3話 帰還と報告 日常Ⅰ
帰還すると、空気は重たくはなく、ただそこにあるべき冷たさが感じられた。
「やっほーベート君。それにカール君も」
話しかけてきたやつは俺より3つ年上の先輩で、フーラという人である。
「なんですか先輩」
そっけなく答えると、フーラはしょんぼりした様子になる。
「で、要件は?」
「待ってました。軍事司令長官が呼んでいたよ」
「へー」
何があった?俺らは別に特に普通の兵なのだが、そんなに俺らとつるみたいのか。
「わかりました。でどこに赴けば」
「軍事理事室」
「了解ー」
カールは脱力した様子で答えると、フーラは苦笑をした。
❊ ❊ ❊
軍事指令室は理事室の真横にあり、連絡棟ともつながっている。
故に、軍事司令室はとても重要な役割を握っているため、教会内の真ん中に置かれている。
おそらく、心臓部であることや、守りやすいということもあるのだろうが。
「本当なんだと思うー?」
「まだ脱力してるかよ……」
カールと軽口を叩いていたら、すぐに軍事指令室についてしまった。
「どっちが叩く?」
「カールだろ」
「さっさと入りやがれ。別に敬礼なんぞ要らん」
「「あ、はい」」
何とも言えない空気が流れ、数十秒間渋った後に、「失礼します」と小さな声で言った。
❊ ❊ ❊
ドアを押し開けると、絶望的な何かが目には映った。
「んだよこれ」
カールの目が曇り、少し畏怖していることに俺は気づいた。
「これか?これは熾天使だよ」
「は?」
確かに絶命しているが、こんなところにいるはずがないと思ってしまった。
「なぜここにいるのですか?」
「簡単な話だ。俺が狩ってきたんだよ」
……異常だ。この軍事司令長官は異常だ。
だが、世界最強と言われるだけはある。
「だがな、コイツは熾天使だが、正直弱かった。俺が以前戦ったときよりもな」
「どういうことですか?」
「つまりだ、熾天使にも階級があるかもしれないってことだ」
「以前戦ったやつは殺せたのですか?」
「そもそも、死ななかった。身体能力的に、そもそも人間じゃ手に負える代物じゃないな」
なるほど、長官が言いたいことは概ね二つ。
一つは、熾天使にも階級があるのではないかということだ。
一つは、人間の手に負えるものではないということ。
この二つだ。
「そも前に質問があるんですけど、なんでここに呼んだんですか?」
カールが質問すると、軍事司令長官は口を開いた。
「それは、お前らに熾天使を殺してほしいからだ」
一瞬、自分の時計が止まった。
熾天使を殺す?能天使で手こずるやつらが?
どういうことだ。軍事司令長官の考えていることの意味が分からない。
「なぜ、ですか?」
「それはな、お前らはいい意味で強いからだ。それと、俺はある場所に赴く必要があるからだ」
「長官がいなくとも、別にほか強者、例えば能力部隊に頼み込めば?」
………
……
…
――能力部隊とは。
能力を持つ人で構成される部隊であり、とても強い。
――能力とは。
自己の具現化。才能の形。
………
……
…
「いや、俺と同じ場所に赴から、頼み込めないということだ」
「どこに赴くのですか?」
長官は渋ったうえに行った。
「……聖域の中心、謎の領域だ」
世界で最も危険とされる場所の一つが、その謎の領域なのだ。




