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チート能力「可能性は無限大」が人生を変える~超絶美少女な妹は第三皇子の僕が守ります~  作者: 愛輝磨生
第4章 臥竜鳳雛

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第117話 皇后バルバラ・ブレイズ・ファルケの狂乱

通常はクリストハルトの視点で物語が進行していますが、今回は皇后バルバラの視点となっております。

【皇后バルバラ視点】



 半年前、役立たずなメイドのせいで、クリストハルトとリゼットの毒殺に失敗した。

 誤算ではあったが、その後更なる大誤算が待っているなんてね。

 まさか、その日のうちに二人が城を出るなど、一体誰が予想できるというのか。

 その後、全く消息が掴めず、追手を放つにも魔術師団長のリートベルク侯爵が目を光らせているため、実現できなかった。


「だけど、この私が本気を出せば、不可能なんて存在しないのよ!」


 私はグラスに入った年代物の赤ワインを一気に飲み干した。


「陛下、あまり飲みすぎますと、お体にさわります」


 私専属のメイドが意見してきた。

 

「うるさいわね! 早く次のボトルを持ってきなさいよ!」

「は、はいっ!」


 メイドが慌ててワインセラーへ早足に移動した。

 最近自分でも、酒の飲みすぎではないかと思うことはある。

 でも、仕方がないのよ。私の邪魔をする忌々しい二人のことを考えると、イライラして気が狂いそうになるのだから。

 けれど、大好きなワインを飲んでいる間は、気分が少し落ち着くのよね。



 今まで自分の思いどおりにならない事なんて、一つもなかったのに。



 リゼットとクリストハルトのせいで、私の予定は狂いまくりだ。

 あの二人が居なければ、全て上手くいくのに。

 私は帝国の筆頭聖女を維持できるし、長男のレオンハルトは皇太子になれる。


「陛下、お待ちになられていた客人が到着いたしました」


 実家の老執事が頭を下げて報告にきた。


「そう、すぐにここへ通しなさい」

「はい、かしこまりました」


 今日は私の実家であるアルトマイアー公爵家が、領内で開催する施しに参加するため帝城を出てきた。

 皇帝陛下やリートベルク侯爵に怪しまれないようにするためだ。

 息子たち二人は施しに参加するため、護衛を連れて教会へ出かけている。


 私は一人で実家に残り、父に捜索をお願いしていた人物とこれから面会する。

 我がアルトマイアー公爵家の財力を使い、ありとあらゆる情報を集めた。

 そして私は最強の傭兵団を見つけ出し、これから依頼するところなのだ。


 それにしても驚いたのは、二人が冒険者になっていたことね。

 調べたところによると、15歳以上でないと冒険者登録ができないそうだ。 

 しかし光魔法Sのリゼットと、風魔法Sのクリストハルトは、特別に許可がでたものと推測する。


 私の優秀な息子たち、第一皇子のレオンハルト、第二皇子のエーベルハルトにも特別許可くらいは間違いなくでたでしょうけど、冒険者などにさせるつもりは毛頭ない。


 そして問題なのは、クリストハルトの火魔法がSらしいことだ。

 トリック独立国で巨大サソリのスタンピードを一人で防いだらしい。

 さらに所属する冒険者パーティー『インフィニティ』が現在の最高とされるSランクという情報もある。


 それにインフィニティのメンバーも調査済みだ。

 リーダーにクリストハルト、そしてリゼット、後はリートベルク侯爵の長女、帝国剣聖の長女、帝城の宮廷料理長の長女。

 男一人女四人のアンバランスな構成は、分析を担当した者から意味不明と報告を受けている。

 

 とにかく二人がこれ以上成長する前に、倒さねばならない。

 そのためにも私の父にお願いして探し出した、最強と名高い『ダークネス傭兵団』に依頼したいと思う。

 するとメイドに連れられて二人の男が応接室に入って来た。


「これはこれは陛下、お会いできて光栄です。俺はダークネス傭兵団の団長でリュディガー・ライツと申します」


 団長と名乗ったのは、ダークエルフの男だった。

 これが世界最強の魔法使いと噂される闇魔法SSの使い手、殺戮兵器の異名を持つリュディガー・ライツ。

 絶対、敵に回したくないわね。


「バルバラ遅れてすまない」


 挨拶の途中に入室してきたのは私の父であり、アルトマイアー公爵家当主エリーアス・フォン・アルトマイアーだ。


「お父様、お忙しいところ恐縮です」

「なんのなんの、可愛い娘と孫たちのためなら喜んで協力するぞ」

「お父様、ありがとう」

「うむ、ところでこの者が例の?」

「はい」


 お父様が二人の男をジッと見ている。


「これはこれは閣下、本日はお招きいただき感謝いたします。俺はダークネス傭兵団の団長でリュディガー・ライツと申します。こいつは、副団長のオイゲン・マガトです」

「初めまして閣下、陛下、副団長のオイゲン・マガトと申します」


 二人の男が頭を下げた。

 どうやらダークエルフなのは団長だけのようだ。

 メイドがローテーブルに四人分の紅茶を提供し終えると、お父様が従者の全員を部屋から出した。

 これから話す内容は、極秘なのだから当然よね。


「閣下、護衛も無しに俺たちと商談をするなんて、その度胸に感服いたします。これは信用されていると受け取ってもよろしいので?」


 団長のダークエルフが、微笑みながらお父様に質問を投げた。


「勿論だ。これから契約してパートナーになるのだ、二人を信用している。ただ言い足すならば、屋敷の庭園で現在二百名の私兵が訓練中だ。それと、この部屋から出るには私か娘の許可が必要であると、廊下で待機している従者に厳命してある」


 さすがお父様、安全面もしっかりと確保している。


「ぷっ、あははは。これは一本取られました。さすが帝国の筆頭公爵家ご当主様。安心してください、俺たちは依頼主を裏切ることは絶対にしません。俺の傭兵団は信用を大切にするので」

「そうか、それなら安心だ。では、早速話を進めようじゃないか」


 お父様が笑顔で場の進行役を務めてくれ、この後依頼内容の確認とその報酬について合意した。

 そしてお父様が、懐中時計を見て立ち上がった。


「すまないが、この後別の用事がある。残りの詳細は娘と話し合ってくれ。バルバラよ、自分のやりたいようにやりなさい。アルトマイアー公爵家にとっても大事な話ゆえ、私が全面的にバックアップする」

「はい、ありがとうお父様」


 私は立ち上がり、お父様と抱擁を交わしてからソファーに座り直した。

 そしてお父様は廊下に向けて合図をし、従者に扉を開けさせて部屋から退出していった。


「では陛下、最終確認をさせていただきます。依頼内容は、帝国の第三皇子クリストハルト・ブレイズ・ファルケと第一皇女リゼット・ブレイズ・ファルケの捕縛でよろしいでしょうか?」


 団長のダークエルフが微笑みながら私を見ている。


「いいえ、捕縛では困るのよ」

「では、どのようにすればよろしいので?」

「二人とも殺してしまいなさい。ただし、死体は必ず持ち帰ること。それと顔は損傷のないように注意して。後で確認ができないと困るから。ああ、頭部と胴体は離れていても構わないわ」


 どうしたのかしら? 団長も副団長も驚愕しているようだけれど。


「えーと、陛下のお子さんを二人とも殺して構わないと?」

「あなた勘違いをしているわね。第三皇子と第一皇女は私の子ではないのよ」

「なるほど、そういうことでしたか。しかし遺体を持ち帰るとなると、季節によっては腐ってしまい顔の判別が困難かもしれませんが」


 団長のダークエルフが困り顔で私を見ている。


「大丈夫、魔道具で冷暗保存機能がついた棺桶を二つ用意してあるわ」

「なるほど。そんな高価な物を二つも用意できるなんて、さすがアルトマイアー公爵家。ですが重すぎて、殺害前に棺桶を二つ移動させながら戦うのは困難かもしれません」

「問題ないわ。この収納ボックスへ入れて持ち運びなさい。これは報酬の前払いとして追加で団長に差し上げます」

「おお! これは有難い。ずっと欲しかったので助かります」


 団長のダークエルフが笑みを零している。


「まあ、容量は小さめだから期待しすぎないでね」

「いえいえ、手ぶらで移動できるだけで充分すぎる恩恵です」


 団長のダークエルフが左腕に、収納ボックス機能内蔵のリングを装着して、満面の笑みを浮かべている。


「では、よろしく頼みますよ」

「はい、お任せください陛下。俺が必ず二つの棺桶に、お望みの物を入れて持ち帰りますので」


 そう言い残してダークネス傭兵団の団長と副団長は、さっそうと屋敷から出ていった。


 さあ、クリストハルト覚悟なさい。

 今度こそ、息の根を止めてあげるわ。

 皇太子になるのは、レオンハルトよ!


 そしてリゼット、帝国筆頭聖女の座は、絶対誰にも渡さないわ!


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