第1章:3.1 商圏の潰走
黒い旧型のSUVの四輪が水浸しのアスファルトを切り裂き、車内いっぱいに積まれた重たい物資を載せたまま、福林路を猛烈なスピードで疾走していく。
大肚山から吹き下ろす突風は刺すような冷たい小雨を巻き込み、車の鋼板の継ぎ目を通って、まるで口笛のような甲高い悲鳴を上げていた。
ワイパーが激しくフロントガラスを行き交うが、最速の速度に切り替えてすら、視界の先は立ち込める水煙と交錯する光と影に遮られた灰色の世界だった。
車窓の背後、台糖量販店の巨大なフロアと通り沿いに連なる雑居ビル群に完全に視界を阻まれた台湾大通りの方向では、黒煙がもはや細い煙の柱にとどまらず、濁った分厚い雨雲のような塊となって、冬の鉛色の空へと狂ったように渦を巻いて広がっていた。
救急車の引き裂くような「ピーポー、ピーポー」という甲高いサイレン、パトカーのけたたましい警告音、そして連続する鈍い衝突の重低音が、立ち並ぶ街区の壁を突き抜け、空気の底を震わせながら不気味に響き渡っていた。
闕恆遠はステアリングを軋むほど強く握りしめ、その指の関節は力みによって白く強張っていた。
彼はバックミラーに映る立ち上る黒煙に視線を割くような無駄は犯さなかった。ジャケットの下の双肩を強固な二本の線のように引き締め、前方に真っ直ぐ伸びる福林路の路面を射抜くように凝視し続ける。
前方には、普段から見慣れた福科路との交差点が迫っていた。
直進方向の信号はまだ青のままだったが、交差する福科路の側からは、背後の混乱に肝を冷やしたらしい二台の小型トラックが、自分たちの側の信号がとっくに赤に変わっているのも構わず、アクセルを踏み抜いて強引に交差点へ突っ込もうとしていた!
闕恆遠の双眸が険しく細まり、右足はブレーキを踏むどころか、逆にアクセルをさらに半インチ深く踏み込みながら、右手のひらでステアリングの中央を力任せに叩きつけた!
パパァーーッ!
古いSUVの重厚で甲高いダブルトーンのクラクションが、空きかけた交差点に轟然と炸裂した。六気筒エンジンの地を這う重低音を響かせ、巨大な黒い車体はまるで真正面からすべてを圧し潰す黒鉄の分厚い城壁のように、一歩も引かぬ覇気をもって交差点のど真ん中へと割り込んだ。
赤信号を強引に突破しようとしていた二台の冷凍保冷車は、その一切の退く気配のないけたたましい咆哮に肝を冷やし、前輪のブレーキを悲鳴とともに踏み抜いた。水浸しのアスファルトに黒々とした泥水の軌跡を激しく刻みつけ、あわや路肩の変電設備に激突する寸前で車体を横滑りさせて停止した。
SUVはその圧倒的な推進力を保ったまま、一瞬の澱みもなく交差点を駆け抜け、福林路の後半セクションをガッチリと捉えた。
この幅の広い対面通行の道路は、普段なら交通量もそう多くはない。だが今はすでに、ハザードランプを激しく点滅させた数台の自家用車が道端に次々と乗り捨てられるように停まっていた。
通り沿いの歩道では、分厚いダウンジャケットを着込んだ住民たちが、玄関先に置いてあった植木鉢を慌てて家の中へ引きずり込んでいる。さらには、青ざめた表情の中年女性がリュックを背負った小さな子供の手を必死に引き、金切り声で急かしながら自宅のステンレのシャッターを力任せに引き下ろしていた。シャッターは激しい引っ張りにガタガタと甲高い金属音を立てて悲鳴を上げている。
恐慌は、目に見えない有毒ガスのように街を侵食していた。たとえここから台湾大通りの血生臭い惨劇が直接見えなくとも、空気に充満する焦げた悪臭、街中を疾走するサイレンの嵐、そして完全に沈黙したモバイル通信網が、危険を嗅ぎ取ったすべての者に生き残るための本能として門扉を閉ざさせ、籠城を選ばせていた。
福林路の突き当たりにあるT字路が、目前に迫っていた。
シェアハウスへの帰り道として普段から数え切れないほど通い詰めたルートであり、闕恆遠にとっては目を瞑っていても走れる道だった。
彼は右手の逢甲市街地へと向かう方向など端から考慮に入れず、カーブの手前で右足のブレーキを鋭く踏み込んでわずかに減速させると、両手でステアリングを左へと迷いなくフルロックまで切り込んだ。
「しっかり掴まってろ」
闕恆遠は低く注意を促した。
古いSUVのやや大柄な車体は、交差点で極めて堅実な弧を描いた。幅広の滑り止めタイヤが路面の白い減速帯を踏み越え、「ドンドン、ドン」と鈍い突き上げの振動を返しながら、車体は見事なテールスライドで西屯路三段の四車線アスファルトへと鮮やかに切り込んだ。
だが、ノーズが正面を向いたその瞬間、不意に視界へ飛び込んできた混沌の街景に、車内の全員が息を呑んだ。
彼らの右前方には、広大な敷地を誇る「中科ショッピングプラザ」が広がっていた。
その巨大なランドマークの看板は、陰鬱な空の下で鈍いネオンを弱々しく瞬かせていた。中でもひときわ目立つ「台中牛排館」と「元太祖モンゴリアンバーベキュー」の、本来なら重厚で明るく開放的だったはずの観音開きのガラス扉は、今や跡形もなく粉々に砕け散り、無数の透明な強化ガラスの破片が水浸しの路面一面に散乱して、濁った寒々しい光を反射していた。
「助けて!」
「逃げろ!」
「中で人が噛み殺されてる!」
「押すな!」
「うちの息子がまだ中にいるのよ!」
「あいつ狂ってる!」
「テーブルまでひっくり返しやがった!」
鼓膜を聾する悲鳴、皿や椀が粉々に砕け散る甲高い音、そして大人と子供の入り混じった泣き叫ぶ声が、煮えたぎる油のようにレストランのエントランスから狂乱となって溢れ出していた。
旧正月五日の昼時といえば、どの家庭も揃って新年の会食を楽しむピークの時間帯だった。
千人規模を収容できる台中牛排館の広大なフロアには、ステーキを頬張り、サラダバーに群がる家族連れの客が少なくとも数百人は詰めかけていたはずだった。
店内の誰かが突然発症して倒れ狂ったように噛みつき始めたのか、それとも病院から逃げ出した感染者が店内へ雪崩れ込んできたのか――今この瞬間、巨大レストランは完全に生ける地獄へと成り果てていた。
分厚い上着を羽織る間すらなく飛び出してきた数百人の客たちの中には、黒胡椒ソースのこびりついたフォークを握りしめたまま呆然と逃げ惑う者もいれば、顔中を鮮血に染め、狂乱と恐怖に顔を歪ませながら、粉々に砕けたエントランスの敷居から我先にと押し合いへし合い雪崩れ出てくる者もいた。
人の波は決壊した濁流のように、中科ショッピングプラザの本来なら広々としていたはずの歩道を一瞬にして呑み込んでいった。
通り沿いに並んでいた正月の屋台が、その最初の犠牲となった。
焼きソーセージや糖葫蘆、手作りさつまいもボール、小さなアクセサリーを売る屋台の雨除けテントの列が、押し寄せる群衆に激しくぶつかられて無残に薙ぎ倒されていった。
煮えたぎる揚げ油の鍋が混乱の中でひっくり返り、真っ黒な熱油が歩道一面にぶちまけられて、モウモウと鼻を突く白煙を噴き上げる。足首に熱湯のような油を浴びた何人かの若い男女が、その場にうずくまって足首を抱え、転がり回りながら泣き叫んでいた。




