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目の前に立つ二人は、まだお酒も飲めないような少年の姿をしていた。
「バレちゃった。ざんね〜ん」
「おにーさん達、なにものですか?」
二人の少年は、武器を構えてこちらを見つめる。
その小さな手には剣と槍が握られていた。
「お前達こそ何者だ。何故俺たちを攻撃する」
「知らないひとが家に入ってきたんだもん。ふつう戦うでしょ?」
「ここはぼくたちのアジトです。引いてください」
「こんなところに子供が二人で…?」
「いや、コイツらは子供じゃないよ。若作りしたおっさんだ」
ピシリと空気が固まる。
幼なげな瞳が、一気に冷えた。
「失礼な…。こんな愛らしフェイスに暴言を吐くなんて信じらんない」
「これだから最近の魔法使いは嫌いなんですよ」
「いい歳してそんな格好するおじさん達に言われたくないな」
「おじさんおじさんって、僕たちはまだ298歳だよ!」
「おじさんじゃん」
「そこの君は僕たちのこと、どう思いますか?」
三つの視線が一斉に向けられる。
返答を間違えれば、タダでは済まなさそうだ。
「そう、だな。いつまでも若々しくいられるのは魔法使いの特権だと思う」
「でしょでしょ!それに僕たちはそこにいる"なんちゃって魔法使い"とは違うんだよ。まだ魔女がいた時代に産まれた本物の魔法使いだ」
「力だって寿命だって人間とは違う。この都市が人で賑わっていたときから、ずっと守っているんですよ」
「一体何を?」
「「わる〜い人間から、アイオーン様の遺物を!」」
「アイオーンの遺物がどこにあるか知っているのか!」
ベリルは驚いたように魔法使いに近づく。
彼等はその手を避けると、背後にスクリと立った。
「そりゃ場所が分からなきゃ、守りようがないでしょ?」
「人間如きがあのお方を呼び捨てにしないでください」
「すまない。……その、俺はとある魔人を倒すために旅をしているんだ。そのために、魔人殺しと呼ばれるアイオーンの様の遺物を手に入れたい。どうか、協力してはもらえないだろうか」
「ふぅん。どうする?邪気はなさそうけど」
「正しく力が使えるかと正義感は別物ですからね。どうしましょうか」
二つの双眼が、ベリルを値踏みするように見つめる。
「決して使い方は間違えないと誓おう。俺にはどうしてもその力が必要なんだ」
「「それじゃあ、僕たちのお願いを聞いてくれたら、教えてあげる」」
彼らはにこりと笑うと、空に絵を描き始めた。
建物が立ち並ぶ地の底、大きな怪物が寝そべっている。青銅の巨体に、赤い瞳…。
その姿は、まるでお伽話に出てくるガーディアンのようだ。
「コイツは、アイオーン様の作った防衛兵器『ペットサンゴウ』だよ」
「アイオーン様の没後、完全に壊れてしまいまして…。目覚めると無差別に攻撃してくるのです」
「今は僕たちが抑えているけど、毎回相手するのも疲れるんだ」
「貴方達には、これを壊して欲しいのです。置いておいても害にしかなりませんから」
「これはこれは…。お兄さん達が壊したらいいんじゃない?どう見ても人間の手には余るものでしょう」
「何だよ、急に擦り寄ってきて。お前の話は聞かないもん」
「僕たちでは壊せないんですよ。そういう契約を彼女と結んでいるんです」
「アイオーン様の作った兵器でしょ?どう考えても生身の人間には壊せないよ。ベリル、帰ろう。他の遺物を探せばいい」
「次、いつ手掛かりが見つかるかなんて分からない。俺は挑戦したいと思っている」
「馬鹿なの…?命あってこそだろ。ダルカンも何か言ってよ」
「たった四人でこれを壊せるとは思えない。戦うにしても、一度ギルドに戻って協力を得るべきだ」
「えぇ〜、帰っちゃうの?」
「あまり人を連れて来られても困るんですよね」
彼らは立ち塞がるように壊れたドアを塞いだ。
ムスリとむくれた顔と冷静な無表情がこちらを向く。
「なら、援護してよ。お兄さん達なら、眠らすことはできるんでしょ?」
「それじゃあ試練の意味なくない?」
「貴方達が言ったように、こちらは人間と"なんちゃって魔法使い"なんでね。ちょっとはハンデくれてもいいんじゃないですか?」
フェルジスは、一歩二歩と言葉を連ねて少年に近づいていく。
どうやら、ベリルを止めたのは作戦だったらしい。
口八丁で彼に勝るものはいない。あとは任せた方が良さそうだ。




