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鎧について、いつか触れられるとは思っていた。
常時姿を隠している人間なんて、みるからに怪しいだろう。
だからこそ、こんな平和に解決するとは思っていなかった。
……良い仲間に巡り会えたようだ。
思わず噛み締めていると、クイッと鎧についた布を引かれる。
横を見るとヤイラがこちらを見つめていた。
「ダルカン、グラス空いてるけど何か飲む?」
「ああ。なら、エールを」
「それさっきも頼んでたよね。美味しいの?」
「苦い、かもしれない。一口飲んでみるか」
「いいの?じゃあ一口だけ」
彼は手を挙げると、代わりに注文してくれた。
店員が鎧に怖がっていたのを見て、気を利かせてくれたのだろう。
「すまない、ヤイラ」
「気にしないで」
彼は、目の前に置かれたレモンサワーをくぴりと飲み干した。
「まるで父親と息子のようだな」
ベリルが微笑ましそうにこちらを見ている。
「分かります!仲の良い親子みたいで、ほっこりしますよね」
その言葉に、彼女まで深く頷いた。
よそから見ると、親子のように見えるのだろうか?
つい先日まで知らなかったとはいえ、同年齢だと思うと少し複雑な気持ちだった。
「親子、か。こんなに良い子供ができたら幸福だろうな」
「ちょっと。受け入れないでよ、ダルカン。絶対親子には見えないから。どこからどうみても友達、とかでしょ」
彼は抗議の声を上げると、拗ねたようにそっぽを向いてしまった。
『友達』
鎧を着たあの日から、私には縁のないものだった。
思わず、ジンと胸が痺れる。
「ヤイラ。俺もお前を友のように感じている。そう見えると言ってくれて嬉しいよ」
「そ」
彼の顔は、更に遠くを向いてしまう。
少し調子に乗ってしまったかもしれない。
そんな空気を諸共せず、ナルクは豪快に笑った。
「仲良しはいいことだ!……ん?どうしたヤイラ、顔が赤いぞ」
「うるさい、バカ」
ギロリとナルクを睨みつけるその顔は、ピンク色に染まっている。どうやら、気分を害したわけではないようだ。
「酒が来たぞ。一度落ち着け」
並々に注がれたエールとリンゴサワーが運ばれてくる。ベリルからジョッキを受け取ると、そのまま口を尖らす彼に手渡した。
「先に一口飲むといい」
男性にしては少し小さな手が、それをおずおずと受け取る。
「君が言うなら」
そっと一口飲むと、彼は一気に眉を顰めた。
「口に合わないか?」
「………苦い」
鎧を微かに開き、口をつける。
変わらないエールの味だ。
「ヤイラにはまだ早かったみたいだな。こっちを飲むといい」
ベリルは、クスリと笑うとリンゴサワーを彼に渡した。
「子供扱いしないでよ」
ジトリと睨む拗ねた顔は、サワーを飲むと途端に晴れていった。
どうやら口に合ったようだ。
「全部飲んでいい」
「……アリガト」
私達が親子のように見えるのなら、二人は仲の良い兄弟のように見えた。
微笑ましい光景に、思わず頬が緩む。
飲み会は深夜まで続いた。
酔いが回る頃には、酒場の床に仲間が落ちている。
唯一生き残ったヤイラと共に、彼等を抱えて宿まで戻った。




