表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽りだらけの冒険記  作者: Ka
4/27

4

5メートルを超える鉄の扉には、鍵がかかっていた。

無理矢理開けようものなら、ダンジョンから追い出される可能性が高い。


身体を退け、後ろを振り返った。


「ヤイラ、いけるか」


「ちょっと見てみるよ」


彼は錠前に立つと、持ち前の道具を出してカチャカチャと動かし始める。錠の位置が高いのか、少し背伸びをしていた。


小動物のようなその姿に、キュンと胸が高鳴った。


ここで"持ち上げようか?"なんて聞いたら、彼のプライドを傷つけてしまうだろうか?


一人で葛藤していると、声をかける前にガチャリと鍵が開く。


「うん。これでもう大丈夫だよ」


「……ありがとう、ヤイラ。助かった」


「どうってことないさ」


彼と位置を変え、扉の前に立つ。


「開けるぞ」


重く古い鉄の扉を、力を込めて開いた。

隙間から光が差し込み、目を瞬かせる。


扉を開けるとそこは、草原のど真ん中だった。


「屋外か」


「戦いやすそうだ!」


「走るなナルク!聞いてないな……。悪い、ダルカン。回収頼んだ」


「ああ」


駆け出した男の首根っこを掴む。


周りに敵の反応がないとはいえ、いつ何が起こるか分からない。警戒して損はないだろう。


「これだけ広いと探索も大変そうだね」


「二手に分かれよう。俺がフェイジス、ヒマリを連れて行く」


フェイジスは、女性と一緒ではないと力を出さない。そして、ナルクとベリルは余り良好な関係とはいえなかった。


「承知した」


ナルク、ヤイラと共に、反対方向に足を進める。

時折、犬のように走り出すナルクを捕まえては、周囲に目を凝らした。


・・・


どれだけ歩いただろうか。


喉の渇きを感じたとき、ようやくふわふわと浮かぶ扉を見つけた。


「ナルク。頼んだ」


耳に指を詰め、ヤイラと共に彼から離れる。

彼は大きく息を吸うと、周囲に響き渡るように腹から声を出した。


「見つけたぞッッッッ!!!!」


ビリビリとした音圧が鎧を揺らす。

耳を塞いでもキンと脳を突く声に、思わず感心してしまった。


「流石だな。それは、お前にしかない力だ」


「そうか!なら良かったぞ!」


「あたまが、まだ、くらくら、するよ」


ヤイラがぐるぐると目を回している。

揺れる身体を、少し悩んだ後そっと支えた。


「ありがと…」


「ッ大丈夫かヤイラ!」


「耳元で叫ばないで。……うん。もう大丈夫」


少し落ち着いたのか、触れていた身体が離れる。

顔色は悪いが身体の震えは止まっていた。


ナルクの声伝達は、便利だがデメリットもあるようだ。


しばらくして、ベリル達がやって来た。しっかりと声は届いていたらしい。


「やっほ〜、お待たせしちゃった?」


「いや。無事聞こえたようで良かった」


「ヤイラくん、顔色が悪いですよ!?」


彼女が心配そうに駆け寄る。

その蒼白い顔色を確認すると、静かに顔を寄せた。


チュッ


おでこにかかる髪を上げ、白い額にキスを落とす。

ヤイラの華奢な身体がピクリと動いた。


「別に、これくらい良いのに…」


聖女の唇には女神の祝福が宿っている。

キスをした相手の力を強め、状態異常を緩和させる能力があるのだ。


祝福のおかげか、ヤイラの青白かった肌は赤く染まっていった。どうやら、体調は戻ったようだ。


「いえ!これくらいしか出来ないので。辛くなったらいつでも言ってくださいね」


彼女がニコリと笑うと、ベリルが一つ咳払いをした。


「ヤイラも回復したところだし、次の扉に向かおう」


浮かぶドアノブを掴むと、グッと手前に引いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ