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偽りだらけの冒険記  作者: Ka
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ギルドでの換金も無事終わったらしい。

彼等はぎっしりと詰まった金袋を持っていた。

これだけあれば、当面は苦労せずに過ごせそうだ。


「待たせたな」


「いや、俺達も今来たところだよ」


「ホテル予約できました!なんと湯船付きなんですよ」


ヒマリはベリルに駆け寄ると、嬉しそうに報告する。


「そうか。それは楽しみだ」


彼は一際柔らかな表情を少女に向け、その丸い頭を撫でた。彼女はニコニコとその手に擦りつく。

初めて会ったときから、二人はどこか特別な絆で結ばれているように見えた。


「ホテルも取れたことだし食事に行こう。俺は酒場に行くが、皆はどうする?」


「いいですね!私も行きます」


「賛成だ!久しぶりに呑み明かそうじゃないか」


ナルクとヒマリは嬉しそうに何を飲むか話している。

その姿を少し複雑そうにベリルが見ていた。


「俺はパス。少し街を見てくるよ」  

 

彼の視線の先には、美しい女性が立っている。

どうやら、行く道で引っ掛けてきたらしい。


「フェイジス、あまり羽目を外しすぎるなよ」


「はいは〜い」


ひらひらと手を振ると、一直線に彼女の元へ歩いていった。


「お前達はどうする」


ベリルの視線が問いかけるようにこちらに向く。

特に仲間と離れる理由もなかった。


「俺も参加しよう」


「なら、僕も」


「決まりだな。ギルドマスターによると、南側に美味い酒場があるらしい」


彼の案内に従って、少し離れた酒場まで歩いていった。


・・・


空腹を満たし、お酒もまわってきた頃合い。


時計の針は左上を指していた。

あれから、4時間ほど経っている。


「ダルカンッ!いい加減その鎧外したらどうだぁ」


ナルクは完全に酔い潰れている。

酒瓶を片手に突然オロオロと泣き始めた。


「呑みすぎだナルク。水を飲め」


コツンと目の前にコップを置く。

彼はそれを一気に飲み干すと、同量のエールを煽った。


……水を挟んだ意味がない。


「私も気になってたんです!初めてお会いしたときから、お顔を見たことがないから…」


ちろりとヒマリに見つめられる。


彼女は、私に対して少し遠慮がちだった。

元の世界では、鎧を着る人間は身近にはいなかったらしい。鉄鎧が常に側にいるのは彼女にとって圧があるのかもしれない。


二人同時に向けられた視線に思わずたじろいだ。


どれだけ希望を叶えたくても、明日の命のことを考えると脱ぐわけにはいかない。

 

「別にいいんじゃない。鎧があろうとなかろうとダルカンはダルカンでしょ」


ヤイラはムスリとした表情でそう言った。

思わぬ助け舟に目を瞬かせる。


「その通りだ。お前が見せたくないのなら、見せなくていい。"俺達が仲間であることに変わりはない"だろ?」


横から更なる援護が入る。ベリルは昨日伝えた言葉を、そのまま返してくれたようだ。


……二人には後で何かお礼をしよう。


おかげで、断りやすい流れになった。


「ああ。お前達が嫌いだから脱がないわけじゃない。脱げない理由が別にあるんだ。期待に添えずすまない」


「そうか…。なら仕方ないな」

「残念です…。強要してしまってごめんなさい」


彼等は揃ってショボンと肩を落とす。

他者に興味を持ち踏み込むが、断れば引いてくれる。

二人とも、大人で優しい人間だった。


「いや、興味を持ってくれたようで嬉しいよ。ありがとう」


先程と同じ穏やかな空気が流れる。

何とか場は丸く収まったようだ。

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