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チート能力「可能性は無限大」が人生を変える~超絶美少女な妹は第三皇子の僕が守ります~  作者: 愛輝磨生
第4章 臥竜鳳雛

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第119話 巨大熊

たくさんある作品の中から

見つけてくれて、ありがとうございます♪

 僕たちは、カーム教国最北端の町プリムラにある冒険者ギルドで、巨大熊討伐の依頼を受けた。

 まだ昼を過ぎたばかりの時間なので、早速巨大熊が生息しているとされる森へ向かう。

 徒歩なら一日かかる場所だけど、新風力車で移動する僕たちは三十分くらいで着いてしまった。


「ほえー、なんか大自然って感じっすね」


 カルラの言うとおり、人里離れたこの森は深い緑に覆われて、どこからも日は差し込んでこない。

 狭い道は湿っており、歩くと落ち葉のじゅうたんに靴が沈む。

 湿った落ち葉のニオイがたちこめる中、かすかに清々しい落ち着きのある香りがする……ヒノキだろうか。


「お兄様、このように見通しが悪いと、巨大熊を探すのは大変ですね」

「そうだね。でも、この前習得した闇魔法Bに索敵というのがあって、これを使えば魔物を見つけることができるらしいよ」

「素晴らしいのだわ。索敵があれば魔物にバッタリ出会ってしまうことも回避できるし、不意打ちをくらうことも無くなるわね」

「さすが旦那様。やはり闇魔法って凄いのだな」


 エルとクラウにも索敵の有効性が伝わったようだ。

 僕は早速闇魔法Bの索敵を発動した。


 範囲は限定的だけど、気配を探る感覚が伝わってくる。

 距離にして百メートルくらいだろうか。


「お兄様、どうですか?」

「うーん、近くには居ないみたいだね。しばらく道なりに進んでみようか」


 皆が頷くので、僕たちは狭い落ち葉の絨毯を慎重に進んで行く。

 僕を先頭にリゼ、カルラ、エル、クラウの順に一列になって進んだ。

 十分くらい経った頃、僕の索敵に魔物の反応を感じた。


「皆、止まって。魔物の気配を感じる」

「お兄様、巨大熊でしょうか?」

「どうかな。索敵では、魔物の種類まで特定できないようだね。そこに何か居るとしか認識できないみたい」


 僕たちは、しばらくの間止まって様子をみた。

 しかし、相手も止まったままで動こうとしない。


「魔物に動きが全く無い。らちが明かないので、こちらから少しずつ距離を詰めよう」

「クリス、気をつけてください。待ち伏せされているのかもしれません」


 リゼが戦闘態勢に入ったようだ。

 僕に対する呼び方が、お兄様からクリスに変わった。


「リゼ、念のため結界を二重に張って、全員を守りながら進んで」

「了解」


 そして魔物の反応があった場所に到達すると、そこはくぼになっていた。

 下まで十メートルくらいあるだろうか。

 縦横それぞれ五十メートルくらいの正方形のような地形だ。


 天井は中心部分を除いて木が生い茂っており、中心部分からは日が差している。

 その唯一暖かそうな、日なたがある窪地の中心で、巨大な熊が気持ち良さそうに寝ていた。


「鑑定するから皆、僕の手に触れて」


 女性陣が一斉に僕の手に触れた。


【巨大熊】

 魔物 10歳 オス


 知力 50/51

 武力 91/92

 魅力 15/27

 特徴……大陸北方に多く生息している。他の魔物と比べて知力が高く、記憶力と類推能力にける。小さな音でも聞き分ける聴覚と、わずかなニオイを嗅ぎ分ける嗅覚を持つ。運動能力も高く、人より速く走ることができ、泳ぎも木登りも得意なため、一度見つかると逃げきるのは困難である。強い力と鋭いツメを持ち、人の頭部を一撃で吹き飛ばす。よだれを垂らしているときは、空腹でイライラしているので、決して近づいてはいけない。寝ているところを離れた場所から攻撃すること。弱点は頭部のやや下にある胸部の中心。ただし一撃で仕留めないと大反撃をくらうので、勝算がない場合は戦いを避けるのが無難である。


「さすが討伐ランクA、これは今までの魔物で一番強いのだわ。私の水魔法Bで倒せるのかしら」

「人より早く走るとかヤバイっすね」

「人の頭部を一撃で吹き飛ばすのか。前衛のアタシは、特に気を引き締めないといけないな」

「そういえば冒険者ギルドの受付嬢が、すでに死者が十二人出ているって言っていましたね」


 エル、カルラ、クラウ、リゼの順に意見を述べた。

 今まで討伐した魔物の中でも知力が高く、武力91は強そうだ。

 魅力が12減っているけど、これまでに出ている死者も十二人。

 これって……


「もしかすると魔物の魅力って、殺した人の数だけ減るのかもね」

「たしかに数値は一致しているのだわ。クリスの言うとおりかも」


 僕の推測にエルも同意見のようだ。


「さて、強敵ではあるけれど、いざとなったら僕かクラウが何とか対処できるはず。とりあえず寝ているこのチャンスを逃す手はないよね」

「私の水魔法Bで一番攻撃力の高いウォータースピアを使って、一撃で倒せればよいのだけど」

「エル、大丈夫だよ。自信をもってやってみよう」


 エルが決意のこもった真剣な眼差しを僕に向けて頷いた。


 ちなみに水魔法Bのウォータースピアは、水を圧縮した槍である。

 そこそこ威力があり制御もききやすいのだが、連射ができない。

 水魔法がAになればウォータースピアを連射できるので、かなりの攻撃力となるのだが。


「エル、頭部のやや下にある胸部の中心を狙って、一撃で倒そう」

「了解。やってやるのだわ」


 エルが大きく深呼吸をしてから右手を前に出し、巨大熊を起こさないように小声でウォータースピアの詠唱を始めた。


「聖なる水よ、我が敵をつらぬく槍となれ。ウォータースピア」


 すると、瞬時に2メートルくらいの細長い水の槍が出現し、巨大熊めがけて飛んでいく。

 奇麗な放物線を描いて進む水の槍が、うつ伏せに眠る巨大熊の背中に着弾し、突き刺さった。

 

 しかし、巨大熊に反応がない。


 深い森の中に静寂が響く。


 そして、遠くでさえずる鳥の鳴き声が、かすかに聞こえてきた。


「やったんじゃないっすか?」

「すごいじゃないか、エルネスタ! 本当に一撃で倒すなんて、アタシは感動したぞ」


 クラウに褒められて感極まったエルが、クラウに抱きついて破顔した。


 僕は死亡を確認するために、巨大熊を鑑定しようとしたのだが、その瞬間皆に緊張が走る。

 巨大熊が平然と起き上がり、僕たちの方に顔を向けたのだ。


「う、うそ。失敗なのだわ」


 エルがクラウに抱きついたまま驚愕している。

 皆が呆然としていると、突如巨大熊が僕たちの方へ四本足で走り出した。


「皆、警戒して!」


 僕の号令に皆の表情が引き締まった。


 そして巨大熊が崖の下に到着すると、僕たちをにらみながら吠えた。


「グオー!」


 気持ち良くお昼寝していたところを叩き起こされたのだ、そりゃあ怒るよね。

 巨大熊の口からは、よだれがダラダラと垂れている。


「ク、クリス。空腹でイライラしているみたいですけど、大丈夫でしょうか?」


 不安になったリゼが僕の左腕に抱きついてきた。


「大丈夫っすよ、リゼたん。あの熊は崖が登れなくて悔しがっているんすよ」


 カルラは、そう言うと巨大熊を指さして笑った。


 その瞬間、自分がバカにされていると気づいたのか、巨大熊が怒り狂いながらほぼ垂直の急斜面を登り始めた。


「マ、マジっすか!?」


 カルラが発狂すると同時に、僕たちは大ピンチに陥った。


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