山脈周辺で大型魔獣の討伐を生業にしている……)


彼女は懐から砂昆布を取り出し、噛み始める。


「腕は落ちていない、と思った方が正しいかもですねぇ」

「しかし、傭兵ギルドでは暗殺の依頼はハネているハズ」

「ならば、彼は誰かからの個人的な依頼、それも多大なリスクを伴う仕事を受けるだけの『動機と報酬』が存在している……」


シトマは昆布を噛みながら、床に寝転がる。


「今回はかなりクサい(・・・)ですねぇ」

「ソードヘッドランド王国が滅びた、その時と同じ腐臭がしますよ」

「レイカ姫……もしかすると、【15年前】はまだ終わっていないかもです」


シトマは寝返りを打ち、肘に頭を乗せながら目を閉じた。



~夜~

~キオト・中心街にある聖堂~


ロウソクの炎に照らされた通路を、腰まで掛かる長い黒髪を湛えた姫カットの女性が歩いて行く。

彼女は扉を開け、礼拝堂に出る。

そこには黒い甲冑を着た聖騎士が跪き、聖女像の下で祈りを捧げていた。


「こんな夜更けにも関わらず黙禱(もくとう)ですか、ガスコーニュ卿」

「いえ、貴殿は聖騎士の模範です!」


女の目は光源の様に輝いていたが、張り付いた笑みはまるで蝋で固められていたかのようだった。


「……何をしていた、聖騎士ウエスギ」

「駐屯交替の期日に半日も遅れるとは、どういう積りだ」


「いえ!」

「ちょっと異端を処刑していたら、遅れてしまいました!」

「ユクセル様には既に伝言石で事情を説明しております!」


ガスコーニュは微動だにしなかったが、その殺気は礼拝堂全体をひりつかせる程に張り詰めていた。

しかし、ウエスギは笑みを崩さず、礼拝堂の椅子に腰かける。


「そう殺気立たないで下さい」

「私は貴殿への知らせと伝言も預かって来ているのです」

「先程、教皇テオ8世が危篤状態にあるとの報が入りました」


「──本当か……!」


「ついては……ガスコーニュ殿も聖騎士長として、教都テトラグラマトの防衛について欲しいとの事です」

「『病に伏せる教皇を確実に護りきれるのは、聖騎士ガスコーニュしか居ない』、とユクセル様が仰せでした」


ガスコーニュは立ち上がり、聖女像の前で十字を切る。


「……レイス王国王女、クリオネ・レイスの追跡と捕縛はどうなる」


「それは私が引き継ぎました!」

「聖騎士ロベールも私の指揮下に入ります!」


「……貴公にロベールの教育は任せたくないが」


「枢機卿命令です!」

「諦めて下さい!」


ガスコーニュはウエスギの前に立って言う。

その威圧感は、まるで静かに怒れる巨大な猛牛の如しだった。


「もしロベールを死なせたら、貴公にとって取返しの付かない事になる」

「それだけは肝に銘じておけ」


「はい!承知しています!」


ウエスギはガスコーニュの言葉に、張り付いた笑顔で応じた。

ガスコーニュは踵を返し、聖堂を去って行く。


【ええ、承知していますとも……】

【レイカ姫にまた逢うその時までは、ねぇ……】


ウエスギは犬歯を見せながら、深いえくぼを作った。



《登場人物紹介》


(ウエスギ)


Age:27 Sex:女


髪の色:黒 目の色:黒いが、光源の様に光っている。


職:聖騎士

聖騎士ランク: 銀十字(枢機卿会議での判断により、この階位に留め置かれている)


主な収入源:教会からの俸給・???

身分:聖騎士正


経歴:死の砂漠の更に向こうの青海の向こうにある、ヤマタ皇国皇王の婚外子


好きなモノ:レイカ殿

趣味:人斬り・異端処刑・ソードヘッドランド王国の遺民狩り


身長:176cm

体重:69kg


組織での評判:腫れ物に触るが如し

最近の出来事:反乱奴隷達1200人を直接処刑した


(以下、騎士団人事での能力評価)


筋力:A+ 頑丈さ:S 敏捷:人外 生命力:A 魔力:A+ 魔術:S 器用さ:B+ 学力:姫   教養:王族並  格闘:S 剣:天才剣豪 弓・弩:C+ 銃:C+ 騎乗:S 操船:SS 指揮:軍神 顔:お姫様 素行:表面上は大和撫子 評判:教皇の刃 危険度:シリアルキラー


聖騎士団長からの一言:その腕聖騎士の模範、その精神聖騎士非ざるべき。

総合評価:皇国から押し付けられた、政治的爆弾。



(マルタレータ・ファン・グレーヴ)


Age:3X Sex:女


髪の色:橙色 目の色:燃えるような赤紫色


職:貿易ギルド幹部(表の顔)

傭兵ランク:A


主な収入源:奴隷売買・飲食店経営・地面師・密貿易・コロシアム興業・地下銀行業


身分:自由市民(元共和国貴族)


経歴:共和国の元名門貴族。だが、その際限の無い欲望を警戒した対立派閥により、貴族の位を剥奪された。


好きなモノ:高級住宅・高級料理・高い装飾品・高い特注ドレス・高い馬車・高い船

趣味:女の趣味を聞くのは、野暮な男だけさ。


身長:195cm

体重:105kg


スリーサイズ:B 女子プロ W 女子プロ  H 女子プロ


近所の評判:おっかないヴィーナス

最近の出来事:特注品の服を着ようとしたら裂けた


(以下、傭兵登録カード更新時の能力評価)


筋力:怪物 頑丈さ:要塞 敏捷:B+ 生命力:S 魔力:B 魔術:A+ 器用さ:B+ 学力:名門貴族 教養:学者並み 格闘:女子プロ格闘家 剣:B 弓・弩:B+ 銃:S 騎乗:S 操船:C 顔:女神 素行:人間を椅子にして座る  評判:交易商人じゃないだろアンタ 危険度:ヤバい


ランク別依頼達成回数(公式)


S:28 A:46 B:不明 C:不明 D:不明 E:不明


貿易ギルドからの評価:何を言っているんだ?私が評価する側だが?

総合評価:共和国の膿んだ貴族社会が生み出した、裏社会の怪物。


変態ニンジャとか手に負えねぇんだよなぁ……

間諜という意味では十分過ぎる程仕事しているけど……


シトマ自身、レイカのソードヘッドランド王国復活までは、彼女の為に仕事をする積もりです。

ただ、昔の王国を復活させた所で根本的な解決にはなっていないし、それをシトマも理解しています。

なにわの夢を取り戻そうとし続けているのは、レイカだけです。


レイカは『何かあったルートのクリオネ』です。

だからこそ、レイカはクリオネに目を掛けています。

でもそれは自分と同じ修羅道を歩んで欲しくない、というのが大きい。


刀剣はその修羅道の証、だからクリオネに剣を握らせたくなかった。

というのが作者の解釈です。

根は優しいお姫様過ぎるんだよね、飄々とチンピラしてるけど。


マルタレータの根は冷徹なやり手女経営者です。

しかし、貴族社会で彼女は合理的に過ぎた。


ここまでお読み下さりありがとうございました。


「面白かった」「これから期待している」「二人の冗談が笑えない」

「商人の世界おっかなすぎるだろ」「怪……女神様ですね、はい」「レイカ慣れてるな」


「トラヴィスが完全にプロのそれ」「シトマ、お前そこにいたんか!?」「ニンジャだったのかお前」

「ガスコーニュ、相当ウエスギの事が嫌いだな」「ロベール君マジで頑張れ」「レイカ姫大人気だな」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります

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