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情報共有のため、フェルジスの部屋に集まる。
部屋に入ると、彼はすぐに防音魔法をかけた。
「用意周到だな」
「どこで耳をそば立てているか分からないからね。それじゃあ、はじめようか」
「ああ。では、俺から報告しよう。古本屋で異世界転移に関する書物を見つけた。内容としては、昨日見た本の肉付けあたりだな。具体的な儀式の流れが書かれている」
トン
ベリルは表紙が剥げ、色が霞んだ本を一つ置いた。
見るからに年代物であることがわかる。
その隣にヤイラが一冊の本を置いた。
おそらく著名な人物が書いた本なのだろう。
羊皮紙を用いた革装丁の本は、ほとんど傷みもなく、綺麗な状態が保たれている。
「僕が見つけたのはこれだよ。魔女アイオーンが聖女召喚について記した本だ。召喚の原理や逆方向からのアプローチが出来ないか書かれてある」
フェルジスは二冊の本を手に取ると、ペラペラとページを捲った。
この中で、一番魔術に精通しているのは彼だ。実現可能かを判断できるのも彼だけだろう。
「……うん。二手に分かれたのは正解だったね。どっちも間違いない情報だよ。あとは、鍵のありかさえ分かればな〜」
「それなら、ダルカン」
ベリルの視線がこちらに向けられる。
一つ頷くと、先ほど見たことを共有した。
「天に最も近い場所、か。おそらく、セテリアのことかな?」
「ああ。俺たちもそうだと考えている」
「この情報さえあれば、ここに留まる理由はない。……それにしても、よく潜り込めたね。あそこは、魔法局の幹部クラスでもないと入れない場所だよ」
「ラグナス。いや、この国の皇子が協力してくれたんだ」
その言葉にベリルが顎に手を当て、少し難しい顔をする。
先ほどのことを思い出しているようだ。
「まさか昨日の男が皇子だったとはな。ダルカンは知っていたのか?」
投げかけられた彼の視線に、首を振って答える。
「身分が高いことは勘付いていたが、皇子だとは思わなかった」
「あのっ!ダルカンさんは、皇子様とどこで知り合ったんですか?」
ヒマリは突然立ち上がると、キラキラとした視線をこちらに向けた。
「昨日、図書館で本を探しているときに偶然会ったんだ」
「あそこに皇子様がいただなんて…。また、会えるでしょうか」
彼女の瞳はうるうると潤んでいる。
悪魔は人間を誘惑するため、整った容姿をしている。
初めて悪魔を見た少女は、すっかりと心を奪われてしまったようだ。
その様子にベリルがコホンと一つ咳払いをする。
「魔法局の方はどうだった?」
「異世界に関する研究チームはあったよ。ただ、どうにも怪しく感じてね…。それこそ、あの魔法師であれば別館にも入れるはずだ。だが、彼等は異世界に帰る方法は見つかっていないと仄めかしていた。勿論、俺達を警戒して言わなかった可能性もあるが……、何かを企んでいるような気がする」
「私もそう思います!その、本を読んだんです」
「本?」
「はい…。以前聖女をしていた女性の日記です。そこには、魔法師達に騙されたと書かれていました。どんなに痛いことでも我慢したのに、利用するだけ利用して捨てられた、と……」
「そう、か。それは辛いものを見たな。幸い必要な情報はもう揃っている。すぐにでもここを離れよう」
「賛成。見送りがあったってことは、ここも割れてるんだよね?どう逃げようか」
ヤイラが鞄から帝国の地図を出した。




