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偽りだらけの冒険記  作者: Ka
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35

六角形の都市は攻め込むのはもちろん、一度足を踏み入れれば逃げ出すことすら難しい造りになっている。


東西は深い森に覆われ、どんな罠が張り巡らされているのか分からない。


北は海。

海岸までは切り立った断崖が続いている。 

船を借りるどころか、海へ降りることすら容易ではないだろう。


残る南は、我々が入ってきた唯一の出入口だが、関門には警備兵が常駐し、通行人の検閲を行っている。


もし魔法師たちが既に連絡を回していたら、あの関門を無事に通り抜けることはできないだろう。


となると………、


「南北は避けた方がいいだろう。残るは東西になるが、セテリアはここより東の地だったな」


「そうだ。東の森を突っ切るか?」


ベリルの言葉に首を振る。

あのとき何人かの魔法師が、殿下と挨拶を交わしていた。

もし、奴等に情報が渡っていれば厄介だ。


「近道は東だ。だが、もし彼等がこちらの目的を把握しているのなら、東を重点的に固めてくるだろう」


「迂回にはなるけど、確実なのは西のルートってことね」


「なるほど。それなら、なるべく早く行動に出た方が良さそうだな。フェルジス、周囲に敵の気配はあるか?」


「う〜ん…。出入り口に監視がいるね。裏から出た方が良さそうだ」


「よし。それなら準備が整い次第、裏口から出よう」


ベリルの声を元に各々が出立の準備を進めた。


・・・


「ここだ」


声を顰めて、裏口から出る。

周りにはまだ気づかれていないようだ。


「このまま一気に西まで進もう。落合場所は作戦通りに」


細く暗い裏道を列になって進む。

敵がどれだけいるかは把握できない。

下手に戦力を分散するよりも、まとまって行動した方が安全だろう。


迷路のように続く裏路地を、曲がっては進むを繰り返す。


道端には、倒れた魔人の姿が幾人も見えた。


ふと、上空から何かが急速に近づいてくる。

どうやら、気づかれてしまったようだ。


「来るぞ」


ベリルの声と共に、長いローブを纏った男女が現れる。


「こんばんは。いい夜ですね」

「そんなに急いでどこに行くんだ?」


二人はプカプカと浮きながら、こちらを見下ろしている。 


「そこを退いてくれ。邪魔だ」


ベリルの冷たい声に、二人がヨヨヨと悲しんだフリをする。


「おやまぁ…。挨拶をしただけですのに」

「なんて冷たい異邦人なんだ…。ランカ」

「もちろんよ」


二人は杖を取り出すと、こちらに杖先を向けた。

ふわりと髪が浮き、詠唱が始まる。

魔法師の嫌なところは、射程範囲外から攻撃してくるところだ。


「ベリル」

「ああ、行こう」


盾を構えて、彼等に急速に近づく。

魔法の発動に詠唱が必要なら、その前に落とせばいい。

地を強く蹴り、詠唱を唱える男に向かって盾を振り落とした。


ダンッッッ


鈍い音と共に、男の肩と杖が砕ける。

痛みに悶える男の側面を続けて殴り飛ばす。

ローブを纏った男は、壁に体を打ちつけるグダリと動かなくなった。


手を翳して呼気を確認する。

生きてはいるようだ。

隣を見ると、女の方も既に鎮圧済みだった。


「行こう」


ベリルの声に立ち上がり、また暗い路地裏を進む。

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