第25話 ルビーとサーシャ
「もう痴漢なんかするなよ」
「してませんし、しませんから」
看守と別れの挨拶をして、俺は牢屋を出た。
う~ん、伸びを一回、いい天気だ。自由に動けるって素晴らしい事だと思った、ほんと行動には気を付けよう。
「さて、これからどうしようか」
次の行動を考えていると若い男女の冒険者4人とすれ違った。4人ともきゃいきゃいはしゃぎながらサラミスの街を出て行こうとしていた。おそらくこれから冒険に行くんだろう。
「・・・若者はいいなぁ」
おっと、こんな事を思う時点で俺も歳を感じる、もう若くない、無理せずやっていこう。まずは冒険者ギルドに行こう、ウエイトレスさんに謝らないと。俺は冒険者ギルドへと歩き出した。
冒険者ギルドに着いて中に入るとルビーさんとサーシャがいて、俺を心配して声を掛けてくれた。
「おや、やっと出られたのかい、ジローさん」
「まったく、痴漢なんてするからよ」
「す、すいません」
「謝る相手はあたい達じゃないだろ」
そうだった、ウエイトレスさんに謝らないと。
「そうでしたね、すいませーん、ウエイトレスさんに話があるのですがー」
「はーい、ただいま」
ウエイトレスさんはすぐに来た、とにかく謝らないと。
「何でしょうか」
「あの、その、何と言うか、先日はすいませんでした。酔っていたとはいえ申し訳ありませんでした」
「ああ、その事ですか、いいですよ、もう気にしていませんから」
「いえ、本当にすいませんでした」
とにかく謝るしかない。
「もう大丈夫ですから、お尻を触られる事なんてしょっちゅうですし」
「申し訳ありません、以後、気を付けますので」
「はい、解りました、もうこの話は終わりです、いいですね」
「はい」
ほっ、よかった、どうやら許してくれるみたいだ、もう酒に溺れて酔うまで呑むのはやめとこう。
ウエイトレスさんは話を切り替えて、仕事に戻った。
「それじゃあご注文はありますか?」
「あ、はい、ミルクとサンドイッチを下さい」
「はい、マスター、ミルクとサンドイッチ1つ~」
「あいよ」
ふう、どうやら許してもらえた様だ、よかった。
「許してもらえたかい、ジローさん」
「はい、何とか」
「それじゃあこの話はもうおしまいね、あ、私にもサンドイッチ頂戴」
「あ、あたいにも」
「は~い」
「そういや胸で思い出したけど知ってるかい、サーシャが冒険者になった訳」
「ちょっとルビー、なにを言う気なのよ」
ルビーさんがにやけた顔で何やら語り始めた。
「なんですか、サーシャが冒険者になった訳って」
「実はね、この子、豊胸の実を探してるんだってさ」
「豊胸の実って、胸が大きくなる効果でもあるのですか?」
ここで、サーシャが慌てて説明っぽい事を言う。
「な、なによ、いいでしょ別に、ダークエルフみたいにスタイルよくなりたいのよ」
「え、サーシャ、スタイルいいじゃないですか」
「ジロー、分かる、毎回店のおじさんに少しサービスしてもらえるのを横で見続ける私の気持ちが」
「い、いえ」
「あはは、130歳も生きててそれかい、だからガキなんだよ、女はスタイルだけじゃないだろ」
「う、うるさいわね、なによ、そんなのただの胸デブじゃない」
「口の減らない子だねえ」
「そう言うルビーはどうなのよ、まだラルドの事まだ引きずってるんじゃないの」
「あたいはもう吹っ切れたよ、そう言うあんたこそどうなんだい」
「私だってもう考えてないわよ」
「へ~、じゃあなんで胸なんて大きくしたいんだい、見せる相手でもいるのかい」
「そ、それは・・・」
チラッと一瞬こっちを見た様な、気のせいだよな?
「おやおや~、サーシャ、もう新しい恋をみつけたんですか~」
「何言ってんの、そんなんじゃないわよ、違うわよ」
「なるほど~、胸なんてどーでもいいと思うがねえ」
サンドイッチはまだか、もうもたないぞ。
周りの一部の女性冒険者達がこっちを見て頷いたりしている。
ダークエルフの女性冒険者は冷ややか目でこちらを見ている。
俺は我関せずを貫くだけだ。
あ、ウエイトレスさんこっちを見てニヤニヤしてる、早く持ってきて。
二人の周りが賑やかになってきた所にサンドイッチがようやく届いた。
「お待たせしました」
よかった、お腹が空いて気が立っていたんだな。きっと。
「さあ、サンドイッチ食べましょう」
「「 いただきます 」」
こういう時は息ぴったりなんだよな、この二人。ルビーさんもサーシャも美味しそうにサンドイッチを食べている。
俺もサンドイッチ食うか、・・・旨い。チーズとベーコン、レタスみたいな野菜を挟んだシンプルなサンドイッチだけど。これは、なかなかの味付けをしてある、胡椒かな。
あっという間に食べてしまった。ミルクを飲んで人心地つく。
ルビーさんとサーシャはまだ話足りないのか、まだ喋っている。
この後、どうしようかな。
おじさんはつっこまないよ。




