↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/31

一章 2

 つい先ほど、召喚されてからの会話も一通り終了し、私は副メイド長のユーリの案内で第一皇子とは別室に案内された。

 部屋は白を基調として豪華で大きなベッドが目に付く部屋となっている。現時点では飾り付けはほとんどない。これは私の為に今後、少しずつ必要な物を取り揃える為のようで、今は簡素で大きな部屋となっているとの事である。

 そして、第一皇子であるゲズントハイトのメインで担当しているメイドを私に割り振ってくれているらしい。どうやら個人的に嫌われている訳ではないらしく、私がどこの馬の骨か分からない女性か分からない為、警戒しているだけと言う事である。

 一方、飼い猫の獣人化したニーニはと言うと、目の前に居る彼女の話では色々と仲良くしてるらしい。

ニーニの元の姿からすると、私の飼い猫が知らない男性と触れ合っているだけなのだが、今の外見は人間同士なので何となく不安に思う。

「大丈夫ですよ。ゲズント様は偉そうな女性に対してだけ、異常に厳しい態度を取っているだけです。もし、あなたが本当に敵対する人物と認定するようならニーニ様とあなたを引き離し、国外に捨てるだけですから」

 そう言った対応をされて、引き剝がされるのが最も困るのだけれど。

「申し訳ございません。引き剝がす対象の女性と言うのは、シーグル王国の関係者を金と権力の道具として見ていない人の事です。それに、そのような人であれば、近くの人を人質に取り、排除してでも従わせると言うような過激な行動を起こす人ばかりです。あなたを見る限り、ゲズント様も自身と同じ物を感じたと思いますので、引き剝がすと言う選択肢はとうの昔に排除してるはずです。ご安心ください」

 彼女の説明を聞き、何となく理解した。そう言えば、十年前から叔母に保護されていたけど、私に危害を加えようとしていた人達はその場で判断しながら、親友である総理大臣と連絡を取り、秘密裡に処分する事をやっていると一回だけ聞いた事がある。おそらく、それと同じような事をやっているのだろう。

 まずは異世界に勝手に召喚されてから捨てられる事がなかったので、良かったと言う他ない。

「とにかく私を捨てずにいてくれてありがとうございます。と言うところなんだけど、いきなり召喚してニーニと引き剝がすのはいくら何でも酷くはないですか?」

 私自身、ニーニは少なくとも虐待していた両親なんかよりも家族であると思っていて、それを離れ離れにするのは酷いので、当然の訴えのはずだ。

 彼女自身も今の言葉については悪いとは思っているらしく、少しの間、目線を私から逸らした後、再び私に目を向けて

「その件については誠に申し訳ございませんでした。ゲズント様から聞いた話だとしても、人の気持ちを汲まないような対応をするなときつく言われ、第一皇子の母となるフェルネ様にもかなり怒られました」

 どうやら、先ほど同席していた妃には厳重注意されたらしく、彼女は涙目になっていた。

(まあいいか、国王と妃に守られると言う事であれば、多少は不自由になっても色々と助けてくれそうな気はする。何となく)

 根拠がある訳ではないけれど、同席していた第一皇子の彼と重ねて見られていたようにも思えた。それを考えると、粗雑な扱いを受ける事はないと考えられる。

「今日は色々と慌ただしかったでしょうし、着替えを用意していますので、水浴びをした後に着替え、そこのベッドに休むようにお願いいたします」

 当然の事ながら、ここは日本ではないので風呂がある訳がない。とは言っても、水を浴びるのは単純にきついので水の冷たさを想像しながら、思わず身震いをしてしまう。

「ああ、そう言えば百年前にこちらへ召喚した方が二名居ましたが、その方達も〝水浴び〟と言う単語を聞いて身震いしたと言う記述が書物に残っています。おそらく、あなたもその二名と同じ国の出身だと推測はできます。二名の格好は大変に古風な物だったようですが」

 私の世代から百年前と言う事になると単純に、第一次と第二次世界大戦の間の年と言う事になるけど、昭和時代の初期と言う事にもなるから、格好は非常に質素な物となるはずだ。

(私には関係のない人だと思うから、他人事でしかないかな)

 日本出身の人が同様に召喚されたとしても所詮は他人である。考えたところでしょうがない。

「水浴びとは言いましたが、魔法で水を温かくする事もできますので、〝お湯浴び〟と言う事になりますね。あなたの国を基準に答えれば」

 彼女のさらに説明した言葉で私は嬉しくなった。私の時代を基準にすると、魔法さえ使ってもらえれば、シャワーを浴びれると言う事を意味するから。

「私、今日はまだ風呂に入っていなかったから、早速お湯浴びしたいんですけど、用意はできますか?」

 召喚される前の時点で、風呂に入る三十分前の状態だったので、少し汗で肌がベトベトになっているのが気になっていた。

「まだ、水浴び前の状態でしたか。風呂……そう言えば、百年前に召喚された二名も風呂を所望したと言う事は書物に記述されてましたね」

 書物と言うより、召喚された人達の観察日記と言う気がしてならないが、特に気にするほどでもない為、私は話を流す事にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。