↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運河が張り巡らされた砂漠と雪の惑星に住んでます~ついでに言うと私は17歳以下の女の子が大好きです~  作者: 256進法


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/23

交易と闇商人と酒(後編-①)

そんなおバカなミーナちゃんに、丁度良い依頼があるんだけど……

受けるわよね?



~砂漠のナベアツ亭~


「…………」


ミーナは口を結びながら床に正座していた。

セレンはニコニコしながらしゃがんでミーナを見つめていた。


「ミーナちゃん」


ミーナはセレンの言葉にびくりと身体を震わせる。

ミーナは緑色の瞳を横に逸らして言う。


「じ、自分は……し、仕事あるんでこれで……」


「今日は無いわよね?」


「はい」


「船着き場で物陰に隠れて船に乗ろうとしていたのは、何故?」


ミーナの日焼けした肌から、滝の様に汗が溢れ始める。


「ちょ、ちょっと冒険というか……」

「ひ、一夏の冒険というか~~……」


「ミーナちゃんは今何さい?」


「に、にじゅうはっさい……です」


セレンは笑顔のまま、ミーナの頬を抓んで引っ張る。


「──ミーナちゃん」

「『ほう・れん・そう』は何の略か言ってみて?」


「……放蕩」

「連休……」

「早退!」


ミーナの、もう片方の頬が引っ張られる。

セレンは笑顔のまま唇を動かす。


「報告」

「連絡」

「相談よ。はい、復唱」


「ひょうほふ……」

「れんひゃふ……」

「しょうひゃん」


「良く出来ました❤️」

「で、本題なんだけれど……」

「どうしてレイカちゃんの後を追って、船に乗ろうとしたの?」


ミーナは緑色の瞳で、呆れた顔のクリオネを横目で見る。

クリオネは『助けませんよ、無理矢理連れて行かれたんですから』という顔をした。

セレンは指を離し、ミーナはひり付いた頬を撫でながら言う。


「あ~……アイツの事だから、なんか隠してんじゃねーか、って……」

「ゼノスへ注文してたアイテムも、護身用のソレだし」

「まあ、面白そうってのが主な理由だけど」


「それだけでクリオネちゃんを町から連れ出そうとしたの?」

「彼女、教会に追われているって事忘れてない?」


「あっ……!」


ミーナは驚いて目を丸くしたが、それを見てクリオネはため息を付くしかなかった。

しかし、セレンは一枚の封蝋付き羊皮紙を、専用の棚から取り出して言う。


「そんなおバカなミーナちゃんに、丁度良い依頼があるんだけど……」

「受けるわよね?」


「はい」


「ではお仕事の内容を説明するわね」

「ミーナちゃんとクリオネちゃんにはキオトにあるお屋敷で、メイドのお手伝いをして貰います」

「期間は到着後から4日間。制服は貸与してくれるわ❤️」


「め、メイドぉ~~!?」

「それにクリオネが依頼を受けるのはまだ無理だし、見た目でバレ……」


セレンは赤いリボンを取り出した。


「これを着ければ、髪と目の色を変えられるわ」

「赤い髪と緑色の目にして欲しいんだけど、クリオネちゃん大丈夫?」


クリオネが元気よくカウンターに飛びついた。


「はい!」

「一応ですが……理由をお聞きしても?」

「それに傭兵ギルドの登録もまだのハズ……」


「姉妹という事で既に依頼受けちゃったの❤️」

「あともうクリオネちゃんは、傭兵ギルドへ《仮登録》済みです(偽名で)❤️」

「ごめんね❤️」


「へっ……??」


唖然とするクリオネの後ろから、ミーナが痺れる足を解しながら言う。


「ああ、多分仮登録だなソレ」

「ギルドが信頼可能な身元保証人が居れば、一時的に仮登録の証書が発行されるんだ」

「というか……最初は殆ど仮登録からで、いきなりギルドへ登録するってパターンの方が少ないんだよ」

「にしたって、手回し早すぎるけどな」


「そういう事には詳しいのに、セレンさんの行動を予測出来なかったんですか!?」

「付き合い長そうですし、このパターン多分最初じゃないですよね!?」


「しても結局ワケ分からん事になるから、私は予測するのを止めた」

「考えるな、流れに身を任せろ」

「てか、クリオネは私と姉妹役やるのイヤなん?」


「い、いえ……」

「姉妹というよりは最早親子ほど歳が離れている、というか……」


ミーナは椅子に座りながら、笑顔をセレンへ向ける。


「珍しくミスったな~~女将~~」

「クリオネは姉妹じゃなくて、親子って設定の方が良かったってよ」


「あらあら❤️」

「でも、ミーナちゃん若く見えるから、それでも大丈夫じゃない?」


「うーん、それもそうか」

「というワケで出発の準備だ!クリオネ!」


『一体私はこれからどうなってしまうんだろうか』、そう思ってクリオネはカウンターへもたれ掛かった。

セレンは彼女の銀髪を赤いリボンで結んでやる。


「はい❤️」

「ツインテール❤️」


「わ、私で遊んでませんか、セレンさん……」


「そんなことないわよ~~?」

「うふふ……」

「かわいい❤️かわいい❤️」


そしてリボンを結び終わったらセレンは、クリオネへ言う。


「そのリボンの効力は8時間」

「魔力の充填に2時間かかるわ」

「クリオネちゃん、魔術ってどの程度使える?」


「い、いえ……」

「それが使った事無いので、どの程度やれるのか分からないんです」


「えっ」


セレンの頬に一筋の汗が伝う。

彼女はクリオネへ言う。


「ク、クリオネちゃんにとって【魔術】ってどういう存在……?」


「魔力を道具に込めて、グッと使う感じですよね?」

「だからミーナさんの剣もこのリボンも、『ああ、そういう道具なんだ』って言う……」

「レイス王国の大兵器廠へ見学に行った時乗った魔導鎧も、そんな感じで動かしました」


「クリオネちゃん」


「はい?」


「『魔導鎧を動かせる』、ってコトは誰にも言わないように」

「アレは大量の魔力と、精密な魔力操作を求められるの」

「普通は出来ないのよ?」


クリオネは銀色の毛先を整え、寧ろセレンの言葉が不思議であるかのように答える。


「王族や貴族の人達は、皆手足のように動かしてましたけど……」

「あと軍人さん達とか……」

「あっ。あと作業員のおじさん達も普通に使ってました!」


セレンの顔に大量の汗が伝い始める。


「今のは聞かなかったコトにするわね❤️」

「そのリボンが使えるなら、今回は細かい事を問いません❤️」


ミーナは砂イカ(砂地に住むイカ)のスルメを齧りながら言う。


「女将が慌ててる所久々に見たわ」

「やるじゃねーか、クリオネ」


そこへミーナの前のテーブルに、一冊の本が置かれる。

本には『えにっきちょう』と書かれていた。


「えっと……これはなんでしょうか、女将様」


「ミーナちゃんは報告書が毎回ミミズのダンス状態な上、内容が3行も無いから、今回は絵日記を採用したの❤️」

「行ってから帰って来るまで、毎日書くこと」

「良いわね?」


ミーナは机を叩きながら抗議する。


「え~~」

「仕事終わったら遊びた……」


しかし、セレンはミーナへ顔を近づけて言う。


「良 い わ ね ?」


「はい」


ミーナは観念し、項垂れながら大人しく絵日記帳を受け取った。



~翌日~

~運河・船上~


「ヒマすぎて、到着までにする事が釣りしかねぇ」

「しゃあねぇ、船員と賭けポーカーでも……」


ミーナは懐からトランプを取り出したが、白く細い指に取り上げられる。


「あっ!何すんだよ!クリオネ!」


「セレンさんから、『ミーナさんがギャンブルをしようとしたら、止めてね』と言われてますので」


「一瞬レイカみてぇな引き笑いが出そうになったわ」


ミーナは船の甲板に寝転がり、夕暮れの地平線を見ながら寝ようとする。

その時、クリオネが下半身を押さえてもじもじしながら、ミーナの服を引っ張って来た。


「あ、あの……トイレとかは……」


ミーナは船の縁を指さす。


「そっからケツ出せば良いじゃん」

「快速船だし、トイレとかは備えてないんだ」


「で、でもっ!」

「これじゃあ他の船員からも、通りすがりの集落からも丸見えですよっ……!」


「大丈夫だって」

「そうやって皆大人になっていくんだよ」


クリオネは顔が真っ赤になり、抗議するかのように涙目でミーナにしがみつき始めた。

ミーナは軽く息を吐き、船長へ言う。


「スマン!」

「ツレがトイレ行きたいんだそうだ!」

「一旦船を岸に泊めてくれるか!?」


船長は手で追い払うかのような仕草をする。


「あ!?」

「アホ言ってんじゃねーぞ!赤髪の姉ちゃん!」

「んなモン、船の上からさせ……」


しかし、船長は悶える銀髪の華奢な少女を見て、手を止めた。


「あー……そういう事か」

「年頃かぁ~……」


ミーナは船倉に行き、リュックからワインを取り出して来る。


「そうだ、年頃なんだ」

「ワイン一本で手を打ってくれないか?」


「かぁ~っ……!しゃあねぇな!」

「おい!野郎共!ここいらで一旦休憩だ!!」

「15分程休むぞ!!」


「「「へい!!」」」


船は水路の端の方へと接岸して行き、板を渡した。

クリオネは怪しい動きになりながら、その板を駆け抜けて行った。


~依頼から2日後~

~交差都市キオト・港~


「……というワケで到着しました」

「クリオネちゃん、寄り道したくなりませんか?」

「良い匂いが漂って来ませんか?」


「しても良いですけれど、そこもキッチリ報告しますよ」

「休むにしたって、まずは荷物置いてからじゃないと」


「真面目だなぁ~~」

「まぁ良いや。まずは建物の配置を把握しないとな」

「あとクリオネ。もうそのリボンは今から使え」


「──!」


クリオネはリボンへ自分の魔力を流し込み、たちまち髪と目の色がミーナと同じ赤と緑の組み合わせになっていく。

ミーナは笑ってクリオネの頭を撫で回す。


「おー!マジで姉妹みたいじゃん!」


「そっ、そうですか……?」


クリオネはミーナから視線を外しながらも、照れ笑いを隠した。



~1時間後~

~キオト・依頼元のお屋敷~


ミーナは武装した背の高い門番へ言う。


「ギルドの依頼で来た、ミーナ・Ⅴ・フジワラだ」

「こっちの小さいのは私の妹(・)で、リオ・V・フジワラだ」


「……話は聞いている」

「入れ」


門番達は鉄製の門扉をカギで開け、ミーナとクリオネを招き入れる。


「うお~~……!」

「すっげー芝生……噴水まであるぜ!」

「飲んだら怒られるかな!アレ!」


「恥ずかしいマネしたら、その場で他人のフリですからねミーナさん」


突如ヒールが石畳を踏みつける音が鳴り、二人の目線がそちらへ行く。


「──アナタ達がギルドの依頼で来た代役?」


ミーナは答える。


「ああ、そうだけど」


ミーナの目線の先に居た白髪のミニスカメイド(27歳)は、腕を組みながら言う。


「私はメイド長のクーヤ」

「アナタ達は今日から4日間、この家のメイドとして働いて貰うわ」

「明後日には大事なパーティーがあるから、それまでにごく基本的な事だけでも覚えて貰うわよ!」


「どえらいトコに来ちまったぜ」


「そこ!言葉遣いと態度!言動!髪型!服装!礼儀!その他諸々!」

「なっていないわよ!」


「ぜ、全部じゃねーか!」


「口答えしない!」


そしてクーヤは屋敷から離れた場所にある、使用人の宿舎を指さした。


「15分以内に荷物を置き、用意してある着替えて屋敷の前に集合!」

「アナタ達の部屋は2階の一番右端だから!覚えておくように!」

「ほら!何をボーッとしてるの!?お客様やご主人様達は待ってくれないわよ!」


ミーナとクリオネはクーヤに睨まれながら、宿舎へ駆け出した。


~15分後~


クーヤは怒りで瞼をピクつかせていた。


「そっちの大きい方……」

「なんでリンゴなんか食べているのかしら」


「え?」

「腹が減ったからだけど??」


「(ピクピクピクピク……)」


クリオネは慌てて仲裁に入る。


「も、申し訳ございません、メイド長……!」

「後で姉によ~~く言い聞かせておくので……」


クリオネはミーナの手から食べかけのリンゴを奪い、袋へ放り込んだ。

クーヤは唇と瞼をピクつかせながらも言う。


「まずは立ち方から!」

「背筋はピンと伸ばすだけでなく、品を問われないように足は小幅に開く!」


ミーナとクリオネはクーヤの言う通りにした。

しかし!メイド長のお眼鏡は厳しい!

クーヤは定規を取り出し、ミーナの足元を叩いた。


「いてっ!?」


「カカト同士はつけない!」

「足と足の幅は2センチ以内!」


そしてクーヤはクリオネの両肩を持って反らし、腰を叩きながら言う。


「肩は巻かない!」

「下のお腹、骨盤を突き出すように!」


「は、はい!」


そしてクーヤはカチコチになった二人へ言う。


「これをなるべく自然体かつ、スムーズに、そして常にやるのよ!」

「次は食事の配膳と、部屋の中での立ち位置!」

「実際の部屋を使って練習するから、付いて来なさい!」


クーヤはカツカツと歩き出したが、振り返って二人へ叫ぶ。


「分かったら返事!」


「はい!」


「へーい」


クーヤは定規でミーナの顎を掬い上げる。


「こら!そこのダメイドミーナ!」

「返事は『はい』よ、『はい』!!」


「はい」


「ったくもう、手間のかかる……!」


クーヤは灰色の瞳でミーナの緑色の瞳を睨みつけ、再度屋敷へ向かって歩き始めた。


キオトの人口は約10万人前後で、地域の交易ハブです。

闇も光も、人が集まればそれなりに強くなります。


ここまでお読み下さりありがとうございました。


「面白かった」「期待している」「女将には敵わねぇや」「なんだこの28歳!?」

「絵日記帳は草」「女将が焦るの初めて見た」「クリオネの才能、そっち方向かぁ~~」


「年頃の少女は繊細なんだ」「船長優しい」「ケツ出せば良いはホント草」

「色んな意味でキツそうなメイド長来たな……」「27歳でミニスカメイドはちょっと無理でしょ」「先が思いやられるぜこれは」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。