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次の目的地は、リーヘン帝国の首都、フェラデールだ。
残念ながら、ブライフェンにはヒマリを元の世界に帰す手がかりは見つからなかった。
書物はどれも風化しており、読めるような状態ではなかったのだ。
しかし、アイオーンが暮らしたあの国ならば手掛かりが見つかるかもしれない。
それに、アイオーンの書物がなかったとしても、魔女や魔法使いが多く暮らすあの国なら、他の誰かが研究していてもおかしくなかった。
個人的に、あの国にはいい思い出がない。
しかし、彼女を元の世界に帰すうえで、避けては通れない国だった。
・・・
馬を走らせ、砂の集落に辿り着く。
行商人から、顔を覆う布と水や非常食などが入った袋を一通り買った。
これからの旅は少し過酷になる。
なるべく備えは多めにあったほうがいい。
ギルドに立ち寄ると、借りた馬を返しラクダに乗り換えた。
・・・
何日もラクダを走らせ、暴風砂の中、休息を取る。
空と惑星しか見えない砂漠では、ときおり方角を見失うこともあった。
想定以上の長旅に、多めに買っておいた備蓄も尽きかけている。
距離としては、全体の4/5を過ぎたところだ。
ここから、あと数日はかかる。
悩みの種は食料問題のみならず、気温差による体調不良などキリがなかった。
ジクジクと照りつける太陽を受け止めながら、星座を見てラクダを走らせる。
「っ!あっちだっ」
ナルクは突然ぐるりと顔を回すと、斜め右方向に走り出した。あっという間に、その後ろ姿は遠くなっていく。
「ナルクっ!……はぁ。この暑さだと追いかける気にもならんな」
「俺が行こう」
ナルクを追ってラクダを走らす。
彼は何かを見つけたのか、一際大きな声を上げた。
その背中越しに、砂漠の中ユラユラと揺れめく何かが見える。
ーーーオアシスだ。
すぐさま後方の仲間に合図を送った。
ナツメヤシに囲まれた中心部に、ターコイズブルーの綺麗な水が湧き出ている。それは、どれだけ近づいても蜃気楼のように消えることはなかった。
・・・
水は少し塩分濃度が高かったため、ヤシの実を切って喉を潤す。ほんのり甘いココナッツウォーターは、ひどく乾いた喉に染み渡った。
「生き返る〜〜っ」
フェルジスは、浮いた汗を拭うとパタリと木の影に倒れ込んだ。
「ふふっ、ここ数日飲み水も節制してましたもんね。ナツメヤシを使ったご飯も、もうすぐできますよ!」
「本当か!?楽しみだなっダルカン!」
「ああ」
「初めて飲んだけど、ココナッツて案外いけるね」
「ヤイラは甘いものが好きだもんな」
「…ベリルも好きなくせに」
「ふふっ、俺は好き嫌いがないんだ」
疲労の浮かんでいた皆の顔が、一気に晴れていく。
「ナルク、お前のおかげで休憩できた。ありがとう」
「たまには俺の勘も当たるものだなっ」
彼は照れたように鼻を掻いた。
ここでしっかり貯水と貯蓄を確保できれば、あとの旅も楽になるだろう。ラクダが水を飲む姿を見つめながら、それぞれ羽を伸ばした。




