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(謁見の間にて)

 案内人の先導で謁見の間に案内される。

 そして、私は謁見の間に入ると、国王らしき豪華な軍服の男性と、何かのゲームに出てきそうな服装をした教皇らしき還暦に近そうな男性が立っていた。

「初めまして、ブンターヒンメルで現在も国を治めているヴェルター・ゼルトザームです。普段はゼーゲン教皇との会話を横で聞いて話してるけど、今回はこうして、色々と話せそうだから楽しみにしてるよ」

 最初に挨拶したのは国王。少し砕けた口調になっているのは、時々、教皇との念話越しにやり取りをしている影響がある為だ。

「美結様、お待ちしておりました。私がゼーゲン・ゴルトヘルツです。こうして、実際に対面するのは初めてですね」

 時々、念話でのやり取りをしている為、初対面の感じがない。

「私は千城美結です。今回、この世界に訪れたのは、上の方からの言葉で、遠出をできる機会がもうないだろうと伝えられ、人生最後の旅行になりそうだと言う事でこちらに来ました。今後の予定はキルカスパートス、シーグルの順に訪問し、私の世界に帰還する予定となっております。改めてよろしくお願いいたします」

 私は挨拶の後に今後の予定を言って礼をした。二人も礼で返し、中央にある机の椅子に座る。


「さて、ゆっくりと話をしたいのは山々ですが、少しばかり問題を抱えておりまして」

 国王は難しい顔をして、雑談はやらない方向で話すようである。私は大体、想像が付いてるので、先に予想を言っておく。

「王位継承権のある第一皇子と継承権のない国王のご息女との関係性についてですね」

 私の言葉に教皇が「やはり、ご存じでしたか」と口をへの字にしながら呟く。

(これは問題解決したら、次の国に行く事になりそうだね)

 異世界の訪問スケジュールを考えると、一つ問題を解決して時間切れになりそうだと直感した。

「私は国の発展に貢献してくれるのであれば、問題ないとは思いますが」

 教皇は何だか含んだような言葉を口にして、言い淀んでいる。

(何となく予想が付く……これは本人達に会って話した方が早いかな)

「大体想像付きましたので、明日。二人をこちらに呼んで頂けないでしょうか? 彼らを見てから話をした方が早いと思います」

 国王と教皇はお互いに見合わせてから笑顔になり

「承知しました。それでは明日、デンメルングとブリューテには貴女との対面の件をお伝えし、謁見の間に伺わせます。本日は私達で用意した部屋にお泊まりください」

 国王は私に城内で一泊するように促した。私も数日くらいなら別に構わないので、彼の指示に従う事にした。


 今回、私が案内された部屋と言うのが玉座の間よりも右にある部屋、つまりは入口から見ると右奥の端が宿泊する部屋となるのだが、普段は城内に居る人達が清掃などをしており、日常では使われていないと言う事である。

 本来は正式な王族の人しか使えないようになっており、現国王は資格がないと言う事で自主的に規制してるらしい。現時点で使用できるように設定しているのは静菜と私だけの二人だと伝えられた。


 先ほどの挨拶でお土産を出す機会がなかった為、念話で城内を案内した人と連絡を取る。

「先ほど、謁見の間での挨拶が終わりました。色々と渡したい物があるので、保管できる場所をお願いいたします」

「それでしたら、玉座の間の左側に応接室がございますので、そちらがよろしいかと。それと渡したい物とはどう言った物でしょうか?」

 私は一通り、お土産の内容を説明した。まずは一般的な物として、日本の工業品や食べ物。これは今の地球が、どのような技術で物を作っているのかを知る意味でも有効なはずだ。次に地球の各国に関する書物。こちらはお互いの世界の違いを知る上で重要な物となり、マナーなど諸々の手順なども違う為、必要な物だろう。先ほどの工業品についても関連してる物もある為、物作りの技術を解体、分析、製造、改善と色々応用は聞くはずだ。

「……後は、メアグラス枢機卿に個人的に渡したい物がありまして」

「美結様はまだ、枢機卿と対面してないはずですよね? なぜ、あの方の名前を知っているのでしょうか?」

「ああ、それはね。先ほどの謁見の間での会話中に透視魔法を使いながら、無言で少しだけ会話していたからだよ」

 そう、あの会見の場で私は目の前の二人と会話しながら、教会に居る教皇の孫と視線のみで話をしていた。途中、教皇が勘付いたようだが、謁見の間から出て、教皇が教会に戻っても特にお咎めもなかったようだし、禁止事項ではなかったのだろう。

「とにかく、メアグラス様には私から転移魔法で個人的に送るので、後から教皇と国王にも情報共有してくれたらありがたいな」

「何を渡すかは存じませんが、かしこまりました。後ほど国王とゼーゲン教皇に伝えておきます。応接室を整理しますので、その後に転移をお願いいたします。では、私は失礼いたします」

 彼は私に一礼して、応接室へと去って行った。


 一時間が経ち、漸くお土産を置く準備が整ったので、私は転移魔法で一通り置いて行った。

 その後、教会に居るメアグラスにとある物を送った。それは〝大量破壊兵器の設計図〟と〝人工知能による自立型兵器の設計図〟である。これを渡す意図は静菜の両親の件に関わってくる。

 今回はそこまで頭が回らず、魔族などと結託し、悪事を働いただけで済んだ。しかし、少し頭の良い人ならこのような世界を破壊する事に特化した武器を使えば、やりたい放題なのが目に見えている。幸い、私の世界では色々な条約などで雁字(がんじ)搦(がら)めになっている為、使用すると言う愚策に出ていないが、その制約がない世界であれば、思う存分に行使するはずで、そうならないようにブンターヒンメルに預け、絶対に使えないように予防線を張っておこうと言う物である。

 彼もすぐ、意図に気付いたらしく、私がこの国を去った後に教皇と力を合わせ、該当する武器や類似品を用いた際に使用者は勿論、国などを即死させる神聖魔法をかけ、該当する道具一式については無条件で壊れて一切使用できないような魔法を施したらしい。

(未来の教皇はどこまで優秀なんだか)

 若き枢機卿を未来のと言う表現をしているのは、私が魔法である程度の未来予知が可能な為で、彼が祖父の死後に教皇になる未来が見えているからである。

 それなら、地球でも未来予知を行使すれば良いのではと思うだろうが、残念ながら私の世界では自室以外は一切、魔法を使う事ができない。未来予知など自室の外に関わる系統は全く使えなく、本当に自室の範囲内だけで使える魔法だけが可能と言うだけである。


 設計図の件は今は知る余地もなく、今は夕食をとって夜となり、私は持参した部屋着に着替えてから寝る事にした。

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