第29話 魔法少女マジカルファンナ
俺達は森の奥に入って目的である毒消し草を見つけた。
しかし、その手前にキノコ型モンスターのマタンゴが1匹いた。体長130センチほどのデカいおばけきのこだ、こいつは体当たりぐらいしかしてこなかった筈だが。・・・何か忘れているような、何だったか。
「ジローさん、どうしますか」
「・・・そうですねえ、俺が前衛、ファンナは後ろから回り込んで挟み撃ち、ってのはどう」
「いいですよ、やりましょう」
「くれぐれも慎重にね」
「はい」
作戦は決まった、後はやるだけなんだが。
俺はマタンゴの前に出て鉄の盾を構えた。
マタンゴが動き出した。
「よし、こい」
マタンゴの体当たりを盾で防ぐ。
「ぐっ」
意外と衝撃がある、ダメージいくつだ。
ダメージ3!? 意外とやる。残りHP27。
「ファンナ、回り込んで」
「はい」
その隙にファンナがマタンゴの後ろの方へ回り込む。
よし、いい位置だ、マタンゴに向けショートアックスを振り下ろす。
命中した、というか真っ二つだ、こんなんで終わりか?
と思ったらやはり変化があった。
なんと2匹に増えた、分裂した。
「ファンナ、1匹を頼む」
「はい」
ファンナがマタンゴの体当たりを華麗に避ける。
「いくわよ!」
ファンナはマタンゴの攻撃を避けてから、直ぐに返す刀でショートソードを縦に振り下ろす。
「やったわ。当たった」
ファンナが切ったマタンゴは真っ二つだ。
ところが。
「なにこれ!?」
真っ二つにしたマタンゴがまた2匹増えた。
「あ! 思い出した!」
「どうしたんですか!」
「マタンゴは剣とかの武器攻撃をすると分裂して増えるんだった!」
「ええ! ど、どうしましょうジローさん」
「とにかく攻撃して、分裂しなくなるまで切るしかないよ」
「わ、分かりました、なんとかやってみます」
その後、とにかく攻撃しまくった俺達は、気が付くと周り中マタンゴだらけになって囲まれていた。
「ジローさんどうしよう! 増える一方だよ!」
「落ち着いて、動きの先を読んで避けるんだ」
「こんなに数が多いと難しいよ!」
「そろそろ分裂しなくなるはずだ、それから一匹づつ倒せばいい」
まずいな、こっちは二人しかいないのにマタンゴは既に10匹近くまで増えてる。いよいよとなれば逃げるのも手だが、どうする。
ショートアックスを振り下ろしてマタンゴを切る。
と、ここでマタンゴが増えなくなった、よし、ようやくか。
「ファンナ! マタンゴが増えなくなってきた、どんどん攻撃していけ!」
「あーもう! キリが無い、・・・こうなったら・・・」
「ファンナ、聞こえてる」
なんだ、ファンナは何をするつもりだ。
ファンナは剣を上に掲げている、どうするんだ?
「マジカルアァーープ!!」
突然ファンナが何か叫び出すと、ファンナの体は眩い光に包まれてしまった。ファンナの服が消えてあられもない姿になったかと思ったら何処からともなくリボンが出てきた。そのリボンがファンナの体に巻き付くとファンシーな感じのスカートの短い魔法少女バリのコスチュームへと姿が変わった。
掲げた剣が魔法のステッキみたいに変わっている。
眩しい光がようやく収まると、そこには・・・
「魔法少女マジカルファンナ!! 愛と共にここに見参!!」
「・・・え、ファンナ?」
「さあ、いくわよ! おばけきのこ達! スパークウィップ!!」
杖の先から稲妻が放たれ、まるで鞭の様になってマタンゴ共を倒していく。凄い、一撃でマタンゴを倒している、マタンゴはピクリとも動かない。
「これでとどめよ! サンダーレイン!!」
何!? サンダーレインだと、上級攻撃魔法じゃないか。
上空から稲妻が幾本も落ちてきてマタンゴ達を巻き込む。
「うわ、眩しい」
眩い稲光で辺り一面稲妻の光で眩しくなり、目を開けていられない。物凄い轟音が響き渡り、マタンゴ達を一瞬で焼いている。
少しして辺りは静かになった。ゆっくりと目を開けるとマタンゴは全滅していた。
「成敗! 完了!」
「ファ、ファンナさん」
「・・・は、私ったら・・・はしたない・・・」
どうやら元の姿に戻っているみたいだ。
しかし、これはいったい。
「あの、ファンナさん、これは一体」
「ごめんなさい、私、いつもこうなんです」
「え?」
「自分がピンチとかになると魔法使いになるんです・・・おかしいですよね」
「い、いえ、そんな事はないですよ。実際に助かりました、ありがとうございます」
「そ、そう言って頂けると、こっちとしても助かります」
どうやらファンナさんはファンナさんで色々大変な様だ、あまり突っ込まない様にしよう。
{経験点30点獲得しました}
どうやら経験点が入ったようだ、いつもの女性の声が頭の中で聞こえた。
「さ、さあ、毒消し草を採取しましょう、いいですねファンナさん」
「え、ええ、はい」
その後、毒消し草を採取して森を出た。
モンスターには不思議と遭遇しなかった。
草原を抜けてサラミスの街へと帰還した。
おじさん若いモンについていけないよ




