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「ダルカン!帰ってきてたのか」
ホテルの食事処には、既にベリル達が集まっていた。
その中央には渡した本が広げられている。
「すまない、遅くなった。何か手掛かりは掴めそうか」
「うぅ、これを見てください」
ヒマリが眉を下げて、本の一箇所を指差す。
『異世界に行くための条件』
①月の満ちた日
②神聖なる聖域の湖
③異世界へと通じる鍵
「なるほど、異世界へと通じる鍵…か。聞いたことがないな」
「どのページを読んでも鍵についての情報が見当たらないんです!」
「俺達では一体どこにあるのか、どんな形なのかも検討がつかない」
「う〜ん、やっぱり魔法局に行った方がいいんじゃない?あそこなら、知っている人がいるかもしれないし」
魔法局
魔法師最大の研究所兼総括部だ。
その業務は研究のみならず、違法魔法師の取り締まりから、魔人の捕縛及び駆除、魔法道具の開発まで多岐にわたる。
太古の魔女から新参者の魔法使いまでが働くこの場所なら、鍵について知っていてもおかしくはない。
ただ、私が行くわけにはいかなかった。
魔女や腕利きの魔法使いに遭遇すれば、魔人だと見破られる危険性がある。
明日の命のことを考えると、どうしても避けなければならない提案だ。
「……魔法局に行くのは良案だ。だが、図書館や古本屋を回れば、別の手掛かりが見つかる可能性もある。二手に分かれて、同時に調べるのはどうだろうか」
「それもそうだね。大人数で行っても迷惑になるだろうし。二手に分かれようか」
「どう振り分ける?」
ヤイラが視線を投げかけると、ベリルは思案するように首を傾げた。
「そうだな、ヒマリをどうするか…」
「私は魔法局に行きたいです!その、状況の説明も本人が一緒の方が良いと思いますし」
ベリルとフェルジスが顔を見合わせる。
二人は揃って難しい顔をした。
「うぅん。あそこはちょっと手段選ばず!というかマッドサイエンティストなところがあるから…」
「異世界から来たなんて知られたら、どんな実験に付き合わされるか分からないぞ」
「そ、そんなに怖いところなんですか」
「まあ、本人がいた方が話が早いっていうのはヒマリちゃんの言う通りだけど」
「その、私なら大丈夫です!実験は怖いけど、一生家族や友達に会えない方が辛いですから」
彼女は拳を握り、キラキラとした瞳でベリルを見つめる。
やがてベリルは観念したように、小さくため息を吐いた。
「君の気持ちは分かった。それなら、魔法局にはヒマリ、フェルジス、ナルクで行こう。異論のある者はいるか?」
「えっ…。ベリルさんは一緒に来てくれないんですか?」
「あそこには顔見知りがいてな。奴に見つかると色々まずいんだ」
「そうだったんですね!ベリルさんのことは内緒にします」
彼女は口の前でバッテンを作る。
「助かるよ。フェルジス、魔法局であればお前が一番顔が効くだろう。頼んだぞ」
「任せて!と言いたいところなんだけど…、あそこは変人の集まりだからなぁ。ちょっと不安は拭えないカモ」
「安心しろフェルジス!何とかなるさ」
「何とかなったら良いなあ」
彼は若干遠い目をした。
よほど魔法局はハイリスクハイリターンらしい。
「もし、面倒ごとに巻き込まれたり危険な目にあったら合図を送ってくれ。すぐに駆けつける」
「そうしてくれると助かるよ。それじゃあ、今日は明日に備えて休もっか」
食事を取ると各々部屋に帰って行く。
私の部屋は四階の南部屋だった。




