第28話 毒消し草採取
翌日の朝、冒険者ギルドの酒場のテーブルの席に着いてミルクを一杯頼んでいる。ファンナさんは既にギルドに来ていた、今は朝食を食べている。
「ジローさん、今日もよろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いしますファンナさん」
ウエイトレスさんがやって来た。
「ミルクお待ち」
「どうも」
朝のまったりした時間を楽しむ、ミルクをゆっくりと飲む。
「ファンナさん、今日はどうしましょうか」
「ジローさんさえ良ければ昨日と同じお皿洗いの依頼を受けたいのですが」
「分かりました、じゃあ今日もお皿洗いをしましょうか」
こうして次の日も、また次の日も皿洗いの依頼をこなすのであった。
そんなある時、
「ジローさん、私そろそろ別の依頼を受けたいのですが」
「え、お皿洗いの仕事の方が安全でいいと思うのですが」
「お皿洗いの依頼もいいのですが」
ファンナさんは所在無げに指をモジモジしながら俯いている。
「じゃあどうして?」
「せっかく冒険者になったんですから、もっとこう、いろいろやりたくて」
なるほど、そういう事か。
「若いですねファンナさん、いいですよ、どんな依頼にしましょうか」
「あ、じゃあ私選んできます、待ってて下さい」
ファンナさんは依頼が張り出されているクエストボードに行った。思えばファンナさんとはお皿洗いの依頼しかやっていない気がする。そりゃあ若いファンナさんにとっては退屈だったろうな。
その時ファンナさんが依頼表を持って来た。
「ジローさん、これ、これなんてどうでしょうか」
「どれどれ、ああ、毒消し草の採取ですね、確かここから1時間ぐらい行った所にある北東の森にあるやつですね」
「そうなんですか、この依頼でいいですか」
「構いませんよ、あそこの森は大したモンスターも出ませんからね」
「じゃあ早速受付カウンターに行ってきますね」
「一人で受付を済ませて下さい、これも新人の為ですから」
「はい、」
ファンナさんは元気良く受付カウンターに行った。
冒険出来る事が楽しみなんだろうな。若者はいいなぁ。しばらくするとファンナさんが戻って来た。
「依頼を受けましたよジローさん」
「そうですか、準備が良ければ早速行きますか」
「はい、準備は万端です」
俺達は冒険者ギルドを出て広場の道を門の方へと歩き出した。
「ファンナさん」
「なんですか、ジローさん」
「戦闘の時はさん付けは無しにしましょう、俺のことはジローで」
「解りました、あ、じゃあ私の事はいつでもファンナでいいですよ」
「解りました、ファンナ」
このまま歩いてサラミスの街を出て北東の森へと行く。
草原を歩いていてもモンスターと遭遇することは無かった。順調に目的地に到着した、あとは森の中に入って毒消し草を探すだけだ。
「ファンナ、ここからはモンスターが出ると思う、油断しないように慎重にね」
「は、はい」
さて、まずは薬草の群生している所に行くか。
そのまま歩いて森の中を進んで行く。・・・あった、薬草だ。
「ファンナ、このあたりに薬草が群生しているんだよ、覚えておくといいよ」
「わぁ、これが薬草なんですね、回復薬の材料になる」
ファンナは薬草を一つ摘み取り、まじまじと見つめている。初めて見るのかな?
「そうなんだ、俺もベテラン冒険者に教えてもらったからね」
サーシャには感謝だな、しかし、あまり先輩風を吹かせないようにしなくては。俺だって冒険者としてはファンナとそう変わらない経験しかないからな。
「薬草採取の依頼ってありましたっけ」
「常にあった筈だよ、5束ほど採取していこう」
「解りました」
薬草を採取している最中も警戒は怠らない。
「ジローさん、薬草を5束採取しましたよ」
「よし、これで納品すれば100Gにはなる筈だ」
「え、これだけで100Gですか」
「その分、モンスターが出る可能性があるからね、危険な仕事だよ」
「そうですね、浮かれている場合じゃないですよね」
「それに、俺達の目的は毒消し草ですよね、ここからですよ」
「はい、気を引き締めます」
薬草を採取し終えた俺達は、薬草を俺のバックパックに入れてそのまま森の中を歩く。
「毒消し草は森の奥に生えてるそうです、受付のお姉さんに聞きました」
「さすが、ちゃんと情報を聞いてきたんですね」
「えへへ」
このまま歩いて森の奥へと進んで行く。モンスターが出る気配は無い、順調だ。
森の結構奥の方へとやって来たんだけど・・・あれかな? 毒消し草ってのは。
しかし・・・
「モンスターがいますね、ジローさん、どうします」
あれは確か、きのこ型モンスターのマタンゴだ、ゲーム、「ラングサーガ」とまったく同じ形だ。マタンゴは1匹だけか、だけどこいつ、確か厄介な特技があったような。毒の胞子を飛ばすんじゃなくて、なんだっけ。もう忘れた、昔やったゲームだからな。
さて、どうしたものか。
おじさん、慎重に行動しないと




