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偽りだらけの冒険記  作者: Ka
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※ 残酷な描写があります。

暴力表現などが苦手な方や、不快に感じる恐れのある方は、本話を読み飛ばしてください。

数日後。

ようやく、首都フェラデールに辿り着いた。


足を踏み入れた瞬間、異様な雰囲気に飲まれる。


そこは、無償労働や魔人販売が可愛く思えるくらい、狂っていた。


魔人を道端に括り付け、殴り、犯し、殺している。

そこに尊厳などなく、まるで物のような扱いだった。 

拘束されている魔人の殆どが、人間を襲わず戦闘に不向きな種族ばかりだ。


喉元まで込み上げてくる吐き気を何とか飲み込む。

何故こんなことが出来るのだろうか?

強い怒りと悲しさでどうにかなりそうだった。


近くで、一際大きな怒声が聞こえる。

目を向けると、路地裏の隅に人だかりが出来ていた。


「このッ魔人め!!!人間様を襲いやがって!!」


怒声をあげる男は、足を振り上げ何度も倒れ込む身体に酒瓶を叩きつけた。

辺りから、ヒソヒソと沈んだ声が聞こえる。


「ああ、酒屋のベルクか…。可哀想そうに。あいつの娘、吸血鬼にやられたらしいぞ」


「なんて酷い…!これだから下等な魔人はッ」


男は耳を塞ぎたくなるような罵声と共に、暴力をふるっている。


害を与えたのは、その魔人ではないはずなのに。


「ゴミのくせに、こんなところで寝てんじゃねぇよ!」


鬱憤晴らしだろうか。

年若い男達が嗤いながら、魔人を傷つける。


街行く人は見て見ぬ振りをするか、痛ぶられている魔人を見て笑っていた。


「うわっ!見ろよコイツの肌、きもちわるっ!」


「やっぱ人じゃねぇんだな。あ〜あ、コイツら早く滅べばいいのに」


「言えてるっ!ほら、泣いて詫びてみろよ。人間様っ、下等な僕ちゃんが生きててごめんなさい〜ッて」


頭がどうにかなりそうだ。

身体が燃えたぎったように暑い。

これ以上ここにいたら、目的を忘れて暴走してしまいそうだった。


深く息を吐くと、その場から目を離そうとする。

そのとき、人々の隙間から殴られている魔人の姿が鮮明に見てしまった。


褐色の肌に、長く伸びた耳、額には宝石が埋め込まれている。


………私と同じ晶人族だ。


その身体は酷く傷つき、一部欠損している。

ハンマーで殴られた断面からは、額と同じ石が露わになっていた。


掠れた悲鳴をあげる男は、突然顔を上げた。


離れた場所にも関わらず、バチリと目が合う。


縫い付けられたように、足が動かない。

  

「ダルカン、大丈夫?」


横を並んでいたヤイラがこちらを振り返った。

その顔色は、ひどく青ざめている。


「…………」


「ダルカン?」


「………先に行ってくれ、用事を思いついた。図書館で落ち合おう」


「待ってくれ」


ベリルがこちらに身を寄せ、囁いた。


「この治安だ。お前を一人にはしておけない」


「俺は大丈夫だ。ヒマリの顔色が先ほどから悪い。早く休ませてやれ」


「ダルカン、お前がどれだけ強くても俺は心配なんだ」


「少し離れるだけだ。昼には合流する」


「………許可できない」


「フェルジス」


「分かったよ…。くれぐれも危険なことに首突っ込んじゃダメだからね!ほら、ベリル行くよ」


彼がその首根っこを掴んでズルズルと運んでいく。

心配そうに振り返る仲間に、ヒラリと手を振った。


突然ヤイラの動きがピタリと止まる。

彼は仲間に一言二言伝えると、こちらに戻ってきた。


「やっぱり、僕もダルカンと一緒に行くよ」


「ダメだ。先に行ってくれ」


「嫌。君、無茶するつもりでしょ?」


「………」


「君が何をしても邪魔はしない。だから、僕も連れていって」


「………もし危険が迫ったら、必ず一人で逃げろ。約束できるなら連れて行く」


「分かったよ。ダルカンもね」

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