ep.50 水少納言という小説家
こんばんは、今日は水少納言という小説家を客観的にみて書いてみました。
『水少納言という小説家』
先日、学校の古文の課題で、清少納言の『枕草子』を調べてくる宿題があったのだが、その検索した中に「水少納言」というネットで活躍? している小説家がヒットした。
どうせ、しょうもない自称小説家の駄文だろうと思って、一作目を読んでみた。
『十四歳年下の教え子』と云うタイトルだった。
なんか、簡単に粗筋をいうと、二十九歳の女性家庭教師が十五歳の男子中学生を教えていて、その生徒を交際している彼氏の教えている学校に進学させる、と云うもの。最初からどんどん引き込まれていって、あっという間に原稿用紙十枚を読み終えた。
大体原稿用紙一枚を1分で読めるとしたら、10分もあれば読める量で、私は通学の際の楽しみとなった。
私は、こういった短編集は、一から順に読むのではなく、面白そうな作品から読む性質なので、次に読んだのは、『蜜柑』だった。漢字が読めなかったので調べてようやく「みかん」と読めた。
この物語はすごく面白かった。
なんでも、みかんを姉のブラジャーを借りて胸に入れて、街へ繰り出す、というちょっと型破りな物語。
そして、これは梶井基次郎の『檸檬』のオマージュになっていて、同じように紀伊國屋の本屋(こちらは梅田だが)において爆発するのを妄想する、と云うものだが、これがまた違うのは、女装していて、尿意を催して、慌てて入ったのが男子トイレだった、というオチまでついていた。これは一本取られた、と思った。
私は結構文学には疎い方だから、小説にはあまり興味がなかったんだけど、偶然出会った「水少納言」と云う小説家には興味を持てた。
私は、勇気を出して、水少納言先生? 先生って言っていいのかな? 先生にメッセージを送ってみた。
「水少納言先生、いつも楽しく拝見しております。私は中学2年の女子生徒です。出身地は秘密です。一つ、気になったのは、水少納言先生は女性ですか? なんか、女性が主人公の物語が出てきたかと思えば、男性の主役が出てきたり、はたまたそれが猫だったり。
先生はいろんな人になれるんですね。
私も先生に倣って短い小説を書いてみました。よろしければお忙しいとは思いますがお読みいただけますでしょうか」
そして私が書いた小説がこれ→
『その時、私の耳元で何かが転げ落ちる音がした。カランカランと耳の中で転がっている。生暖かい感触と一緒に耳から落ちてきた。それは耳垢だった。山椒のような大きさだったのでびっくりした。
私はその耳垢をティッシュに包んで、今も大切に机の中にしまってある。
そうして不思議なことを思った。目くそ、鼻くそ、耳くそ、くそ、と云う言い方にはそれぞれ丁寧というか上品な言い方がある。めくそは「目ヤニ」、耳くそは「耳垢」、くそは「便」。でも、鼻くそには上品な言い方が存在しないのだ。いや、それは単に私の語彙力の無さかもしれないが、聞きなれない。というか、聞いたことがない』
←これを小説と呼べるのかわからないが、とりあえずメッセージと一緒に送った。
いくらネット上とはいえ、小説家と名乗る人にメッセージを送るのは緊張した。性別もわからないし、得体の知れない(それこそ檸檬の中に出てくる言い回し)人物に自分の小説を書いて送るのだから、それは特別な体験だった。
どうせ、返事なんて来ないだろうな、と思っていたら、殊の外、取越し苦労というか杞憂というか、返事はちゃんと返ってきた。
「恋する厨二ちゃん(しまった、前のハンドルネームだった)、こんにちは、もしかして朝に読んでたら、おはよう、がいいかな。夜だったら、こんばんは、かな? ええい、もう一緒くたにして『おはこんばんちは』だ。お手紙ありがとう。とても嬉しかったです。だもんで、お返事を書いてます。
ところで、どうして僕(普段はあのちゃんみたいに『僕』って言ってます。性別はご想像にお任せします)のことを知ったんですか? 小説家になろうでも純文学は人気がないし、異世界転生ものが多い中で、どうしてこんなにつまらない(自分で言うのも変ですが)純文学ともいえない独り言のような小説に辿り着いたのか不思議です。もしかして清少納言と間違えました? いずれにせよ、せっかく出会ったんですから、ここはひとつ、よろしくお願いします。
まず、送られてきた小説ですが、面白かったですよ。鼻くそだけ丁寧な上品な言い方はない、って視点、小説家としてはいい目の付け所だと思います。
とか言いつつ、私(時々、私になったりごめんね)は、デビューしている小説家ではないので偉そうなことは言えませんけどね。
私も、小説を書くにあたっては、可成り勉強しました。
まず、岩波の国語辞典は調べた言葉に線を引いてるので、真っ赤です。黄色のマーカーも引いているので、ボロボロです。
次に、新明解の類語辞典もラインだらけです。小説家はたくさんの類語を知っていることが今後役に立ってきますからね。空だけでも、天空、碧空、青空、曇り空、茜空、蒼穹、蒼天など、いろんな言い方があります。これだけ言い方が多いのが日本語のいいところですね。英語だとSKYで済みますもんね。
それから、「てにをは辞典」というのも手に入れました。これは、言葉の前や後ろにつく言葉を調べるためです。
広辞苑は今から6年前に手に入れました。何しろ一万円ほどする辞書なんで可成り悩みましたが、付録の漢字辞典だけでも値打ちがあると思いました。でも、本体は重たすぎるので実用的ではありません。布団に寝ころびながら読むことは絶対無理ですのでね。僕がその広辞苑を買ったのは、当時カルチャーセンターの講師だった現役の作家さんが広辞苑をスマホに入れてる、というのを聞いて、買ったんです。スマホが古かったので、どうせ一万払うなら、紙の辞書がいいかな、と思って。今までの僕の小説を見てきたらお分かりだと思うんですが、アナログが好きなんです。だから、万年筆にこだわったり、原稿用紙も満寿屋の高いやつを使ってみたり。勿体無いんであまり使ってませんが。
他にも辞書は色々買いました。小学館の中高生向けの辞書を買いました。これを今はメインに使っています。というのも、僕の目標が、誰でも読める純文学なんで、言葉は知っていても、他の人が読めない漢字を使って、一部の知識人しか読めない小説を書きたくはないんです。「こうちゃんのお仕事」だったか、その小説を読んでいただければわかるんですが、彼はルビの振られた本を一生懸命に読んでいたんですね。知的障害のある方だったんですが。漢字は見て意味のわかる漢字は使います。だからさっきの碧空とか、白濁とか、文字を見れば、白く濁っている、というのが分かれば使うことにしています。あとは人名辞典や感情辞典というのも使っています。人物名に悩む場合に便利です。僕がこの小説のほとんどに登場するのは「宮下公一」という青年なり、少年です。中年でもありますが。これは本名のイニシャルが同じにしてあります。女性名でよく使うのは「優香」です。これは私を担当してくれたナースの名前です。素敵な女性でした。だから女性名は「優香」が多いです。
あと、ペットは猫で『たま』というのは本当のうちのペットの名前です。あと、アナウンサーには必要な「発音・アクセント辞典」というのを三冊持っています。現役のアナウンサーの方でもこの三冊を持っているのは五五歳以上のベテランアナウンサーぐらいでしょうか。なぜ使うかといえば、これも先ほどの通り、普段から使う言葉だからです。難しい言い回しは避けたいのです。その難しい言葉を選ぶぐらいなら、それを表現に回したいのです。辞書でいうと、他にもありますが、数を挙げればキリがないので、この辺にしますが。小説家は、僕はライトノベル作家の方がたくさん本を読んでいるような気がします。そして彼らの方が本を好きでしょうし、いろんな言葉を使っています。時々、ハっとするような表現も見受けられます。プロではない小説家の方でもプロ以上の表現力の方もいますし。小説家は名乗った時点で小説家なんですよ。だから僕も「水少納言」と名乗った小説家なんです。「小説家になろう」の読者は僕の大切な読者なんです。すでに、五千以上のアクセスがありますが、なろうでは少ない方ではありますが、地元の図書館を想像してみてください。大体多くても50人ぐらいしかいないでしょう。その方が毎日僕の小説を読んでいるのかと思うと、恐ろしいと思います。便利な時代になりました。あなたと繋がれたわけですし。これからも勉強頑張ってください」
うわ、うわ、返事が来た、水少納言先生から返事が来た。
わかった。早速辞書を明日買いに行く。先生の書いてた小学館の辞書を探しに行こう。
(了)
ありがとうございました。




