第57話 冒険出発の朝
俺達は今、冒険者ギルドの前にいる。一緒に冒険に行く予定になっているエミリーとランディウスさんを待っている所なのだが。
そこへ一台の馬車がギルドに横着けしてきた、結構立派な馬車だ。誰の馬車だろうか。
「皆様、おはようございます、本日は良い冒険日和ですな」
「え? ギャリソンさん」
馬車の手綱を握っていたのはギャリソンさんだった。・・・と、言う事は。
「待たせたわね、さあ、乗って頂戴」
「エミリーさん、これは一体」
「まさか、この私に歩いてザンジバル王国まで行けなんて言わないわよね」
「そ、そのつもりでした」
「いやよ、馬車で行くのよ、いいわね」
「わかりました、お言葉に甘えさせていただきます」
「あとはランディウスが来れば出発みたいね」
ランディウスさんが来るまでしばし待つ。それにしてもまさか二頭立ての屋根付き馬車とは。
「エミリーさん、この馬車はどうされたのですか」
「お母様に言って出して貰ったのよ」
え? ミレーヌ伯爵もこの事を知っているのか。ますますエミリーお嬢様を危ない目に合わせられない。
そこへ、ランディウスさんがやって来た。
「みなさま、お待たせしました」
「おはようございます、ランディウスさん、この馬車に乗るそうです」
「馬車の旅ですか、いいですね」
ランディウスの格好は皮の胸当てに鉄の剣のロングソードを帯剣している。
「さあ、みんな乗って、早速出発よ」
俺達は馬車に乗り込む、結構広い、6人は余裕で座れる。それぞれ椅子に座る。
「皆様、よろしいですか、では、出発いたします」
ギャリソンさんの掛け声で、馬車は出発した。
俺達を乗せた馬車はゆっくりと進みだしマゼランの都の門を検問無しで素通りした。さすが貴族用の馬車だ、スムーズにマゼランの都を後にした。このまま南へ向けて進む、自分で歩かなくていいから楽だ。
「それにしても、よくミレーヌ伯爵が許可を出しましたね」
「あら、言ってないわよ、お母様には」
「え?」
「言える訳ないじゃない、国外に行くなんて」
「そ、そうなんですか、それじゃあライン大橋を渡る通行証は持ってないって事ですか」
「持ってる訳ないでしょ、私はただの盗賊よ」
この事実に、ファンナやルビーさん、サーシャが口を揃えて聞いて来た。
「ど、どうしましょうジローさん」
「通行証が無いんじゃライン大橋を渡るのは厳しいねえ」
「私、ジム山ルートはいやよ」
「僕は顔を隠している様に見えますから、検問に引っかかります」
う~む、どうしたもんか。
「参ったねえ、もうつまづいちまったよ、どうするジローさん」
「そうですねえ」
そこへギャリソンさんから声が聞こえた。
「皆様、ライン大橋が見えてきましたよ」
まずいな、このままじゃ検問を突破出来ないぞ。どうしたものか。
・・・しょうがない、あの手で行くか。
「みなさんは馬車から出ないで下さい、俺に考えがあります」
「大丈夫かい、ジローさん」
「ええ、何とかやってみます」
さあ、ここからちょっと気合を入れて行こう。
おじさん、どうやら出番の様だよ




