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偽りだらけの冒険記  作者: Ka
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30

早朝

ベリル達と待ち合わせ、各自の捜索区域を決める。


流石は世界一魔法使いが住む国だ。

図書館の数も多ければ、立ち並ぶ本屋の数も多い。


三人で手分けして、異世界に関する文献を探していった。


中心部から少しだけ外れた図書館で、異世界の文献を探す。


『多次元的空間論』『世界の狭間について』『異世界転移した私が帰るまで』『異世界帰還術』………。


図書館には、魔法局が出した学術本もあれば、歴代聖女によるエッセイ本まで取り揃えていた。


本を取ってはパラパラとページを捲る。

どの本も眉唾な情報や再現性の乏しい内容ばかりで、有益な情報は見つからない。


「………?」


ふと、どこからか視線を感じる。

顔を上げると、少し離れた書架から一人の男がこちらを見ていた。


それは、訝しげに何かを探っているような表情で…。


ゾクリと背筋が凍る。


その男は紺色の長いローブを纏っていた。恐らくこの国の魔法使いだろう。

彼の険しい顔つきを見るに、好意的な反応ではないことは明らかだった。


・・・


書架に本を戻すと、すぐさま出口へと向かう。

背後からこちらを追う男の気配を感じた。


息を吐き、歩くペースを早める。

男が走り出し、こちらに急速に向かってくる。


ーーーー完全に気づかれたようだ。


大通りに出て正体を叫ばれたら一溜まりもない。


くるりと翻し、正面から向き合う。

その手が私の肩を掴んだ瞬間、


「やあ、ダルカン。昨日ぶりだね」


男との間にラグナスが立っていた。


張り詰めた空気の中。

彼は穏やかな笑みを崩すことなく、掴んだ手をゆっくりと解いた。


「図書館で声を荒げてはダメだろう?ほら、()()()だ」


ギチリ


目の前の男は、まるで人形のようにぎこちなく出口まで歩いていく。

その目には、既に私は映っていなかった。


「ラグナス、助けてくれてありがとう」


「どういたしまして。ダルカンは今日も本探しかな?」


「そうだ。だが当てが外れたみたいだな。目ぼしいものはなかった」


「それは残念だね。どんな本を探しているの?」


「異世界へ行く方法についてだ」


「ああ、昨日借りていた本か。あれは魔法局の規制上、断片的な部分しか載っていないんだ」


「読んだことがあるのか」


「暇を持て余しているからね。図書館の本はあらかた読んだよ。君の知りたい内容なら、他の図書館にあるだろう」


「どこに行けばいい」


彼は少しの間、思案するように口元に手を当てた。


「うん、恐らく大丈夫だ。ダルカン、今から伝える約束を守れる?」 


「どんな内容だ」


「決して声を上げず、僕から離れないこと。約束できそう?」


「承知した」


「それなら連れて行ってあげる。ほら、こっちにおいで」


鉄の手を白く美しい手が包み込む。そのまま二人は石壁をすり抜け、暗闇の中を進んでいった。


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