17 女生徒
〇女岩島小中学校、教室。
教壇の上に腰かけ、足をブラブラさせている育人。
その横に立つ白衣の杏奈。
教室の後ろには腕組みをして実可子が壁にもたれて立っている。
圭織「失礼します」
教室の扉を開けて、セーラー服の芝本 圭織が入ってくる。
圭織、不信げに教室を見回す。
圭織「一人ずつ教室に呼んで、一体、何をするの?」
杏奈「ちょっとした保健の授業よ」
圭織「えーっ!でも…」
圭織、チラリと横目で育人の方を見る。
杏奈「男の子がいるから恥ずかしい?大丈夫よ。簡単な実験をするだけだから」
杏奈、医療用の薄いゴム手袋を圭織に手渡す。
杏奈「この手袋をはめて見て」
圭織、言われるままにゴム手袋をはめる。
杏奈「ちゃんとはめた?だったら育人と握手をしてみて」
圭織「(怪訝な表情で)藤原君と…握手ですか?」
育人「ほら!」
育人、笑みを浮かべて右手を差し出す。
圭織、少し顔を赤らめながら、おずおずと手を伸ばし、育人の手を握る。
杏奈「どう?」
圭織「どうって……?」
杏奈「どんな気分?」
圭織「顔が熱いです」
杏奈。ため息をつく。
杏奈「純朴なお嬢さんね。それじゃあ、今度は手袋を外して」
圭織「はい」
杏奈「シャツの上から、育人の胸を触ってみて」
圭織「ええっ!?これって何の実験ですか?」
圭織、助けを求めるように、実可子の方を見る。
実可子「芝本さん。いいから村上医師のおっしゃるとおりにしなさい」
圭織「……はい……」
圭織、恥ずかしそうに育人の胸の上に手のひらをのせる。
圭織「…これでいいですか?」
杏奈、首を横に振る。
杏奈「服の上からじゃダメみたいね」
杏奈、ノートを取り出し、記録する。
実可子「直接、育人の肌に触れないといけないのでしょうか」
杏奈「これは飽くまでも仮説だけどね、育人の体内には母性本能を刺激する何らかの物質が存在するのよ。育人に触れることにより、その物質が女性の体内に取り込まれ、『変心』するのだと思う」
育人「だったらいちいち俺が握手して回るのか?身体がいくつあっても足りやしない!」
杏奈「(考え込んで)うーん……」
育人「……髪の毛はどうだ?」
杏奈「駄目よ。髪の毛って角質化した細胞の集合体よ。つまり死んだ細胞なの。死んだ細胞に効果があるとは思えないわ」
育人「やってみないと分からないだろ」
杏奈「(ため息をついて)はいはい…。えーと、芝本 圭織さん?これで最後よ。育人の髪の毛に触れてみて」
圭織「は、はい…?」
圭織、ためらいながらも育人の頭に向かって手を伸ばす。
圭織の指が育人の髪の毛の先に触れる。
圭織「ああっ!?」
圭織の身体に衝撃が走る。
圭織「わ、私!?何だか変です!身体が熱い!」
実可子「やったわね、育人!例え髪の毛の先でも育人に触れると変心するのよ!」
育人、ドヤ顔で杏奈を見る。
杏奈「まいったわねぇ!予想が外れちゃったわ」
育人「よし!次の子を呼べ」




