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14 学校

〇女岩島(めいわじま)小中学校。朝。

T「島内には市立女岩小学校と市立女岩中学校が存在し、両者は併設されている。在籍する生徒が居なくなったためそれぞれ休校中であったが、数年前にUターン移住4世帯によって小学校、中学校ともに再開される」


〇同、職員室。

 初老の教師、大庭 慎也(58)と若い女教師、藤井 実日子(25)。

 学生服の育人。

大庭 慎也「校長の大庭です。こっちは君の担任の実日子先生だよ」

藤井 実日子「藤井 実日子です。よろしくね、藤原君。担任と言っても生徒全員の掛け持ちだけどね」

 無言でお辞儀をする育人。

藤井 実日子(大人しい子。何を考えてるのかわからないわね)




〇同、廊下。

 実日子について歩く育人。

実日子(まあ、父親があんなんだったし、中学校に来るのも初めてだから緊張してるのね)

 チラッと振り返って育人の顔を見る実日子。

実日子(しかし、美形ねぇ。あの娘ら、大騒ぎよ)




〇同、教室。

 教壇と生徒の机は6つだけ。全員女生徒。

 教壇に立つ実日子、黒板に「藤原 育人」とチョークで書く。

実日子「今日からみんなと一緒に勉強をする藤原育人君です。仲良くしましょうね」

女生徒全員「はーい!」

育人「(お辞儀をして)藤原育人です。よろしく」

 セーラー服の芝本 圭織(15)、原田 碧(14)、勝瀬 まりな(13)が小声で話す。

原田 碧「超イケメン!」

勝瀬 まりな「そう?暗そう!」

芝本 圭織「お父さん死んだばかりだからしょうがないよ」

 佐々木 果乃(11)が手を挙げる。

佐々木 果乃「先生!藤原さんは村長の橘さん家(ち)に引き取られたんでしょ。なんで苗字が藤原なの?」

実日子「佐々木さん!失礼よ!」

育人「村長の家に世話になってるが、養子になったわけじゃない」

 みんな、ガヤガヤと騒がしくなる。

 パンパンと手を叩く実日子。

実日子「みんな、静かに!藤原君。席に着いてね」

 育人、一番後ろの空いていた席に座る。


実日子「それじゃ、いつものようにそれぞれ問題集を出して自主学習してね」

 生徒たち、問題集を出して、無言で勉強を始める。

 育人も鞄から小学校の書き取り問題集を取り出して始める。

 隣の席の佐々木 紗雪(7)が話しかけてくる。

奥田 紗雪「こんにちは!」

育人「こんにちは」

奥田 紗雪「おにいちゃんは何歳(いくつ)なの?」

育人「14歳」

奥田 紗雪「なんで私と同じ問題集やってるの?」

 実日子、ドキッとする。

 周囲のみんなが聞き耳を立てる。

実日子「紗雪ちゃん、あのね…」

育人「お兄ちゃんは学校に行かせてもらえなかったんだ。だから、最初から勉強するんだ」

 育人、明るく微笑む。

 女生徒たち、みんなうっとりと育人に見とれる。

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