8話 憑代 承
:軍事司令長官視点:
「ああ、我が神よ!憑代をお持ちしました」
「もどったか、月光王」
「ええ!」
なんだ、あいつが持ち上げている奴は、誰だ⁉
「それは……ベート?」
「おっとおっと。此奴はそういえば叛逆教会にいたのか。……そうだ、これはベートだ。……奴は神々の凱旋の時代、神の憑代として作らされた。魂もあり、人格もある。一つだけ、人間と違うところとすれば、それは――肉体だ」
「肉体?」
「そうだ。この肉体は神々にも対応できる順応で強度が尋常ではない。我が生み出せる肉体のスペックをはるかに超えているのが、このベートというもの。いや、一応はヒトだな」
なんだと?ベートが生み出されたというのか?
どういうことだ。確かに怒りと殺意が……?
本当にあったのか?俺の勝手な錯覚なのではないか?
この世界全体が、ベート中心なのではないか?
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「興が乗ってきた」
聞こえたノイズと神の声。
とても人間に聞こえる声ではない。
あれは何なのだろうか。とてつもなく不気味だ。
「我が神よ!最終秘儀をお掛け致しましょう!【月の魂魄の意志】――【反転・同期覚醒】!」
その瞬間、物体が見えない彼方から、光が見えた。
刹那の閃光とともに現れたのは―—
❊ ❊ ❊
「アハハハハハッ!」
高笑いと閃光の中に生まれた人影。
おそらく、神であろう。
圧倒的な威圧感、そして畏怖だ。
自分が跪けと言われているような気がする。
違う、決まっていた。神に前では跪くのが当たり前なのだろうと設計されている。
「我は手に入れたのか、ついに、ついに!永劫の時を経ても変わらず、且つ肉体の行使も両立できる。まさに究極の肉体を手に入れたのだ!」
「自分の力に飲まれたら終わりだぞ?」
挑発など聞かないだろうと思うが、一応煽る。
「……そうだな。ただ、肉体を持つということは我の悲願だったのだ。だが、生半可な肉体だと耐えられない。だからこの肉体、通称究極の肉体を得たかったのだ!」
「そうだぞ、愚者ぁ。でもねぇ、こんなことも可能なんだ!【反転・同期覚醒】」
何をしでかすと思えば、ただ発動しただけで……。
「この能力は重複するんだよぉ?」
「まさ――」
この一帯に閃光が走った。
稲妻が落ちたように光は一点に収束し、消える。
「轟雷」
「ガッ!」
轟音が響き、その瞬間に俺の鼓膜は破けた。
そのあと、すぐに足が強烈な痛みを発し、痺れる。
脚の一部は焼け、神経ごと焼き切った。そこに痛みはなく、ただ動かせなくなっていた。
「少し時間を稼げ。アイツを殺す」
「「了解いたしました」」
月光王とフェアマセトは俺に向かって突撃してくる。
そんなんで死ぬようじゃ務めてねぇ―よ、この仕事にな。
「能力【再生】!」
――再生は、能力史上最も強力な能力だと後に分かる。
この再生は部位欠損やあまつさえ臓器など人間に不可欠なものまで再生させる。
そして、身体を酷使させなければ、無償で再生という能力を発動できる。
再生は、自分が今陥っている状況のなかで変質し、その時々にあった再生方法を自発的に生み出す。
つまり、身体が作り直されるようなものなのだ。
よって――
「お前らが終わりだよ」
「「⁉」」
反神霊大型斧によって彼らの肉体は一刀両断、青い血が噴き出る。
黒炭のようなものが傷口から出ている。
「不気味だな」
俺はまるで恐怖を好奇心で紛らわせる。
「不快の絶頂だ。貴様は心底驚いたが、所詮矮小なる存在だ。故に我には勝てぬ。そして、そもそも神というのは逆らえないのだよ」
なるほどな。勝てないっていうのか?
だが勝つのだ。粘り強いぞ、この対神霊叛逆教会というものは!




