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偽りだらけの冒険記  作者: Ka
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思い出すのは、赤色の景色。


我が家は焼き払われ、街の至る所から悲鳴と怒声が響く。

何者かに追いかけられる恐怖を味わいながら、必死で足を動かした。


黒く上がる煙と、燃え盛る街、街中に飛び散る赤黒い液。


脳裏にこびりつく赤は、年月がどれだけ経っても薄れることはなかった。


・・・


パチパチと上がる火の粉を見つめる。

周囲に魔物の気配はなく、ただ仲間の呼吸音だけが聞こえた。

 

「ダルカン、見張り変わるよ」


華奢な男がひょこりと姿を表す。

シーフのヤイラだ。


隣にぽすりと座ると、まだ幼い両目が鎧越しにこちらを覗く。 


「交代の時間はまだだろう」


「もうすっかり目が覚めちゃって、眠れそうにないんだ」


彼が首を振るたびに、綺麗に整えられた黒髪がサラリと揺れた。


その顔には、少し疲労が浮かんでいる。


「そうか…。旅は、辛くないか」


「まあね。でも、俺は戦闘員ではないし。問題ないさ。君は?前線だと怪我も多いだろ」


「辛くはない。お前達の役に立てているのなら、それでいい」


「……君、見た目とのギャップが凄いよね。もっと傍若無人で恐ろしい男なのかと思ってた」


「そうか」


「とにかく。君はこのチームの要だろ?ゆっくり休んでもらわなきゃ。ほら、早く寝なよ」


「すまない。あとは頼んだ」


促されて身体を起こすと、ガチャリと鉄の塊が音を立てる。仲間を起こしてしまわないように、ゆっくりと移動した。


木の幹にもたれて目を閉じる。

火が弾ける音と共にダルカンは眠りについた。


・・・


2年前、あの男に誘われてから、ダルカンの生活は一変した。


仲間と共に国を巡り、ときおりダンジョンを潜る。

お宝を山分けしては、酒場で皆と語り合った。


勿論、人が集まれば、仲違いなど煩わしいこともある。


しかし、背中を預けられる仲間がいることは、ダルカンにとってそれ以外に幸福なことだった。


・・・


賑やかな声に、思考が浮上する。

既に数名起床しているようだ。


ムクリと身体を起こし、川に向かう。

少し歩くと、水が流れる涼やかな音が聞こえてきた。


「おはよう、ダルカン!今日もいい身体してるな」


既に先客がいたようだ。


戦士、ナルクは人の良さそうな顔でニコリと笑う。


……凍った川に上裸で浸かりながら。


その端正な顔に似合わない筋骨隆々とした肉体は、鎧をつけたダルカンと比べても見劣りしない。

     

彼は日に焼けた腕を動かし、楽しそうに水浴びをしている。


外の気温は、マイナス10度を下回っていた。


「…寒くないのか」


「はははッ!筋肉が全て解決してくれるからな!お前もどうだ?」


「遠慮しておこう」


男を避け、川の上流を目指す。

少し離れた先に、まだ凍っていない綺麗な水を見つけた。


周囲に、人の気配はない。


兜を外すと、冷水で顔を洗う。

透明な水が肌を冷やし、一気に目が覚めた。  


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