6話 加加阿は苦くて甘い
:軍事司令長官視点:
如何して天使は生まれた?なぜなのだろうか。命を奪うとは、食うことだ。
だが、人間を食わない。奪っているのにもかかわらず。
喰らうという当然の生存反応はどうなっているんだろうか。
不思議な感覚だ。
❊ ❊ ❊
俺はベートたち自室を出た後、自分の部屋に戻ることにした。
「これで最後かもしれねぇーのか」
部屋を指でなぞる。
これを何年間も見てきた、この場所に戻ってきた。
家族もいる。
けどさ、自分の子供と不特定多数の子供はどっちが大事なのかと言われたら、どちらも救う。
だから死ぬんだよ。
これが空想で、妄想であってほしかった。現実ではないと願っていた。
でも、現実なんだ。
――これが本当に現実なのだろうか……。
余韻でに浸っているから、そんな妄想めいたことを思ってしまうのだろう。
そうだよ、これは現実なんだよ。
時には苦く、甘いんだ。
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朝が来た。世界を灯す太陽が出迎える。
色を付ける。世界に。薄暗く、夜と交差する。
故郷に戻れなくなるかもという恐怖と、いい背中を見せられるという狂気的嬉しさが混じる。
「愚弟、足引っ張んじゃねぇよ」
「お前もだよ」
「フッ」
眠気顔のベートたちを見ると、目線で伝える。
『頑張れ』と。
「!」
少しうれしく感じた。誰かが見守ってくれるという安心感が、背中を押す。
足踏みをするんだ。
最後に俺は笑顔とある一言を言って、転移装置を踏んだ。
❊ ❊ ❊
え?
部隊全員が死亡していた。
「あがッ」
「今のに反応するか、人間よ」
死んでた。あれは間違いない。うまく体をひねり、直撃を避けたから、生きている。
ミスっていたら、身体が貫通して死んでいただろう。
「テメェは誰だよッ!」
「私か?私は宝石王十四天使。金剛石のフェアマセトだ」
「そうか。お前とは違う見た目だったが、緑のやつがいただろ」
「ああ、翡翠王セラスか」
「そいつが中心でうろうろしていたが、何を目的としている?」
「神が絶対的な王なのだ。私らは、いや七大天使、三大天使だろうが関係ない。すべての祖の元が神なのだから、従うのは当然なのだ!」
「そうかよ!」
俺は地面を蹴った。その蹴りは地盤を割り、反神霊大型斧を横に振った。
(早いな。金剛石は重そうだが、以外にもすばしっこいな)
「涙を堪えろ」
「なんだ?」
俺は横に振る遠心力と、能力『反発作用点』を発動させ、フェアマセトを抉った。
「痛ッ。………確かに痛いが、私は再生するぞ?なぜならば、私は金剛石!故に炭素さえあればいくらでも再生できるのだ!」
「俺でも能力『再生』くらい持っているぞ。俺はエネルギーなんてそもそもいらない。ただ身体を酷使さえしなければ『再生』を上回ることはない」
これはギリギリだ。
俺でも死ぬなこれ。
はっ、頼んでおいてよかったぜ。
あと、俺の人生は珈琲より苦かったな。




