第27話 お皿洗い
目的の飲食店に到着した俺達はそのまま店に入る。
店のオーナーらしき人物に声を掛けられた。
「いらっしゃい、何にしますか」
「すみません、冒険者ギルドの依頼で来ました」
「おお、来てくれたか、今は割と暇なんだが昼時になると忙しくなってな」
「二人で来ましたけど良かったですか」
「もちろんだ、よく来てくれたよ、早速で悪いが店の掃除を頼めんか」
「わかりました、ファンナさんやりましょうか」
「ええ、頑張りましょう」
まずは店の掃除だ、ファンナさんが店の玄関を掃除して、俺は店内のテーブルを拭いて床をモップで掃除する。店のマスターは料理の仕込みをしている。昼飯にはまだ早いが既にお客さんが来ていた。
「掃除終わりました」
「さすがに二人だと早いな、え~と、お嬢ちゃん、こっち来て野菜を切ってくれないか」
「わかりました」
「ダンナは水汲みを頼む」
「はい」
「すいませ~ん、マスター注文いいかい」
「はい、ただいま」
既に開店していたか、客が続々と入り始めた、人気の店なのかな。
別口で雇っているであろうウエイトレスさんが何人か、いつの間にか来ていた。店の中は既にお客さんでいっぱいだ、俺も皿洗いを始めた。ファンナさんは野菜と格闘中だ、意外と不器用なのかな。俺はただ、ひたすらにお皿を洗い続けた。料理は出来ない。
その後は昼時はマスターの言う通り忙しかった。
ただ皿洗いをしていただけだが、お皿を洗うと心まで洗われる様な気がするのは気のせいかな。
昼時が過ぎてしばらく経った時、店のマスターから賄いをご馳走してもらった。昼飯代が浮いたな、有り難い。
「美味しいですね、ジローさん」
「そうですね、野菜炒めがいい感じですよ」
「もう、ジローさん、私頑張ったんですよ」
「ははは、ごめんごめん、そんなつもりではないのですが、褒めたのですよ」
「そうなんですか、私不器用で、野菜を切るのも難しいんですね」
「ファンナさんが剣士だから、てっきり野菜を切るのも得意だと思っていました」
「私が剣士になったのはついこの前ですよ、まだ駆け出しなんです、あてにしないで下さい」
こうして遅めの昼飯を食べていると、疲れがほぐれてくる。
その時、店のマスターがやって来た。
「二人とも、夜の方は皿洗いだけでいいからな」
「わかりました」
「私もお皿洗いですね、ああよかった」
マスターは気さくに笑い、ファンナに言った。
「ははは、皿洗いも結構大変なんだぞ」
「そうですね、意外と疲れるものですもんね」
「だから依頼を出したんだろ、夜からも頼むよ」
「「 はい 」」
こうして夕食時も二人でお皿をひたすら洗い続けた。閉店時にはもうクタクタだ、だけど賄いはうまかった。夕飯代が浮いたのは有り難い。
「二人とも今日は助かったよ、ありがとうよ、ご苦労さん」
「お疲れ様でした、マスター」
「ふう~、疲れましたね、ジローさん」
「そうですね、ファンナさん」
「あとは冒険者ギルドに行って報告ですね」
「はい、行きましょう」
もう夜も遅い時間だ、早いとこ報告に行こう。
冒険者ギルドに着いて受付カウンターに行く、受付のお姉さんが対応してくれた。
「はい、確かに、これで依頼完了です、お疲れ様でした」
この言葉を聞いて、身体の緊張が解れてくる、ようやく一仕事終えたか。
ファンナがほっとした様な顔になる。
「よかった、初めての依頼がうまくいって」
「ファンナさん、お疲れ様でした」
「ジローさんも、ありがとうございました、一緒に依頼を受けてくれて」
「いえ、大した事では」
「それでは報酬の50Gです。お受け取り下さい」
「ありがとうございます、ファンナさん、報酬の半分です」
俺は報酬を受け取り、その半分をファンナに渡す。
「わあ~、初めての依頼での報酬です、嬉しいです」
一日皿洗いして25G、馬小屋が一泊6G、飯は賄いが出て浮いたお金が19G。あれ? 皿洗いだけで食っていけるよね。疲れるけど。
「ジローさん、明日はどうしますか」
「そうですね、明日も皿洗いしようかと思っています」
「あ、そうなんですか、良ければ私もご一緒していいですか」
「ファンナさんが良ければ」
「じゃあ、明日の朝、冒険者ギルドで会いましょう」
「わかりました、それではおやすみなさい、ファンナさん」
「おやすみなさい、ジローさん」
こうして一日が終わる、疲れたな。馬小屋に帰るか、早いとこ休もう。
明日もファンナさんと依頼をこなすぞ。
おじさん、何とかやってるよ




