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偽りだらけの冒険記  作者: Ka
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2

拠点に戻ると、良い匂いが漂ってきた。

スープとパンが焼ける匂いだ。


「おはようございます、ダルカンさん。もうすぐ朝ご飯ができますよ〜!」


聖女、ヒマリが柔らかな髪をふんわりと揺らし、振り返る。


彼女は、2年前に異世界から召喚された、特別な聖女様だ。今は諸事情で、この冒険者パーティーに籍を置いている。


戦闘は得意ではないが、皆を生活面から支えてくれる優しい女の子だ。


「何か手伝えることはあるか」


「ありがとうございます!それなら、この薬草を切って、スープに入れてもらっても良いですか?」


「承知した」


包丁を手に取り、薬草を細かく刻んでいく。


彼女からは、いつも神聖な魔力が漂ってくる。

ただ、側にいるだけで癒されるのを感じた。


「おはよ、皆んな早いね〜」


振り向くと、魔法使いフェイジスが眠そうに目を擦っている。


「おはようございます!フェイくん」


「ヒマリちゃん、おはよう。今日もとっても可愛いね」


彼はヒマリのすぐ後ろに立つと、サラリと髪を撫でた。


「ひゃっ!もう…イタズラしないで、顔を洗ってきてください!」


彼女がプクリと頬を膨らませる。

睨みつけるその表情に恐ろしさはなく、ただ愛らしいだけだった。


「は〜い、朝ご飯楽しみだよ」


フェイジスは、ひらひらと手を振り、去っていく。


彼の好色家は有名で、噂に疎いダルカンでさえも、"パーティークラッシャー"の異名は耳に届いていた。


「ヒマリ、これで問題ないか」


小皿にスープを掬うと、彼女が一口味見をする。


「完璧です!」


「よかった。他に手伝えることがあったら言ってくれ」


「う〜ん。それなら、ヤイラ君を起こしてもらってもいいですか?」


「勿論だ」


木陰の下、長いまつ毛を伏せてヤイラは眠っていた。

近くでナルクの元気な声が聞こえくるが、彼が起きる様子はない。


少し躊躇った後、その小さな身体にそっと触れる。


ゆさゆさと揺らすと、少しだけ目が開いた。

とろんと眠たげな瞳と目が合う。


「おはよう、ヤイラ。朝だぞ」


「んん…いま、なんじ?」


木の影は北西に伸びている。


「10時前後だ」


「ふわぁ…かお、あらってくる」


大きく一つ欠伸をすると、身体を起こしふらふらと水場に向かっていった。


彼がここまで眠そうなのは珍しい。


火の番をフェイジスに変わった後も、あまり眠れなかったのだろうか。


その朧げな足元をジッと見つめた。



簡易テーブルにスープをよそった器を並べる。

仲間が増える度に彫った木の器は、ダルカンにとって思い出の品だった。


「おはよう、ダルカン。今日の探索のことで、相談したいことがあるのだが」


訓練を終えてきたらしい剣士ベリルが、汗を拭いながらやってきた。


ベリルは、最も同じ時間を過ごした仲間だ。

同時に、人と関わるきっかけをくれた恩人でもある。


「何かあったのか」


「実は、散策をしていたときに、魔法で隠された道を見つけたんだ。もしかしたら、ダンジョンがあるかもしれない。…寄ってみないか?」


「俺は賛成だ。そろそろ資金も尽きる頃だろう。街に着くまでに換金できそうなものは集めておきたい」


「なら決定だ。みんなには、食事のときに俺から話すよ」


「頼んだ」


一つのテーブルを囲い、皆で朝食を取る。

温かいスープは、冷えた体に染み渡った。

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