↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
222/225

第27話 鳩


「くそっ、無事か!」


 騎士クリフは、野盗どもから開放された侍女ベラの傷を確認すると、素早く小隊に指示を飛ばした。


「近衛隊! 外にいる奴は馬車を追え! 屋内に入った奴は、そこの倒れてる奴らを縛っとけ!! そいつらは――死にそうでも絶対に殺すなよ」


 貴族邸、それも皇女隣席の現場を襲撃した犯人だ。

 死なない程度に傷は抑えたが、なんしても生かして、この先厳しい尋問をする必要がある。

 クリフがベラの軽傷を確認し立ち上がると、部下の一人から声が上がった。



「馬が……軍馬たちが厩舎から放たれています!」

「なっ!?」


 自分たち騎士がこの場にいることも、追っ手がすぐにかかるだろうことも見越していたというのか。


(そもそもあいつら、一体どこから屋敷内に侵入して――)


 クリフは思考しながら、愛馬を呼ぶため指笛を吹く。

 それは屋敷の周辺で次々に上がり、騎士たちのうち一人の馬が戻って来た。



「皇女殿下を頼む!」

「はっ」


 部下の一人が暗闇の中、馬を駆り疾走する。

 今からなら、運が良ければ皇女を連れ去った馬車に追いつけるだろう。



「………………」


 クリフは屋敷の周囲に散って警戒していた部下が集うのを待って、現状を冷静に確認する。


(屋外から警備網を突破した事実はない。内部の間者に裏口から招き入れられたか……?)


 しかしそれも、今夜は警戒に当たっていたはずだ。



 そうこうしているうちに、馬が戻り始める。


「鳩(・)を持ってこい」


 クリフの指示を予め予想していたように、部下の一人が一対の鳥籠を出す。

 その内側に収められた二羽の鳩の足輪に、その場で走り書きした紙片を詰め込んで、クリフは空に放った。


 月光の明かりだけで夜間も空を滑るように飛ぶ鳩は、それぞれ同じ方向を目指して、互いに競うように王都へと向かって行く。



「王都へ救援を頼んだ。一人はここに残り状況を説明しろ。あとの残りは――――俺に続け」



 そうしてようやく戻って来た愛馬の手綱を取ると、騎士クリフは自身の主を救出すべく馬を駆った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。