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偽りだらけの冒険記  作者: Ka
20/26

20

ベリル達が帰ってきた。


肩を組んで帰ってきた彼等は、ボロボロの状態だった。

服は破け、肌は酷い火傷で爛れている。


どうやら、あのレーザーに掠ってしまったらしい。


双子が治癒魔法を施すと、その痛々しい傷は一瞬で治った。


楽しそうに談笑している彼等を微笑ましく見つめる。

 



ふと、ベリルに目を向けたとき。


ーーーゾクリと悪寒が走った。


視線が彼の腰元に向かう。


彼は、豪華な装飾で飾られた武器を帯剣していた。本能的に、それが魔人を討つ遺物なのだと気づいた。


「ダルカン?その、どうかしたか」


ジロジロと不躾な視線を送ってしまったらしい。

ベリルに、遠慮がちに声をかけられた。


「いや、すまない。それが例の遺物なのだな」


「ああ、そうだ。皆、俺のわがままを聞いてくれてありがとう。おかげで、また一つ目標に近づくことが出来たよ。この恩は必ず返すと誓おう」


彼は感慨深そうに、柄を撫でる。

長い指が剣に触れる度に、今すぐ逃げ出したくなった。


剣からは、それほど強大な力をヒシヒシと感じる。


「………気にするな、仲間だろう。それに、お前のおかげで装置の暴走を未然に防げたんだ。胸を誇れ」


「俺は沢山戦えて満足だ!」


「僕たちは、外に控えてただけだし気にしないで」


「そうですよ!」


「ありゃ、僕だけか。ベリル、約束は守ってよ?」


「勿論だ、フェルジス。恩は返すと言っただろう」


死闘を乗り越えたからか、2人の間の距離は更に縮まったように見えた。

楽しそうに小突き合う2人を見ながら、乾いた喉を温かい紅茶で湿らした。


・・・


「世話になった。君達がいなかったら、アイオーン様の遺物には出会えていなかったと思う。心から感謝する」


ベリルは、見送りに来た少年達に深く頭を下げた。


「いえ、こちらこそ助かりました。あのままアレの相手をするのは骨が折れたでしょうから」


「君達はこれからどうするんだ?」


「装置を片付けた後、旅に出るつもりだよ。実は僕たち、ここから出たことが一度もないんだ」


「もう僕たちの役割は終わりました。あとは余生を楽しむだけです」


彼等は晴々とした表情でそう言った。


「そうか…。もし旅先で出会ったら、また茶を飲もう」


「もちろんだよ!そうだベリル。一つ伝えたいことがあるんだけどいい?」


「何だ?」


少年はグイグイと彼の手を引き、こっそりと耳打ちをする。

防音魔法がかかっているのだろうか。

そう遠くない距離なのに何を話しているのかさっぱりだった。


しばらくして2人が戻ってくる。


「何を話してたの?」


フェルジスが不思議そうに少年に目を向ける。


「ひみつ〜。というかお前にはぜったい教えない」


一度下がった好感度は、なかなか回復しないようだ。

彼はジトリとフェルジスの顔を睨んだ。


ベリルが仲裁するように、間に立つ。


「お前の助言、肝に銘じるよ」


「うん。あの試練をクリアできた君なら、決して間違えないって信じてる」

 

待機させていた馬に乗り、出立の準備を整えた。


「さあ、出発だ」


「君達の旅先に幸多からんことを!」


「気をつけていってらっしゃい」


対なる少年に見送られて、馬を走らせる。

小さくなっていく、灰色の都市はやがて砂に埋もれ見えなくなった。


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