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運河が張り巡らされた砂漠と雪の惑星に住んでいるけど質問は?~ついでに言うと私は17歳以下の女の子が大好きだ~  作者: 256進法


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交易と闇商人と酒(中編)

……悪いが、ニヘアンの為だ

苦しまずに死んでくれ


鑑賞用魔法:https://www.youtube.com/watch?v=XwZwz0iCuF0


~ゼノスの店の外~


「と、言うワケでワイは宿に戻るわ」

「明日の昼メシをナベアツ亭で食ったら、キオトへ行く」

「何か用があれば、そん時言うてくれや」


レイカはフードを被り、荷物を背負った。

ミーナは軒下で爪を削りながら言う。


「キオトで何すんの?」

「ロマンス詐欺でもしに行くのか?」


「アホ」

「大事な商談があんねん」

「オマエみたいなヒマ人と違って、ワイは忙しいんや」


「出来ればクリオネに、初心者向け剣術でも教えてやって欲しかったんだがな~~」

「なー?クリオネ」


クリオネはミーナにピッタリとくっつきながらも、レイカと剣を見て頷いた。

レイカはため息を付いて言う。


「あのな、剣は難しいというか習得に時間掛かるんや」

「それに中途半端に覚えたら、逆にクリオネの寿命を縮めるわ」

「オマエもそれは分かっとるやろ」


「?」

「私は適当にぶん回していて、気付いたら使えるようになってたぞ」

「ただ、使い方が人と違うけど」


「言う相手間違うたわ」

「……じゃあナイフの使い方をタダで教えたるから、今日の夜ナベアツ亭に来い」


クリオネはまさか、とでも言うかのように声が出せなかった。

ミーナは彼女の背中を軽く叩く。


「ラッキーだな、クリオネ~~」

「レイカがタダでモノを教えてくれる事なんて、滅多にないんだぜ?」


「オ、オマエが保護者じゃそこの銀髪お姫サマが余りにも可哀想やから、サービスしただけや!」


レイカは僅かに頬を紅くし、そっぽを向いた。

ミーナはその姿をニヤニヤ見ていたが、斬撃が目の前の地面を抉った。


「ホァッ!?」


「オマエからは見物料取るからな!」

「女将ン所で飯食って寝とれ!」


「はいはいホイホイへいへい」


「『はい』だけで」

「ええ!」


耳をほじるミーナの、赤い髪の先っぽを剣が掠め取った。



~夜・ナベアツ亭の裏庭~


「木製のナイフ……?」


クリオネの青い瞳が、レイカに握られた木製の刃を映し出した。

レイカは木製のナイフをクルクルと回す。


「それでも当たる場所に当たったら、痛いじゃスマンで」

「オマエの身体は特に薄いからな」

「バカミーナではかすり傷でも、オマエにとっては致命傷になり得る」


(……もっと食べて鍛えないといけないのかな……)


クリオネは自分の薄い胸や腹を不安げに触る。

レイカは不安げなクリオネを見て言う。


「無理矢理バカミーナや女将の体格へ追いつこうとするのはやめとけ」

「あの二人は例外や。元から骨格がそういう風に出来とる」


「で、でもっ……!」


クリオネはレイカへ縋るように言う。

だが、レイカはため息で返答する。


「バカミーナの食事量見てみぃ、一日ナンボ肉食うとると思う?1kgやぞ」

「チーズだってバカスカ食べるし、ヤギや牛の乳だってバカバカ飲む」

「女将も似たようなモンやが、オマエが真似したら即吐くで」


ナベアツ亭は女子プロ養成所かよ。

クリオネは俯き、銀色の髪が顔に掛かる。


「……」


「オマエはワイと一緒で、そこまで内臓が強くなくて骨格が華奢や」

「多少食う必要はあるが、それなりのメシで背は伸びるタイプや」

「ナベアツ亭の賄い食って良く寝てれば、身長面では平気や」


「……私は筋量や体格じゃなくて、俊敏さと合理性で勝負した方が良いんですね」


「──せや。それが現状正しい」

「ここで食い下がられたら、ワイの寝る時間が無くなる所やった」

「既に150前半はあると見えるし、そこまで気にせんでもええ」

「そこら辺の大人見たろ?オマエは12の女にしてはかなりデカい方やで」


クリオネは、この町の農場や工房付近で働いていた民達を思い出し始める。

彼らは大人の男でさえ、半分は自分に及ばないぐらいの背だった。

聖騎士達を見たクリオネは、余計に彼等が別の生き物であるかさえの様な気がした。

レイカは指を組む。


「メシをロクに食えんでガキの頃を過ごすというのは……」

「本当に悲惨なハナシや」

「ワイは()の途中で、飢餓で全滅した運河村や集落なんかも腐る程見とる」

「戦争なんか起きてみぃ、もう人が人を食う状態になるんや」


クリオネはレイカがふと見せた悲しげな表情に、身体と表情を固まらせた。

レイカは突然木製のナイフをクリオネへ投げ、クリオネはそれを慌ててキャッチする。


「お!」

「反応は悪く無いな!」

「ワイみたいに、魔剣士目指すか?才能あるで」


「え!?本当ですか!?」


「冗談や!本気にすな!」

「ワハハハッ!」


レイカの言葉に、クリオネは真っ白い顔を赤くして怒る。

レイカは素手でクリオネを手招きする。


「ワイを仕留める積もりでかかって来い」

「今のオマエのレベルを見たる」


「──はい!」


クリオネは回り込みながら駆け、レイカの膝裏を狙った。

しかし、レイカに更に回り込まれ、手刀を首に当てられる。


「狙い所はエエし、正面から行かないのもエエ」

「やがな、相手もバカばかりやない。同じ事を考えるんや」


「……!」


レイカはクリオネから離れ、笑顔で手を叩いて彼女を急かし始める。


「ホレ、実戦じゃじっくり考えるヒマは無いで!」

「試せ!試せ~!」


クリオネはレイカの腕を狙いに掛かって行く。

今度はナイフを躱されたばかりか、足払いを掛けられて転んでしまった。


「上ばかりに気が行って、足元がお留守やで!」

「特定の部位だけじゃなくて、全体を見ながら動くんや!」


クリオネは砂を払いもせず立ち上がり、レイカへ掛かって行った。


ーー30分後ーー


クリオネ汗と砂利塗れになり、その場に倒れ伏していた。

息は完全に上がり切り、やっとの思いで仰向けになる。


「根性あるやんけ、お姫サマ」

「また学びたい事があれば相手になってやるで」


レイカは一滴の汗も掻いておらず、悠然とタバコを吹かしていた。

クリオネは息を吸おうと、薄い胸と細い喉をを前後させる。


「はぁっ……!はぁっ……!はぁっ…………!」


レイカは青く輝く星に向かって煙を吹かす。


「因みに、ミーナと喧嘩した時……アイツは8時間以上ぶっ続けで動いてたで」

「フフ……目指す場所は遠いなぁ?」


そう言って、レイカは二カッとクリオネへ微笑み掛けた。

ナベアツ亭の裏口が開き、女将がタオルを持って来て笑顔で言う。


「クリオネちゃん、お風呂が沸いているわよ」


「は、はい……」

「い、今すぐ行きます……!」


クリオネは転がりながら立ち上がり、女将からタオルを受け取った。

クリオネは顔を拭きながらレイカへ頭を下げる。


「──ありがとうございました!レイカさん!」


レイカは『ええんや、ええんや』と手首を振りながら、ミーナをからかいに行った。



~夜~

~政庁・市長室~


「申し訳ございません、市長」

「1週間程休暇貰います」


市長はシトマの言葉で、椅子からひっくり返りそうになる。


「もう休暇は使い切っている……というか、普段から遊んでいるようなモノだろう!?」


「失礼ですが、私は職務熱心ですよ」

「今日も巡回中、ミーナの布団の仲で致しました」

「あと、ついでに盗賊を捕まえて牢に放り込んでおきました」


「盗賊を捕まえてくれたのはありがたいけど、熱心の方向性が違うんだよ~~!」

「それに衛兵隊の指揮は誰が執るんだ?えぇ~!?」


シトマは肩まで掛からないぐらいの、黒い髪を整えて言う。


「大丈夫です。副隊長が全てやってくれるでしょう」

「シフトも組んでありますし、面倒な事は全て引き継いでおきました」


「あのねぇ、君ぃ~……」


「高級宿と旅の女芸人」

「食事経費と視察予算」


「!!?」


市長のハゲ頭に脂汗が浮き始める。

シトマは薄笑いを浮かべて敬礼し、焦る市長を尻目に部屋を出て行った。



~翌日・昼~

~運河の船着き場~


「用を済ませたらまた仕入れにくるで、女将」

「息災でな」


「ええ、レイカちゃんも元気でね」


レイカは財貨が入ったリュック、そして部下達と共に船へと乗り込んでいった。

女将は船へ手を振りつつも、物陰に蠢く怪しい影を見逃さなかった。


~物陰~


「……よし!女将が船着き場を離れたぞ!」

「後ろの船に駆け込むぜ!」


「ちょ、ちょっとミーナさん……!」

「バレたらとんでもない事に……!」


「ヘーキ!ヘーキ!」

「冒険にはムチャが付き物なん……」


ミーナの襟首が突如、分厚い手に掴まれる。

クリオネはそれを見て額を抱えた。



~ミーナ達の住む街から北西に約140km~

~キロキ山~

~ある猟師の家~


「ニヘアン……」

「調子はどうだ?」


背の高い金髪の男は、ベッドに横たわる少女へ調子を尋ねた。

少女は薄い紫色の瞳を男へ向けながら、静かに答える。


「ボクは大丈夫……おとうさん」

「薬と神父さんのおかげで、前よりはだいぶ……」

「ごほっ……!ごほっ……!」


突如、ニヘアンは咳き込んだ。

父親は彼女の背中を撫でる。


「……済まない」

「俺は仕事の為、数日家を空ける」

「その間は猟師仲間やシスター達が、お前を看てくれる手筈になっている」


父親はニヘアンの灰色の髪を横に流してやった。

ニヘアンは父親へ言う。


「お金……」

「その為には……沢山のお金……必要だよね……?」

「神父様に魔術を掛けて貰うのだって……」


「……お前はカネの心配をしなくて良い」

「ただ治す事に専念しろ」


ニヘアンは息継ぎをしながら言う。


「死んだおかあさんから聞いたコトが……」

「おとうさんはむかし、戦う仕事をしていたって……」


「──昔の話だ」

「ただ、今回の仕事は相手が大物なだけだ……」


そうだ、相手が人間の形をしているだけの獲物だ──

撃って仕留める。やる事は変わらない。

変わらないハズだ──


「ボク、おとうさんがヒトを傷つける所、見たくないよ……」


父親は緑色の瞳を伏せ、ニヘアンの小さな手を握り締めて言う。


「……誓って言う」

「今回の獲物は人間じゃ無い……」


父親は水で布を絞り、娘の額に置いてやった。

そして布団を肩まで被せ、頭を撫でて部屋を後にした。

彼は懐から記録石を取り出し、映像を確認する。


「まさか、お前と殺し合う羽目になるとはな……ソードヘッドランド」

「……悪いが、ニヘアンの為だ」

「苦しまずに死んでくれ」


父親は猟師の毛皮を脱ぎ、大型の魔導狙撃銃を手に取って構える。

銃を持つ腕には、ダガーナイフと兜を被った髑髏、そしてΩの文字が刻まれていた。



ここまでお読み下さりありがとうございました。


「面白かった」「レイカ、面倒見が良いな」「クリオネ、根性があって好き」

「レイカ、カッコいいな……」「はいはいホイホイへいへい」「タオルを持ってくる女将が好き」

「安定のミーナ」「冒険終了のお知らせ」


「市長お前……」「シトマの動きが怪しい」「この猟師、まさか……」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

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