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運河が張り巡らされた砂漠と雪の惑星に住んでます~ついでに言うと私は17歳以下の女の子が大好きです~  作者: 256進法


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交易と闇商人と酒(後編-②)

さっきはありがとう……


鑑賞用魔法:https://www.youtube.com/watch?v=QwIIPtwZFoI


~数時間後~

~交差都市キオト・依頼元のお屋敷~

~食堂~


ミーナは頬に血管を走らせながらも、音を立てずにテーブルへ食器を置く。


(ちきしょう、このミニスカヒステリーメイドが……!)

(一々エロい生足覗かせやがって、気が散るんだよ!)

(てかヤニが足りねぇ……!手が震えて来やがった……!)


クーヤによる度重なるスパルタ指導は、ミーナの臨界点を確実に超えつつあった。

早すぎるぞお前!

クーヤは震えるミーナの手を、乗馬鞭で叩く。


「そこ!貴女のバカ力で身体が震えるワケないでしょ!」

「それにリオ(クリオネ)はもう休憩に入ってるわよ!」


(ピクピクピク……!)


ミーナの頬には青筋が入り始めていた。

クーヤはミーナに向かって言う。


「はい!もう一度やり直し!」

「出来るまで休ませる気は無いわ!」


(ダメだ、頭の中でヤニ吸ってる猫が『吸いたいにゃ~~』とか囁いて来やがる……!!)


ミーナは震える手で手を上げて言う。


「ヤ……ちょっとおタバコ吸って来て良いですか!メイド長!」

「頭の中で猫がヤニ吸い出してるんですよ……!」


「あら。やっと敬語が使えるようになったわね」

「でもこの屋敷でタバコはダメよ。吸ったら明日の朝まで飯抜きよ」

「さあ、もう一度最初の位置から」


ミーナは突如窓を開け、タバコを取り出しながら足を掛けて言う。


「外でなら良いっすよね??」

「良いよなぁ!?」


クーヤは灰色の瞳でミーナを睨み付けて言う。


「吸ったらその時点で依頼は放棄した物と見做すわ」


「~~っ……!」


ミーナは火の魔術でタバコに火を付けようとしたが、クーヤはサッと取り上げてゴミ箱へ捨てた。

ミーナは壁に手をつき、右足をクーヤの股の間に入れ、彼女を挟む形にする。


「お前、あまり調子に乗るなよ……!このアラサーミニスカエロメイドが……!」

「これは依頼の範疇を超えてんぞ……!!」


「ふん」

「マトモに配膳一つ出来ない、粗野な田舎傭兵を無償で教育してやってるのよ」

「寧ろ感謝して欲しいわ」


クーヤはミーナの壁ドンからすり抜けようとしたが、ミーナのつま先に足を引っ掛けて転びそうになる。


「あっ──」


その時、傷だらけの手がクーヤの引き締まった大きな腰を支えた。


「お?結構大き……」


クーヤの白い頬がカッと赤く染まり、スラッとした手がミーナの頬を勢い良くはたいた。


「なんで!?」

「助けたじゃん!」


頬を抱えるミーナの抗議に、頬を紅くしたクーヤは乗馬鞭で窓の淵を叩いて応じる。


「も、元とはと言えば貴女が原因でしょう!」

「ほら!さっさと位置に戻りなさい!」


アレ?ちょっと息が荒いですよ?


「え~~」

「なんか釈然としないなぁ~……」


「口答えしない!」


クーヤは先程とは少し表情が変わり、半ば興奮したような目付きになっていた。


~1時間後~


「良し!ギリギリ合格にしてあげるわ!」


心を空にし切ったミーナはやっと一連の配膳動作を修了した。

彼女は終わると同時に魂が抜けたようにその場へ座り込んだ。

クーヤはミーナへ言う。


「45分休んだら、次は掃除や洗濯について教えるから」

「それまでは宿舎で待機してなさい」


ミーナはフラフラと立ち上がり、何事か呟きながら部屋を出ようとする。

クーヤは聞こえるか聞こえないかぐらいの声で、彼女の大きな背に向かって呟く。


「さっきはありがとう……」


「……?」

「なんか言ったか?」


「な に も !!」


クーヤは頬を紅くしてミーナを怒鳴りつけ、彼女を追い散らした。


~10分後~

~メイド達の宿舎~


「ったく、あのヒステリーミニスカメイド……」

「まるで帝国軍の将校みたいだったぜ……」

「メイド長より軍隊の教官の方が向いているんじゃねーの」


ミーナはメイド服姿のままテーブルに足を置き、ワインを飲んでいた。

クリオネは読んでいた本を閉じ、棚に戻しながらミーナへ言う。


「クーヤさんは本当は優しい人ですよ、ミーナさん」

「でもそれを表には出せない人なんです」

「性格的にも、立場的にも……」


「ほ~~ん……」


ミーナは目を逸らしながら、耳をかっぽじる。

ミーナはワインを置き、窓の外を見ながら言う。


「素直に生きられねぇ、ってのは辛いなぁ……」

「でもそれにしたってギャンギャン言い過ぎだぜ」


「そ、それはミーナさんがメイド長を怒らせるからでは……」


「転びそうになったのを支えただけで、頬をはたかれたんだぜ?」

「鞭で叩かれるし、ビンタはされるしとんでもねぇ依頼だよコレ」

「私に特殊な趣味は無いっつーの」


ミーナは椅子から降り、ソファーに寝転がった。

クリオネの頬に一筋の汗が走る。


(も、もしかしてクーヤさんは……い、いやまさか……)

(ミーナさん、現在進行形でまた何かやらかしているのでは……)


そこへ屋敷のメイド達が戻って来る。

クリオネは即座に立って頭を下げたが、ミーナは尻を向けていびきをかいていた。

メイドの1人が言う。


「あら?貴女達が臨時雇いのメイドね?」

「2人は姉妹だって聞いていたけれど……」


メイドの1人が恐る恐る、寝ているミーナの方を指差す。


「あちらがお姉さん……?」


「はい」

「不肖の姉(・)です」

「色々とご迷惑をお掛けするかもしれませんが、何卒……!」


「り、立派ねぇ~」

「貴女のお名前は?」


クリオネは頭を下げて言う。


「リオと言います」

「短い間ですが……ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します」


クリオネはミーナにも挨拶をさせようと、肩を揺さぶって起こそうとする。

だが、無情にも目覚めなかった。

クリオネはペコペコと、メイド達に向かって頭を下げる。


「も、申し訳ございません、本当に申し訳ございません!」


そこへ何処からかメイド長が現れ、ミーナの尻を乗馬鞭で叩いた。

ミーナは飛び起き、ファイティングポーズを取る。


「だ、誰だ!?」

「私のケツを叩きやがったのは!!」


ミーナの視線の先には、鞭を持って腕を組むクーヤが居た。


「私よ」

「何か文句ある?」


「げっ、メイド長……!」

「いつの間に……!」


「妹は頭を下げているのに、貴女だけ暢気にお昼寝とは大したモノね」


ミーナは、目を閉じて頭を下げているクリオネを横目で見る。


「ぅぐっ……」


ミーナは気まずそうにカチューシャを整えた。

そして大きく息を吸い、宿舎全体が震える程の大きな声で叫び始める。

クリオネは咄嗟に耳を塞いだ。


「ミーナ・V・フジワラです!!!」

「この度は臨時メイドとして4日間お世話になります!!!!」

「得意技は食う寝るケンカ!!!以上!!!!」


ミーナはメイド達へ頭を下げて言う。


「ウッス!!!」

「宜しくお願いしゃーす!!!先輩方!!!」


クーヤはクスクスと後ろで笑っていたが、ミーナだけは気付かなかった。



~キオト~

~商業地区・貿易ギルド支部~


レイカはタバコを吹かしながら、材木売買に関する詳細な損益計算書に目を通していた。


(みょ~~に高くなっとんな、同盟国境地帯の木材……)

(しかも教会領の都市へ近づけば近づく程、買値が上がっとる)

(クリオネの件と良い、教会の上層部はケンカの準備でもしとんのか?)


ソファーに座っているレイカの近くへ、身なりの良いオレンジ色の髪をした女が、少女の奴隷を連れてやって来る。

レイカは無視していたが、女は少女奴隷の上に座ってレイカへ正面から話し掛ける。


「景気が良さそうだねぇ~~レイカァ~~」


「アンタ程やないわ」

「にしても、相変わらず趣味の悪いこっちゃな、マルタレータ」

「椅子(・・)が軋んで悲鳴上げとるで」


奴隷の少女はマルタレータの大柄な身体を小さい背中で必死で支えながら、苦しそうな表情を浮かべていた。

マルタレータは燃えるような赤紫色の瞳をレイカへ向ける。


「フフ……」

「これでも私はギルドの幹部だぞ?」

「お前に制裁を科す事も出来なくないが?」


「ギルドの幹部ちゅーよりは、盗賊団の親玉やがな」

「それに適当こくなや」

「アンタ単独で議決出来るワケも無いやろ」


マルタレータは筋肉質で大柄な身体とは反比例するかのような、女神の様な顔をレイカへ近づけて言う。


「私はな、お前を買っているんだレイカ」

「奴隷商の中にだって、お前程に荒事が出来るヤツは本当に少ない」

「それに新しい商品を見つけ、販路を開拓し、場合によっては自分すら商品の付加価値として扱うセンスと決断力……」

「5年後は二人でギルドを牛耳れる、それだけの逸材として見ているんだ」


レイカはタバコの灰を落とし、煙に混ぜて言葉を吐く。


「で?用件はそれだけか?」


「いや、面白い情報を手に入れてな……」

「私を暗殺しようとしたアサシンを拷問した所、興味深い事を吐いたんだ」


レイカは周囲を見回し、マルタレータへ小声で言う。


「……アンタがそう言うって事は余程やな」


マルタレータの赤紫色の瞳が鈍く輝く。


「レイカお前……命を狙われているぞ」

「正確には私達二人共、だが」


「まさか……アンタと組んでる様に向こうさんが見えているって事かいな」


「なんだ、感づいていたのか」


「正確にはアンタが私の巻き添えを食った形になる」


マルタレータは大きくため息を付く。


「──ハァ~~ァ」

「これは何かを貰わないと釣り合わないぞ、レイカ」


「アンタ、共和国の貴族達にツテがあったよな?」

「というか共和国の元貴族だったやろ」

「ある食品を手に入れてな、それを高値で流して欲しいねん」


「フフ……」

「私が受け取るのはその『売買手数料』ってワケか」

「ストレス解消も出来た上、儲け話まで舞い込んで来た……」

「やはり幸運の女王だよ、お前は」


マルタレータは立ち上がり、首輪を引っ張って少女を無理矢理立ち上がらせた。

レイカはタバコを灰皿で磨り潰す。


「次女王言うたら斬るからな」


「おー怖い」

「では6時間後に例のレストランで会おう」


レイカは手を振って、マルタレータを追っ払った。



テトリスBGMの元ネタ、『コロベイニキ』は中々味わい深い内容なんで、是非ご一読を。


ここまでお読み下さりありがとうございました。


「面白かった」「禁断症状で草」「クーヤさんもうミーナにハマってるだろ」「まさかの壁ドン」

「厳しいけど、ミーナ相手ならこれくらいでいい」「クリオネはえらいなぁ」

「挨拶が体育会系の部活みたいだな」「クーヤさんかわいい」


「レイカはスパスパタバコすってて草」「なんだこの怪物みたいな女は」「レイカの評価高い」「貿易ギルドってよりはもう犯罪組織のノリ」「寧ろレイカの巻き添えでダメだった」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

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