5話 ヒトのココロ
:軍事司令長官視点:
謎の領域に行く、と言ってしまったのはあの子たちには酷だっただろうか。
だが、そんなこの世界は甘くない。
こんな程度でヒトのココロが消えるのなら、戦闘に行くという価値がない。
強い意志を持たないということだ。だが、あの子たちなら託せると思ったから言っただけだ。
俺は謎の領域に行く。俺が決めたから。何人たちに反対されようとも。
自分は孤独じゃない。仲間がいるから。家族がいるから。
能力部隊待機室に俺は赴いた。
「どしたの?」
「おう愚弟」
「愚弟って。まあ愚かな行為はしたけどね」
「それはそうと、お前の嫁さんは?」
「死んだよ」
「……それは酷なことを聞いたな」
「別に、覚悟していたことだ」
「そうか」
「でも、チクショウ。俺は守れなかったんだ」
「子供は?」
「生まれた。早産だった」
「子供はどこに預けるつもりだ?」
「親戚の叔母に」
「それはそうと、お前の嫁さん、姉さんはどうした?」
「ああ。産気づいた」
「いなくていいのか?」
「子供が殺されるより、俺が死んだほうがいいだろ」
「――ッ!見れなくていいのか、どっちも生きれる世界線は無きにしも非ずだろ」
「己の力を過信してはならないのだよ、愚弟よ。安寧を願っていたところで何も変わらない」
「それなら息子の顔を見れなくても戦うと‼」
「そうだよ、俺だってそりゃ見たいよ馬鹿!」
俺だって葛藤はある。地獄だよ。妻と子供を産む瞬間も見れないんだぜ?
それでも戦うのは、自分の子供と、ほかの小さな子供たちの笑顔見るためだろ!
それが、ただの自己的な考えだけで参加していいのか?この最悪の戦いに。
覚悟がないなら出ていけ、俺はそう思ってしまった。
「伝令しといてくれ、明日早朝、ここを立つ」
「分かった」
もう一回合うか、ベートたちに……。
❊ ❊ ❊
俺はベートとカールの自室の前まで来た。
来たのはいいが、正直何を話せばいいのかわからないな。
もう吹っ切れた俺はドアをノックした。
「どぞー」
俺はドアノブに手をかけ、引いた。
「って長官!?」
「まじかよ」
二人はあんぐりと口を上げながら、驚いた顔をしているが、気にしない。
「さて、俺が死んだらどうするつもりだ?」
「ここで答えを言う必要はないと思います。あなたが死んでからでいい、それは」
「死ぬ前提なのか?」
「無垢ですね」
少し、俺は場違いな気がした。
本来なら無邪気にどこに旅立っているかもしれない運命があったのかもしれないが、それは結果じゃない。あくまで妄想なのだ。だけど――子供を守れなかった、というのも事実なのだ。
俺は三十路ちょいだ。
自分がやったことに責任をとれる年齢であり、自立なんて当たり前の人間が、なぜ助けられるはずの子供たちに重責を負わせているんだ?
「生意気なクソガキどもだ」
そうだよな、俺は死ぬんじゃない。戻っていく場所があるんだから。
――ここに。




