4話 風 憎悪 日常Ⅱ
「謎の領域か」
「そうだ……悪いな、俺らが死んだらお前らが跡を継げ」
軍事司令長官の目には、意思が宿っている。
死んでもよい、継がれるから。
なにを?
さあ、何を継ぐなんてそれは『自分』が継ぐものだ。
それ今答えを出せと言われたところでだ。
俺は、自分の意志できたのだから、なくなったら継ぐのだ。
挙句の果ての今日に死ぬ。
それでいい、それでよいのだ。
結局は……順番が回る。死ぬという運命に。
きっときっと、俺も順番が回るのだろう。だから、せめてだ。俺の手じゃくてもいい。歯車として、次の世代の光になるように。俺は魅せるのだ。地獄の順番に回ろうとも、それはみんなの運命だ。
俺が守らなきゃいけないなどという感情はいい。天使や神のせいによって恨みを買い、それを俺が継ぐという、慮る必要はない。なにが正義感だ。そんなもの、そのこと自体が傲慢で強欲だ。
だからきっと誰かの力で誰かのために、神を殺すのだ。自分と誰かのために……。
――矛盾だけども。
❊ ❊ ❊
軍事指令室を出たあと、俺は自室にもどることにした。もちろんカールも一緒に。
「腹が減ったな」
「ああ。腹が減ってはなんとらやら、だな」
「そう、だな」
ㇵッ、と俺は不敵にも笑ってしまった。
群れることしかできないのかもしれないけど、生きるために必要なことをすることでしか生きれず、天使を殺す、そして神を殺すなんて不可能にもほどがあるが、それでもいいのかも、という何がひっかり、何かが吹っ切れる。
俺は風だ。舞うんだ。
生きるために。天使、神を殺すために。
いや、俺はこの世界を愛したことがない。違うな、愛していただ。過去の話で今の結果が物語っているのならば、今を優先すべきである。どうこう言っている場合ではないのか?
この今を大切にするべきなのか?ただただただただ神を殺すという悲願だけで生きていたのではないか?
カールのためか?傲慢であまりの無責任だ。そんなために生きていた?
ありえない?おかしい。それは本当に自分なのか?ただ正当化するためにだけに、生きていただけだとしたら。
「はぁ」
「どうした、ベート?」
この瞬間にも俺のことを心配してくれるなんて、本当いいやつだよ、お前は……。
動悸がする。気持ち悪い。
心を失うように俺には感情がないんじゃないか?ただ慮る、思いやるだけで関わることから逃げてきたのではないか?
輝くために生きていたはずが、これは本当に自分が望んだのか。それが運命だとしたらまだいいが、それを自分で選び、それで帰結するとしたら。
恐怖だ。そんなことで俺は死んでいいのか?
『これはただただ認められたいだけなのではないか?』
誰に認められたいのだろうか。ただ甘えたいだけなのではないか?
この瞬間、俺は誰かに背中を見せられていたのだろうか。
でも、対神霊叛逆教会に入ったのは自分の意志だ。
だが、守られているのではないか?足手まといなのではないか?
おかしくなりそうだが、俺はそれでも、そんな精神状態でも、神を殺したいと思う。俺は。




