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少年達も、我々が倒せるとは思えなかったのだろう。
諦めたように、一つため息を吐いた。
「仕方ないですね。アイツの動きは遅くしてあげますよ」
「それじゃあ、ちょっとねぇ。せめてでも、弱点くらいは教えてもらわないと」
彼は馬鹿にしたように、フスリと笑った。
「コイツ!調子に乗ってッ」
ぷるぷると震える拳は、今にもフェルジスに襲いかかりそうだ。これも彼の作戦の内なのだろうか?見ているこっちがヒヤヒヤしてしまう。
「落ち着いてください、ルートス」
「でもっ!」
「ペットサンゴウの相手をするのが面倒なんでしょう?貴方達に損はないと思うけど」
「お前の態度が気に食わないんだよ」
「そう?なら、ダルカン頼んだ」
突然水を向けられ、思わず固まってしまう。
どう考えても、ベリルの方が適任だろうに。
彼はグイグイと背中を押してくる。
「あ、ああ。その、どうか協力してはもらえないだろうか。貴方達が、遺物に相応しい人物が見極めているのは伝わった。だが、防衛兵器をそのままにしておくのは危険なのだろう?被害が出る前に、その芽は摘んでおきたい」
ジッと二つの双眼が向けられる。
それは、全てを見通すかのような視線だった。
「ふぅん。なるほどね」
「……特別ですよ。僕たちも、君とおんなじですから」
「奴は、目に嵌め込まれた魔法石で動いてるんだ」
「それを取り除けば、ただの青銅に戻ります。ただ、くれぐれも壊そうとは思わないでください」
「魔法石にはアイオーン様の魔法がかかってる。人間が壊せる代物じゃないよ」
「動きは遅くしてあげますから、あとは頑張ってくださいね」
彼らはそういうと、塞いでいた扉の前から退いた。
「ここまでの大物と戦うのは久しぶりだな。気を引き締めていこう」
「女の子がいたら、もっと頑張れるのにな〜。まぁ、お前に恩を売るのもたまには悪くはないね」
「ああ。頼んだぞ、フェルジス」
外に出た二人の背中を追う。
部屋を出る前に、少年達を振り返った。
「協力感謝する。全力を懸けて戦うと誓おう」
「仲間のためだからって変な子だね。……君、魔人でしょ?」
少年が周囲に聞こえないくらい小さな声で囁いた。
思わずビクリと身体が固まる。
「心配しなくても、攻撃したりしませんよ。言ったでしょうおんなじだって。かつては魔女も魔人の一つです」
「こんな物までつけて…。可哀想に」
少年が一つ指を振ると、一気に身体が軽くなった。
まるで鎧を纏っていないかのようだ。
「何故」
「重りをつけたまま戦わせるのは、フェアじゃないからね」
「アイオーン様の遺物には、気をつけてください。あれは、種族を超えて討つ強い力があります」
「君が人間じゃなくても、あの刃は十分届くよ。くれぐれもバレないようにね」
「ありがとう。その、正体を知った上で優しくされたのは初めてだ。心遣いに感謝する」
深く頭を下げると、軽い身体で部屋を出た。
少し離れたところに、ベリル達が立っている。
どうやら、作戦を立てているようだ。
「すまない。遅くなった」
「いや、気にするな。お前のおかげで弱点を知ることができたよ。ありがとう」
「俺ではなく、フェルジスのおかげだ」
「ああいうおじさんは、ピュアな若い子が好きだと思ったんだよね〜。やっぱりドンピシャだった」
ふんふんと鼻歌を歌う彼は、随分機嫌が良さそうだった。一矢報いることができて、嬉しいのかもしれない。
「改めて、作戦を立てよう。あの巨体から察するに、恐らく空中戦となるだろう。魔法使いであるお前が作戦の要だ。俺とダルカンはその補助。フェルジスに攻撃が向けられないよう囮になろう」
「ちょっと待って!?それ、俺が魔法石を取り除くってこと?」
「ああ、そうだ。俺たちは浮きたくても、宙に浮けないからな」
「うぅん、そうだけど…」
「活躍したらヒマリも喜ぶだろう」
「俺は釣られないからね、そういうのに。というか、俺が魔法で浮かせばいいんじゃない?ベリルが活躍しないと、試練の意味がないでしょ」
「む…。それはそうだな」
「二人同時に浮かせるのは負担だろう。俺は地上から援護する。ベリルだけ浮かせてくれ」
「分かったよ。踏み潰されないよう気をつけてね」
「どう?作戦は決まった?」
背後から声がする。
振り向くと、少年たちがぷかぷかと浮き、こちらを見下ろしていた。




