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(群島地域の中央北の島にて)

 そして、近くの荷物と一緒に転移した私は周囲を見渡す。

「あれ? ここ、どこだろう」

 確か、宗教大国のブンターヒンメルを目的地にしていたはずだが、着いた場所は背後に海岸がある夏の島にしか見えない。

 他に問題と言えば、右手に持っている立方体は使い捨てで、異世界から地球に戻ると言う事はできない代物である。

「しょうがない、誰か見つけてここがどこか聞くしかないね」

 幸い、舗装されていない道が真っすぐに続いていた為、初動には困らなかった。


 私は他に当てもない為、一本道を歩く事にする。三分ほどで前方から藁で作られた腰巻きと骨の首飾りをした半裸の男性がやってきた。

「こんにちは、旅の方のようですが、どうしましたか?」

「実は、ブンターヒンメルと言う国に行こうと思ったのですが、この島に転移しまして、ここの場所を教えて頂けないでしょうか?」

「ああ、ここは南の国々の一つ、中央北にある〝ワエナアカウ〟と言う島になります。国とはなっていますが、各々の島の長は首長と呼ばれています」

 この辺一体は小さな島々がそれぞれ国として成り立っていて、ここもその内の一つと言う事だろう。しかし、場所が全然違う気がする。私は転移場所の再考をしようとすると

「そう言えば、一ヶ月前にブンターヒンメルから試験的に派遣で訪れている人が居ます。今から呼んできますので、少し待ってください」

 彼は私の前から道を逆方向に走って行き、目的の人を探しに行った。


 五分後、人探しに行っていた彼が、神父の服装をした若い男性を連れて戻ってくる。

「お待たせしました。私には調べようがないので、彼にあなたが何者かを調べてもらいます」

(さすがに未知の人を信用するのは危険だよね)

 おそらく、異世界特有の魔力反応を調べていると思う。一分も経たずに調べ終わると、神父姿の彼が私を見て震える。

「ま、まさかあなたは……『異世界の女史、千城美結』様では?」

 この二つ名を言うのはどうにかして欲しいが、私の名前は当たっている為、黙って首を縦に振る。

「シーグル国のシュピール様が言っていた事は本当だったのですね。それで、どのような順序で面会に行くのでしょうか?」

 私との対面に感動したかと思うと、冷静に私の旅行順路を聞いてくる。

「まずはあなたの派遣国であるブンターヒンメルに寄ります。教皇と国王に色々と積もった話もありますので」

「でしたら、シーグル国の妃である静菜様の長男と国王が後に結婚した者との子に会ってください。何やら悩みがおありのようですので」

(静菜の長男は七歳だったはずだけど、何の悩みだろう)

 私は彼女の子が気になるが説明を続ける。

「次はキルカスパートスに行きます。静菜の養母扱いの女王に会い、色々と話したい事もありますので」

「静菜様の次男はそれはもう、女王陛下のみならず、配下の者達からも総出で可愛がられていますね」

(この神父さん、本当に派遣されるような一般聖職者かな?)

 私が順路を説明する度に一言メモのようなコメントが返ってくる。気になるところだが話を続ける。

「そして、最後にシーグルへ行きます。静菜とはおそらく、実際に会うのが最後になるだろうと、私の世界に居る方に言われましたので」

「と、言う事は……人生最後の対面ですか。寂しい限りですが、映像越しに対話をすれば問題は少ないですね。ただ……」

(おや? さっきまでと反応が違うんだけど)

「実はですね……現国王と静菜様の飼い猫が只ならぬ関係と数年前から噂が立っておりまして、幸い、離婚をすると言う話題は皆無ですが、私としては気になって仕方ないんですよ」

 彼の続きの説明に私は溜息をついた。まあ、何が起きたか想像はつくけど、念の為に国王君の両親と静菜に確認したほうが早い。

(そう言えば、ニーニは彼に凄く懐いていた様子だったから、当然の結果と言えばそれまでだけど)

 最初の通信の時点で兆候があり、これについてはニーニにも事情聴取をしないといけない。

「まあ、シーグル国については静菜様の味方も多くいます。何なら、この私もお妃様の味方です。何かあれば私にも連絡をお願いいたします」

 彼は素早く、私に深々と礼をした。

「あなたのお気持ちだけ、ありがたく受け取っておきます。それでは、まずはブンターヒンメルに移動しますので、これで失礼します」

「ええ、きっとお喜びになると思います。それではまた、いつの日か」

 私が礼をすると彼も礼で返し、横にいた現地の男性も釣られて礼をした。


 私はブンターヒンメルの教皇の魔力反応を感知した後、その場で転移魔法の空間を作らずに発動し、瞬間でその場から消える。私が瞬間で転移をした時

「さすがは異世界の女史様」

「転移魔法って、瞬間移動も出来たのか」

 どうやら、転移空間を作るのが普通で、私の瞬間移動系は魔法として高度だったようだ。変に目立ってしまった。

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