第32話 クラスアップ
俺の体が光輝いていてちょっと眩しい、一体何がどうなっているんだ。女神像に祈っただけなのに、・・・それに、さっき声が聞こえた様な。
「シ、シスターマチルダ、これは一体何事ですか!」
「まあまあ、たいへ~ん、これはクラスアップの輝きだわ」
「クラスアップ?」
そうか、女神教会でクラスアップ出来るのか、よし、それなら。
「シスターマチルダ、クラスアップの儀をしたいのですが」
「ええ? この教会で転職の儀をやるのですか」
「はい、お願いできますか」
「え~と、お名前を伺っても」
「ジローと言います」
「ジローさん、普通はですね、もっと大きな女神神殿か女神教会に行って転職の儀をするのですよ」
ファンナも興奮しているみたいだ。
「そうですよジローさん、クラスアップなんて一生に一度あるか無いかなんですよ」
「そうなのですか、すみません手早く済ませたいので、この教会で転職の儀をやって頂けますか」
「そ、それはもう! やってほしいと言うのであればやりますとも!」
シスターマチルダはどこか興奮している様子だった。
「それでは、よろしくお願いします」
「まあまあ、大変、どうしましょう、ちょっと、司祭様、シスターマリー!」
シスターマチルダは二人を呼びに行ってしまった。
「ジローさん、本気ですか、もっと大きな所でやってもらった方が・・・」
「目立ちたくないし手早く済ませたいので、ダメでしょうか」
「いえ、そんなことは、だけどクラスアップって事は女神様にその努力が認められたと言う事ですよ」
そうなのか、知らなかった、メニューコマンドでやってしまうからなぁ、イマイチ分からん。
そこへ、司祭様とシスターマリーもやって来た。
「クラスアップの輝きだって? おお、本当だ!、正しくクラスアップの光だ!」
「私、初めて見ました、綺麗ですねぇ」
「こうしちゃいられん、すぐに準備しますよ、シスターマチルダ、祭壇の準備を」
「はい、直ちに」
「シスターマリーは街の人達にクラスアップの転職の儀をしますと伝えて来て下さい」
「解りました司祭様」
なにやら慌しくなってきた。
「ちょ、ちょっと待って下さい、あまり目立ちたくないのですが」
「何を言われますか、クラスアップですぞ! 盛大にやらなくてどうします」
「いや、しかし・・・」
「あ~忙しい、祭壇の準備に聖水、銀の燭台、あ、飾り付けはどうしましょう」
なんだか大事になってきた、大丈夫かな、メニューコマンドでちょちょいとやれるんだが。いつの間にか俺の体から光が消えていた、よかった。このままだったらどうしようかと思った。
夕方ごろ、小さな女神教会には人がいっぱい来ていた。
大事になってしまった、どうしよう。
騎士グレンやサリー王女までいる、暇なのかな。
「ジロー殿、クラスアップおめでとう」
「おめでとうございます、ジローさん」
「サリー様、騎士グレンさん、わざわざ来て下さりありがとうございます」
「な~に、暇じゃったからな、ほっほっほ」
「わたくしはまだ静養中と言う事になっていますが、伺わせていただきました」
「え、大丈夫なのですか」
「はい、もうすっかり良くなりました、騎士グレンがまだ休むべきと言うものですから」
「サリー王女様に万が一があってはいけませんからな」
何故かファンナは女神教会の入り口で、やって来た人達にシスターマリーと一緒になってお礼を言っている。
「さて、そろそろ始めてもよろしいかな」
「これは司祭様、はい、もう心の準備は大丈夫です」
司祭様は転職の儀用の礼服に着替えていた。
シスターマチルダはにこにこしている。
あ~、何だか緊張してきた、大丈夫かなぁこんな大事になって。
「ではこれより、転職の儀を行う、転職をするものは祭壇の前へ」
「はい」
俺は祭壇の前に行き、気を付けの姿勢で立つ。
「見届け人はどなたが」
「わたくしが」
え、サリー王女様が見届け人をやってくれるのか。
「こうした事は初めてではないのですよ、これも王族の務めですから」
「そうなのですか、ありがとうございます」
サリー王女様が俺の斜め後ろに立った。
「それではジロー殿、今のクラスは何かな」
「はい、戦士です」
「クラスアップで何を望む」
「ウォーリアにクラスアップを望みます」
「では戦士ジローよ、女神様のお膝元でウォーリアを名乗るがよい」
よし、このタイミングだ。
俺はメニューコマンドを操作してクラスアップの項目を選択する。すると、俺の体が眩い光に包まれてめちゃくちゃ輝いた。
「「「 おお~~?! 」」」
教会の中にいる人達がざわついた。
しまった、やりすぎたか。
{ウォーリアにクラスアップしました}
{クラスアップボーナス 5BP獲得}
お、クラスアップボーナスなんて貰えるのか、やった。などと喜んでいる場合じゃない、俺の体が輝いているままだ。ウォーリアにクラスアップしたのはいいけどこのままなのか。
司祭様は感極まって涙を流している。
シスターマチルダは卒倒してしまった。申し訳ない。
シスターマリーとファンナは口をあんぐりと開いたままだ。
サリー王女様と騎士グレンは目を丸くしている。
集まった人達はどよめいている。
完全にやりすぎた、しまったな。自重しよう。
お布施にお皿洗いの依頼で稼いだお金を寄付し、そそくさと女神教会を後にした。
教会の外に出ても人々から拍手やお祝いの言葉を言われていた。
「クラスアップおめでとう」
「おめでとうございます」
「やるなぁ、おっさん」
どうしよう、あまり慣れていないんだよな、こういうの。
「ど、どうも・・・」
緊張のあまり声が出ない、こういうのホント慣れてないから。
おじさん、そそくさと退散するよ




