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2人の初恋   作者: 朧霧
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メッシュバルン王太子

 午後になると軍議が始まり側近レオンとミロード、パイゼン辺境伯、マドラナ砦精鋭部隊長カンイン、王都騎士団長ジェームズと俺が会議室に集まる。


「早速軍議を始めようか。まずはカンイン、各塔から人員に関しては不足は無くなったと報告がきていたがその後は病や怪我で不足しているところはないか?」


「はい、昨日までの報告では人も馬も数に不足は無く怪我人や病人の報告も受けておりません。ミルナレのハッサンからは料理人と調理可能な兵士が派遣されたので栄養のある食事が取れるようになり健康維持ができているそうです」


「それは良かった。長期間になると予想されるから兵士の数を減らすこともできない。インベルも同じか?」


「インベルは元々調理可能な兵士がおりましたが新たに料理人が派遣されたことで警戒任務に集中できるようになったと聞いております」


「料理人に関してはパイゼン卿が努力してくれたからな。改めて礼を言うよ」


「ありがたいお言葉ありがとうございます。領民から料理人を集めるのは時間がかかる予想でしたが、国境付近の平和を維持している兵士には感謝の念を抱いておりましたので思っていたよりも迅速に人を集めることができました」


「そうか、引き続き国のために務めてくれ。続いて領兵の戦力についてジェームズ。パイゼン領兵士は他の領兵より鍛えられているはずだが現況はどうだ?」


「はい、騎士団員と同様な技術を持つ者が多くいますので日頃の鍛錬の成果だと思います。ただ、先日フィルが連れ去られた件もそうですが、弓矢を上手く扱える兵士が少ないのが問題です。理想は剣術と弓矢、両方を扱える兵士を更に増やすことが良いのではないでしょうか?」


「パイゼン卿、今までの訓練内容は主に剣術が多いのか?」


「そうですね、まずは剣術が主です。弓矢も訓練内容には入っておりますが戦争になることを想定していないので両方とも実践で扱える兵士は多数おりません。それにより巡回する際、常に弓矢を装備する者は少ないです」


「そうか、では今後は実践で両方とも扱える者を増やしていこう。巡回に支障が出ない程度に技術を習得するように訓練を指示する。最初から全員というわけにはいかないので人選に関してはジェームズに任せるから各砦と連携して指示を出してくれ。

それと、訓練方針が決まったらレオとミロードは各砦にある弓矢の数量の調査をして不足分を王都から取り寄せるように手配してくれ」


「「「はい、承知致しました」」」


その時ふと窓の外に視線をやると鳥がいて何となく気になり見入ると足に紙が巻かれている。


「殿下、会議中に失礼致します。窓の外に鳥がいますが足に紙が巻かれているようなので伝書鳥ではないでしょうか?」


「あぁ、そうだな。こんな時間に珍しいな」


殿下は窓を開けて窓枠にいる鳥の足から手紙を受け取ると熟読している様子である。


「これは……皆よく聞け。密偵からの報告で幽閉されていたメッシュバルンの王太子が塔を抜け出したらしい。詳細はわからず正確な情報ではないから各現場の任務は通常通りで行うが会議の出席者はこのまま情報収集に入るように」


それから急展開した状況に各々が慌ただしく動き始めた。裏で手を引いてるのは王太子派の貴族か? それとも反乱が大きくなっていて支援している何者かがいるか? 考えを巡らせるが見当がつかない。それも当然か、メッシュバルンで一ヵ月ほど暮らしていたがモダミール伯爵家周辺のことぐらいしか把握していないのだから。今頃、ザジトとライロは無事だろうか…。


それから10日ほど経つがメッシュバルンから我が国に対しての動きはなく、王太子も行方不明のままになっていた。更に7日経つと王都から伝令が届いたので軍議の出席者が集められ会議室に入る。


「先ほど陛下からの伝令が届いたので詳細が分かった。メッシュバルンの王太子はイルマルーンに亡命している。イルマルーンによるとメッシュバルンの王太子とイルマルーンの王太子は同じ19歳。

メッシュバルンの王太子がイルマルーンに12歳から17歳まで留学しており親しい友人であるようだ。

留学中に幽閉されて連絡が取れなくなった時点で救出して欲しいと依頼していたので救出したとのことだ。亡命したメッシュバルンの王太子は祖国奪還の協力を求めイルマルーンの国王は承諾した。今の概要で質問はあるか?」


皆一様にこの状況を考えているが質問は出なかった。  


「とりあえず先に進める。イルマルーンから我が国とライゼンに使者が来て戦争が始まる際の支援要請を受けこの申し出を陛下とライゼンの国王は受諾した。

これによりメッシュバルンの南側を囲む周辺諸国はイルマルーンを筆頭にメッシュバルンの王太子を支持する声明を出すことになった。表向きはこのような話だが質問は?」


「王太子を支持するメッシュバルン国内の貴族や国民は多数でしょうか?」


「昨夜、密偵から届いた報告によるとメッシュバルン国内は現国王派だった貴族も寝返り半数以上が王太子支持派になっているようだ。国民は反乱者達を筆頭に統治者を王太子に望む運動が広がっている。それにより現国王の味方は一部の貴族だけになった。

フィルがメッシュバルンに滞在していた頃も貴族は様子をうかがっていたようだから一気に王太子支持派になったのだろう」


「はい、滞在していた貴族しか存じませんが現国王を支持しているわけではなく自分達の立場を良くするためにどちらを支持するか様子をうかがい中立派になっているようでした」


「イルマルーンはメッシュバルンが欲しいわけでもない。いつまで経ってもあの国は他国を狙っているから方を付けたいのは隣接した国は同じ考えだと思う。

王太子が奪還してもイルマルーンの属国のようになるだろうが統治権は王太子が持つ予定だと聞いている。詳細は決着がついた後に二国間で取決められて条約を締結するだろう」


「殿下、我が国とライゼンは戦争開始からすぐにイルマルーンの軍に合流予定でしょうか?」


「表向きの声明はそうなるな。イルマルーンは我が国とライゼンよりも軍事力、資金力もはるかに上回っているから実際に支援は必要ないと予想している。

しかし何も協力しないわけにはいかないから物資や資金の援助はするはずだ。それにイルマルーン側からもメッシュバルンに圧力をかけたいという内容だったと聞いている」


「それではイルマルーン側からの要請があった場合に支援するとして、我が国は国境付近の警戒は今まで通りでよろしいでしょうか?」


「そうだな、もし戦争が始まったら敵の侵入者が増加したり難民が流れ込んでくるかもしれないから阻止しなければならない。難民の受け入れをするなら事が片付いてから検討することになるから今まで通り厳重警戒でいく」


「殿下、イルマルーン国内の貴族からは反発はないのでしょうか?」


「イルマルーンには最大派閥の公爵家があるのだが公爵家の娘は王太子の婚約者でもあり、メッシュバルンの王太子とも親しい友人だ。最大派閥の公爵家が国王を支持しているから他の貴族も反対しない。

メッシュバルンの王太子は運が良いというか、王太子自身の努力が報われたというか。なぁ、フィル?」


「はい、メッシュバルンの王太子は現国王の統治体制に反発していただけではなく、国を良くしようと思案を巡らせ努力なさっている方だったそうです。でもその結果、幽閉されたわけですが…」


「イルマルーンが本腰を据えたならメッシュバルンの現国王は一溜りもないでしょうね」


「そうだ、イルマルーンは敵に回したくない国だ。これで決着がつくかはまだわからないが陛下からの指示は皆に伝達した。これからも油断せず務めるようによろしく頼む」


「「「「はい、承知致しました」」」」

 

殿下と俺は以外は各々の任務に戻っていった。





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