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15 スナック

〇スナック。夜。

 「亜矢子」と書かれた電飾スタンド看板。


〇同、店内。

 狭い店内。カウンターで数名の漁師が飲んでいる。

漁師A「組合長も息子があないな事件を起こしときながら、よく組合に顔を出せるな」

漁師B「早く辞めささんとあかんな」

漁師C「全く強姦魔のオヤジが組合長なんて、わしらも肩身が狭いわ」

 スナックのママ、川島亜矢子(46)がカウンターの中で無言で煙草を吸っている。

 入口のドアベルが鳴る。

 亜矢子、煙草を灰皿で消し、愛想よく挨拶をする。

亜矢子「いらっしゃい!組合長!」

 鬼のような形相をした武藤 昭一が無言で入ってくる。

 ドシンとカウンターの一番奥の席に座る武藤。

 漁師達、きまり悪そうにコソコソと店を出て行く。

 亜矢子、武藤の前に小鉢を出す。

亜矢子「はい、今日のお通し。榎茸の梅肉和え。武藤さん、好物でしょ」

武藤「焼酎!冷やで!」

亜矢子「はいはい…」

 亜矢子、武藤の前にグラスを置き、焼酎のビンから直接注ぐ。

 武藤、グイッと一気に飲み干す。

武藤「おかわり!」

 亜矢子、武藤の前のグラスに再び焼酎を注ぎ入れる。


亜矢子「……息子さんのお葬式…終わったんでしょ?」

武藤「ああ!身内だけの寂しい式やった」

 武藤、グイッと一気に飲み干す。

武藤「おかわり!」

亜矢子「身体壊すわよ」

 そう言いながらも亜矢子、グラスに焼酎を注ぎ入れる。

亜矢子「お客さんに聞いた話なんだけどね…」

武藤「何だ?」

亜矢子「息子さんが死んだ日ね、村長の娘と二人、バイクで走ってるところを見たって」

武藤「そんな話か。二人が一緒に走ってるところはみんな見とるわ」

亜矢子「奥山のおじいちゃん。畑仕事をしていると、バイクで二人が山に向かって走るのを見たって。それからしばらくして、診療所の車が走って行ったって」

武藤「何やて!?」

亜矢子「よくは見えなかったけど、診療所の先生が運転して、助手席に看護婦さんが座っていたって。あっちの方には誰も住んでないから変だなあと思って、おじいちゃん、覚えていたみたいよ」

武藤「診療所の医者ゆうたら、最近、本土から来た若い女医やな。あんな若い女がこんな辺ぴな島に来るなんて、なんかあると思っとったんや!」

 武藤、万札をカウンターに置いて立ち上がる。

武藤「また、何か聞いたら教えてくれや!」

 亜矢子、武藤の手に自分の手を重ね、しなだれる。

亜矢子「まだ、早いわよ。今夜はもう、店、閉めるから二人で飲もうよ」

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